旅行と「放っておいて」


旅行と「放っておいて」

散歩が好きだ。
本当は深夜に歩きたいのだが、防犯的によろしくないので自重している。
何とは無しに、知らないところを歩くのが好きだ。修学旅行も決められたルートよりも、脇道の土産屋の方が好きだった。(もちろん見ところである場所も好き)

ありがたいことに、友達と旅行に行く機会がいくつかあった。複数人で部屋でだらだらと過ごす時間はとても楽しかった。というのもいつも一緒にいるメンバーなので、気心が知れているので遠慮をする必要がないからだ。
好きに放っておいてくれるし、好きに構ってくれる。友人の適度な距離に感謝しかない。
(私は迷惑をかけまくっている気がする)

一人で旅行に行くということはなかなかしないのだが、すでに社会人である私はとにかく(仕事以外は)気ままに過ごしていいはず。好きに行けよと思うが、気がつくと映画に行くなどして過ごしている。近場で終わってしまう。
一人旅行をしてみたいが、いざ行こうか、と思うと計画を立てれない。突発的、後先のない行動が好きなので、考え込むと動けなくなってしまう。修学旅行は、みんなの行きたいところを優先していたため、任せっぱなしだった。
家族との旅行も基本、親が決めたところだ。自分はついて行くだけ。特に不満もなかった。
自分のための旅行というものをしてみたい。
自分だけのための、遠い長い散歩だ。誰にも構われることのなく、一人で、好きに、歩き続ける。寂しくて怖いことのようで、とてつもなく憧れる。
「放っておいて」と、あまり言ったことがない。多分基本構われたいのだ。干渉されたくないくせに。
一人旅行ほど、「放っておいて」というものはない。私が世界を放っておいているのだ。
海に行きたい。どこまでも遠い水平線を見つめ、歩き続けたい。私の小説の主人公たちは、たぶん共通してその意識がある。
夜の水辺なら1、2時間は余裕でぼーっとできる自信があるが、入水と勘違いされそうだなあと思っているため、いまだ、渋っている。
小説の中でくらい叶えてもいいだろう。

今回はここまで。

#しおの雑文庫 #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?