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【アートの記録_0011】


金魚は、かなしくて好きだ。観られるために体を変えさせられて。ひらひらと美しくて、囲われて。フナなのに。

深堀隆介の作品は絵の上に透明樹脂を重ねて、また描いて重ねる。奥行きがあり、まるで本物の金魚が水中で泳いでいるかのようなリアルさ。水までもが作品として現実から切り取られているようなのだ。

最初にみたのは、国際フォーラムか何かで、たくさんの作家の展示がぎゅうぎゅうに詰まった見本市みたいなところだったような気がする。

枡の中に入った水に金魚が泳いでいる。「金魚酒」という作品シリーズ名からするとで、水ではなくてお酒の中を泳いでいるのかもしれない。手の中に納まる枡に、一匹の金魚。狭いだろうけど、その枡の酒は独り占めだ。金魚が幸せかどうかはわからないが、見るからに涼しげ。一枡持って帰りたい、自分のものにしたい欲が湧いてくる。きれいにパッケージされたものは、より欲しくなるというか。金魚すくいの持ち帰り用の袋に入った金魚もそんな感じがする。あれが透明でなかったら嬉しさ半減だと思う。

渋谷西武で観た個展「金魚養画場 夏の品評会」では、もっと大きな作品も展示されていた。作家の机の引き出しが水槽になっていて、たくさんの金魚が泳いでいるとか。大きな掛け軸に描かれた金魚とか。

私はどちらかというと、大きくてどすんどすんと建っているような作品が好みなのだが、深堀隆介の作品は小さくて手のひらに収まるようなものが好き。貝殻の中の小さな水たまりに泳ぐ小魚やエビ、器の中の金魚。

持って帰りたくなるのは世界のアート愛好家も同じらしく、海外でも大人気のようだ。

最初に観たと思っている国際フォーラムは「金魚浴2010」。その時は「金魚酒」も売っていた。欲しいなあ、買えなくはないけど…と逡巡してその時は買わなかったのだ。

迷ったら思い切って行動したほうがいいものなのだと、そういうことがあるたびに思うのだけど、いまだにビシッと決められず、迷う。

いつか、アートを買える人になりたいな、と思う。
そのアーティストが支援を必要なタイミングで買える人に。いつになるかわからないけど、そう思ったことを書き留めておくと、実現できそうな気がする。

【深堀隆介】美術作家。金魚絵師。アクリル樹脂を利用し金魚を描いた作品が有名で、木曽檜枡に金魚を描いたアクリル樹脂作品『金魚酒』が代表作。(ウィキペディアより) 

オフィシャルサイトもおしゃれ。http://goldfishing.info/works/

トップの写真は2011年渋谷西武で観た個展で撮った金魚酒。

全国で展覧会が開催される人気っぷり。
すみだ水族館でもイベントが始まります。http://goldfishing.info/news/%e9%87%91%e9%ad%9a%e2%99%a1-love-%e5%b1%95-%e3%81%99%e3%81%bf%e3%81%a0%e6%b0%b4%e6%97%8f%e9%a4%a8x%e6%b7%b1%e5%a0%80%e9%9a%86%e4%bb%8b%e7%9b%a3%e4%bf%ae%e3%80%8c%e9%87%91%e9%ad%9a%e7%be%8e/
観にいこうかな…

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