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【アートの記録_0027】

東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSEは好みの展示が多いので上野方面に行く際にはルートに入れるようにしています。今年の夏に行った、毛利悠子/ David Horvitz「summer rains」を観て、毛利悠子=モレモレとつながり、いろいろな記憶が掘り起こされ「I/O」「CALLS」と今まで観ていたのに同じ作家の作品と気づいていなかった作品につながったので、掘り起こしプロセスも含めて記録。

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駅の天井からの水漏れを、ビニール袋とチューブで即席の雨どいを作り、バケツや、排水溝へと誘導する機能的なアレ。雨の日はもちろん、そうでなくてもよく地下鉄の駅で見かけますよね。

それを「駅員さんの無意識のクリエイティビティ」とし、「モレモレ」と名付けて採集するイベントをしているアーティストがいる、気になる~と思っていたのです。

このワークショップ、参加できなかったのですが、採集された画像は検索すると出てきます。


2014年はアサヒアートフェスティバルのまちなかアートの取材に参加させてもらったり、勤め先で異動があったりして、個人的にいろんな変化があった時期なんですけど、ちょうど横浜トリエンナーレの年だったりもして、アート巡り活動が活発になった時期でした。映画もお芝居もライブもそうだけど、通い始めると、会場でフライヤーやチラシをもらったり、予告編を見たりして、次にどんどんつながっていくものですよね。黄色い「モレモレフライヤー」も何かのワークショップか、小さいギャラリーで手に入れたのだと思います。

そのころは今以上に作家名で観たりとか、つながりを追ったりとかはしてませんでしたし、歴史を振り返ったりもしませんでしたから、同じ作家でも他のシリーズになると別物になってしまい、同じ人の作品として認識できなかったのですね。

今回行ったスカイザバスハウスの展示はわかりやすくモレモレシリーズの作品だったので、駅の水漏れ対応ビニール雨どいのイラストが印象的な黄色いフライヤーと結びついたのです。もうずいぶん経つし、フライヤーも捨ててしまっただろうな、と思いつつ探してみたらありました、ありました(1枚目の写真)。引っ越しを乗り越えてもまだあったとは。引っ掛かりがあったから残ってたんですよね。多分。

そして、もう一つのシリーズとして「CALLS」のスカイザバスハウスバージョンが展示されていました。

あれ、なんか観たことがあるような。

コイルや磁石から生まれた電磁波の揺れで音がする作品。不規則に動く揺れが長く垂れさがった紙に伝わって、天井近くに設置された風鈴を鳴らします。モレモレシリーズの今回の作品も水がたまると何らかの装置が動いて、音がなります。「あなたには見えないかもしれないけど、じつは私、いるんですよ」と呼び掛けているかのように。

あ、ちょっと前に行った、東京都現代美術館「MOTコレクション 第2期 ただいま/はじめまして」でも観たなあ…と、シリーズはちがうけど、何かをきっかけに音が鳴る「I/O」につながったのでした。

で、今回、これを記録しているときに、個展じゃなくて参加した展示会リストを見ていたら横浜トリエンナーレと書いてあったのを発見しまして。それじゃあきっと観てるはず、と自分のスマホ写真をチェックしてみると、紙が垂れ下がってる写真を発見。数ある中で選んでInstagramアップまでしてました。やっぱり気になるものや好きなものって、つながってる!

と、気づかないうちに観ていた、しかもどれも気になって覚えていたけど、記憶の中の点だったものが、調べて思い出すうちに線になったのでした。わーい。

今回の記録での発見:①興味・関心の方向性は時間がたっても変わらずあるものだなあ。➁記録って大事だなあ。


【毛利悠子】磁力や重力、光など、目に見えない力を感じさせるインスタレーション作品を制作する現代美術家。(ウィキペディアより)

オフィシャルサイト:http://mohrizm.net/ja/

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