令和の虎 492人目「メンマの固定観念をぶっ壊すギルトフリーメンマをバズらせたい」レポート
1.動画概要
経営者・南郷国豊(36)による「ギルトフリー(罪悪感を感じない)メンマをバズらせて、日本の食文化を変えたい」投資or融資500万円中、510万円でEXCEED。
2.動画考察
・志願者の経歴から見るポテンシャル
志願者は株式会社大門の経営者である。兵庫県立大学経営学部に在籍していたが、父親が経営する会社の倒産に伴い、大学を一時休学し、取り立てなどから家族を守るために地元の岩手に戻った。その後、事業が再建されたため、大学に復帰して卒業。大阪の企業に就職したのち、30歳のときに1年間台湾と中国に留学、帰国後、父親から代表権を継承し、現在に至っている。
志願者はまずメンマの説明を始めたが、事業プランの詳細に続けて入ったため、話が長くなりすぎると岩井氏から指摘された。これは、志願者がメンマと自分の事業に強い情熱を持っているがゆえの勇み足だったと考えられる。
台湾と日本のハーフである。
・志願内容と、その評価
本プランは「メンマの固定観念を覆し、健康食品としての価値を広める」ものである。投資形態は融資もしくは投資で、希望金額は500万円、使用用途は広告宣伝費となる。
メンマは摂取カロリーよりも消化に使うカロリーが大きいとされる「マイナスカロリー食品」と呼ばれるほど、低カロリーかつ食物繊維が豊富な発酵食品である。しかし、メンマの名は「ラーメン+麻竹(メンマの原材料)」から由来しており、日本ではラーメンの付け合わせとして認識が強いため、その健康価値はほとんど知られていない。志願者はこの現状を打破し、メンマの正しい価値を広め、日本の食卓に定着させたいと考えている。
試食として、異なる味付けが施された4種類のメンマと、新商品「メンマの炊き込みご飯の素」を使った具入りご飯が提供された。虎たちは「普通に美味しい」「お酒に合いそう」とコメントし、好意的な反応を見せた。この「炊き込みご飯の素」を通じて、志願者は健康食品市場への新たな参入を目指している。
メンマ市場は全体で約240億円規模だが、健康食品市場は約9,000億円に上る。志願者はまずダイエットや健康志向の層をターゲットに「ギルトフリーメンマ」を販売し、ラーメン以外の用途での消費を促進することを狙っている。
志願者の事業はラーメン店への卸売りで収益を上げている実績が評価されたが、商品の販売経路や販売量については議論が生じた。志願者はECサイトや直販を想定していたが、虎たちには単価の安いメンマを大量に購入する消費者が想像しにくく、特に通販では利益を出しにくいと懸念を示した。
さらに、メンマが日本の地方産品であれば、その地域で流行らせるストーリーが考えられるが、原材料である麻竹は中国や台湾が原産地であり、日本には名産地がないため、このアプローチは難しい。
志願者が計画していた総額1,600万円の広告宣伝費を使ったインフルエンサー戦略についても、虎たちはその効果に疑問を持ち、賛同しなかった。虎たちは広告戦略の見直し、より効果的な方法を検討するよう促した結果、志願者はこの助言を受け入れ、計画を修正する意向を示した。
佐々木氏は、志願者が自ら作成した綿密な事業計画を高く評価し、売り先を適切にアドバイスできれば売上が増加する可能性があると見込み、最終ジャッジ前に200万円の出資を決定した。
・虎が出資する意義、メリット
志願者の会社は今期の売上が2.65億円であり、継続的に利益を出しているため、経営状態は安定している。そのため、貸し倒れリスクは低い。また、虎たちへのリターンは、今回の商品単体からではなく、事業全体の売上からのリターンとされているため、規模も大きい。
実際の商品として、低カロリーでヘルシーなメンマは新たな消費者層にリーチする可能性があり、事業拡大の見込みも十分にあると考えられる。
さらに、志願者は虎たちの経験や知識を学び、自己成長と事業拡大を目指しているため、資金提供だけでなく、彼の成長に直接関与できる意義がある。
・志願者の人間性
志願者は、銀行から融資を受けられる状況にもかかわらず「令和の虎」に挑戦した。これは単に資金を得ることではなく、虎たちとの関係を重視し、彼らの経験や知識を学びながら、自己成長と事業拡大を図る姿勢を示している。自己成長の意欲は、インフルエンサー戦略に対する虎たちの懸念を受け入れ、計画を修正する柔軟な姿勢からも見て取れる。
また、家業が倒産した際に学業を中断し、家族を支えた経験から、志願者は強い責任感を持つ人物であると考えられる。
さらに、彼のメンマは営業を行わなくても品質の高さで販売経路が自然に広がり、顧客からの信頼を得ている。志願者は、お客さんの笑顔を見ることがやりがいだと語っており、その姿勢はメンマを健康食品として広めたいという信念にも表れている。
志願者は「令和の虎」が好きだと語っていたが、林氏は冒頭から話が長いのは指摘されることと事前に予想できたはずなのに、なぜそれをやったのかと問いかけた。これについて志願者は素直に謝罪したことから、正当な批判をしっかりと受け入れる人物であると考えられる。なお、林氏はその点を指摘しながらも内容をわかりやすいと評価しており、この問いかけは志願者の反応を試すための揺さぶりだった可能性がある。
このように、志願者は正当な批判を受け入れる謙虚さと柔軟性を持ち、強い成長意欲と責任感を兼ね備えた人物と考えられる。
3.まとめ
綿密な事業プランと、志願者の事業に対する思い、またリターンの魅力から、本プランは全員が出資を決定した。特に林氏は、完全ALLに達しなかった場合を想定し、10万円を提示した上で、条件付きだるまの提示も用意していた。これには、利益を独占したいという目的もあった。志願者は、虎たちと関わることで自身と事業の成長をしたいというもともとの目的に準じて、全員から出資を受けることを決めた。
綿密な調査と事業プランの提示に加え、一貫した事業への真摯な姿勢と、目的達成のために自己成長を図る柔軟性が認められたことが、志願者の可能性を強く感じさせ、この結果を導いた要因だと考えられる。