【アートの記録_0002】
宮島達男のデジタルカウンター作品が好きだ。最初に出会ったのは、2010年の瀬戸内国際芸術祭。当時お付き合いしていた人とベネッセハウスオーバルに泊まって(オーバルは1泊だけだけど)2泊3日直島だけめぐる贅沢な旅をした。そこで観たMega Deathに衝撃を受けて、一気にファンになった。
0から9までを様々なスピードで表示するデジタルカウンターの壁が、鑑賞者を円柱のように取り囲む。ひとつひとつのカウンターが、生きているかのように時を刻み、ある時、一気に全てのカウンターが光を消す。その暗闇の深さ。不穏なものが投下され、それぞれの営みがバッサリ切り捨てられたかのような、恐ろしさ。しかし、しばらくたつと、また小さなひとつひとつのカウンターに光がともり、それぞれのスピードで、数字を刻みだす。そしてまた闇がやってくる。
家プロジェクトの角家で「Sea of Time’97」も同じタイミングで観たのだけれど、だいぶ長い時間、水の中で光るカウンターから目が離せなかった。いろいろな場所で、それぞれのスピードで生きて、共鳴して、休んでいるのか生まれ変わっているのかわからないけど、消えて。人の命とつながりを思わずにいられなかった。3年後に観たときは、当時の興奮はなくなってしまったけど、それもまた私のカウントスピードが変わったせいなのかなと思ったりした。
【宮島達男】「Art in You(芸術はあなたの中にある)」という考え方を基盤に、発光ダイオード(LED)を使用したデジタルカウンター等、LEDの作品を特徴とする美術家。(ウィキペディアより)https://tatsuomiyajima.com/work-projects/mega-death-3/
写真はリニューアルオープンした東京都現代美術館の「ただいま/はじめまして展」で2019年6月に観た「Keep Changing, Connect with Everything, Continue Forever」。