七つまでは神のうち《1:2:0》
山姫:
妖怪。笑いかけると人が死んでしまうので一切笑わないようにしている。
菊/女:
ころころと表情が変わる素直な子。
弥助/男:
捨て子。兼役に関しては申し訳ないと思っている。
性別変更しても大丈夫です。
その時は語尾や一人称自由に変えてください。
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0:寂れた神社。早朝、山姫が外の空気を吸いに出てくる。
:
山姫:(大きな伸び)。いい空気だ。
菊:おはようございます山姫様!
山姫:おはよう、菊。いい天気だな。
菊:はい!暑さもだいぶ和らいできたしそろそろ秋ですね。
山姫:そうだな。とはいえまだ暑い。陽に火照らされないようにな。人の子はもろいのだから。
菊:ふふっ、わかってますよ。でも、そっか、もう、秋なんですね。
山姫:時節が移ろうのは早い。あんなに幼かったお前もこんなに大きくなった。
菊:あの時山姫様が見つけてくださらなかったらきっと今の私はありません。私、感謝してるんです!
山姫:そうか。
菊:もうすぐ朝餉ができるのでお部屋でお待ちください。
:
:
0:間:
0:山姫の部屋。菊が朝食を持ってくる。
:
菊:山姫様、菊です。朝餉をお持ちしました。
山姫:入っていい。
山姫:…この匂い。山女魚だな?
菊:正解です、さすが山姫様。昨日たくさん捕れたのでご飯に混ぜこみました。
山姫:ありがとう。いただくよ。…とてもいい匂いだ。これだけでわかる、また腕を上げたな。
菊:ありがとうございます…!それでは、なにかありましたらお呼びください。
山姫:…あぁ。(菊が去ったことを確認してから少しだけ微笑む。添えてあった花が枯れる。悲しい顔。)
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0:菊、山へ栗を取りに来た。遠くで何か聞こえる。
:
菊:これくらいでいいかな。今日は栗ご飯にしよ。
菊:それにしても暑いな。あとで漁もかねて川辺に行こう。
菊:網になにかかかってるといいな。
菊:…何か聞こえる。泣き声?
弥助:(遠くで泣いている)
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0:縁側でくつろぐ山姫。
菊:山姫様!山姫様!
山姫:どうした菊そんなに慌てて。
菊:山姫様!山で泣き声が聞こえたんです。何かの。えーんえーんって。もしかしたら私みたいな子かもしれない。
山姫:少し様子を見てくる。どのあたりだ?
菊:あの大きな栗の木の近くです。案内しますか?
山姫:いやいい。念のため中で待っていてくれ。
菊:わかりました!お気をつけて。
山姫:あぁ、行ってくる。
菊:あ、山姫様!これ!!
山姫:これは?
菊:べっこう飴です。昔、寂しくて泣いてた時これをいただいて・・・。とても安心したのを覚えてるんです。だから、
山姫:わかった、預かろう。
:
0:山姫、森の中
:
山姫:菊が言っていたのはこのあたりか…
弥彦:(遠くのほうで泣いている)
山姫:この声は
弥彦:(泣いている)
山姫:はぁ、やっぱり。また童子が1匹迷い込んで来た、これで何匹目だ?里の飢饉はそれほどに深刻と見える。
弥彦:(泣いてる)
山姫:あぁ、うるさくてかなわん。おいわっぱ、坊いい加減に泣き止まないと頭からぱっくり食ってしまうぞ?
弥彦:お父、お母ぁ…
山姫:これをやるからそろそろ泣き止め。ほら、これを食ったことはあるか?
0:山姫、ガサゴソと懐から飴を取り出す
弥彦:なにそれ?
山姫:べっこう飴だ。きれいだろう?
弥彦:飴?
山姫:そうだ、うまいぞ。やる。
弥彦:おら、飴なんて初めて見た。ほんとにいいの?いただきます。
山姫:お前、名は?
弥彦:弥彦。
山姫:齢は?
弥彦:五つ。
山姫:どうしてここで泣いていた?
弥彦:お父がここで待ってろって。でも帰って来ないんだ。
山姫:…そうか。とりあえずうちに来い。もっといいものを食わせてやる。
:
0:帰りを待つ菊。森から山姫が帰ってくる。後ろにもう一人。
:
菊:あ、山姫様おかえりなさいませ!その子は?
山姫:さっきの泣き声の正体だ。おそらくお前と同じ事情だろう。
菊:そっか。はじめまして、私、菊。あなたは?
弥彦:おら、弥彦。五つ。
菊:もう年まで言えるの?弥彦はすごいね。
弥彦:えへへ。
山姫:菊、弥彦に風呂と飯の用意をしてやってくれ。
菊:わかりました。
山姫:弥彦、しっかりと菊の言いつけを守るのだぞ。
弥彦:は、はい。
:
0:風呂
:
弥彦:あははは、くすぐったいよ菊。
菊:いいからじっとしてて。綺麗に洗えないでしょ。
弥彦:へへっ。なぁ、菊。菊はここでお母と二人で暮らしてるのか?
菊:お母って…あははっ、山姫様のこと?
弥彦:え、違うのか?
菊:うん、違うよ。山姫様はね、私の命の恩人なの。
菊:私がちょうど弥彦と同じくらいの時だったかな。私もお父にこの山に置いてかれたんだ。
0:7年前。森の中。
:
菊:(泣いている)
山姫:おい。おいわっぱ。
菊:・・・。お姉ちゃん誰?妖怪?
山姫:おい、お前。こんなところで何をしている。
菊:口減らしで捨てられた。私がいなくなれば弟は生きていけるから。
山姫:そうか。
菊:お姉ちゃんは妖怪なの?お母が言ってた。この山には妖怪が出るんだぞって。私のこと食べちゃうの?
山姫:お前はどうしたい。
菊:え?
山姫:選ばせてやる、里に帰るかうちに来るかここで私に食べられるか。
菊:…。
山姫:お前の願いを叶えてやろう。
菊:どうせ里に帰っても飢饉でみんな死ぬんだ。だからここで死んだって変わらない。
山姫:…そうか。
菊:でもね、私もっと生きたい。やりたいことがいっぱいあるの。
山姫:ならば共に来い。生きる上で最低限の力くらいは身につけさせてやる。
:
:
菊:それからはずっとここにいるの。
弥彦:寂しくなかったのか?
菊:最初は寂しかったよ。でもね、今は全然。山姫様とっても優しいしご飯もちゃんと食べられるし今が一番幸せ。
弥彦:…おら、山姫様のこと怒らせちゃったのかな。
菊:どうして?
弥彦:山姫様少しも笑わないんだ。何かやっちゃったのかな。菊、どうしよう。
菊:大丈夫だよ。山姫様は事情があって笑えないけどとっても優しい方なんだから。
菊:あ、でも一度だけめちゃくちゃ怒られたことがあったな。
弥彦:なにしたの?
菊:今日みたいに遠くで泣き声が聞こえてさ。私みたいに捨てられた子が泣いてるのかもって近寄っちゃったんだよね。
菊:そしたらさ、そこにいたのは泣いてた子どもだったものとそれを食べてる野犬だった。
菊:思わず叫んじゃって危うく襲われるってなったときに山姫様が助けてくれたの。で、めちゃくちゃ怒られて今後そういうことに出くわしたら山姫様に声をかけることになったんだよね。
菊:だから弥彦ももし山に入って泣き声が聞こえても勝手に近づいちゃだめだからね。
菊:…はい、おしまい。さ、流すよ。(髪をすすぐ間)さ、あがったら昼餉にしよう。今日はうどんだよ。
弥彦:うどん!あの白い長い食べ物だよな!聞いたことはあるよ!おら、食べたことないんだ!どんなだろう、楽しみだなぁ。
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0:小さな広間
:
菊:おまたせ、これがうどんだよ。
弥助:わぁ、いただきます。なんだこれうまくつかめない。
菊:(笑う)。山姫様にも持って行ってくるね。
弥助:山姫様は一緒に食べないのか?
菊:うん。いつも自室で召し上がってる。
弥助:そっか。みんなで食べるとおいしいんだけどな。
菊:山姫様に持っていったら私と一緒に食べようか。
弥助:わかった、待ってる。
:
0:山姫の部屋の前
:
菊:山姫様、菊です。昼餉をお持ちしました。
山姫:入っていい。
菊:失礼します。本日はうどんをお持ちしました。
山姫:ありがとう。弥助の様子はどうだ?
菊:とても素直に言うことを聞いてくれます。これも作るのを手伝ってくれて。
山姫:そうか。菊は、幼子をあやすのがうまいな。
菊:いえ、そんな。でも、私の弟がたぶん弥助と同じ年くらいからですかね、弟と重ねてしまって。弟がもう一人出来たみたいで嬉しいです!
山姫:そうか。そうだ、後ほど弥助をここへ呼んでくれ。ここで暮らしていくうえでの掟を話しておかねば。
菊:わかりました。伝えておきますね。
:
0:山姫の部屋
:
:
菊:(扉の前)山姫様、菊です。ほら、さっき言ったとおりに。
弥彦:弥彦です。
山姫:入っていい。
菊:失礼します。
弥彦:しつれいします。
菊:ほら、ここに座って。…そう、上手。
:
0:菊も座る
:
山姫:弥助、昼餉はどうだった?
弥助:とってもうまかった!おら、うどんなんて初めて食べた。中に入ってるものも初めて見るものばっかりだったんだ。
弥助:あとね、菊と一緒に食べたんだよ。今度は山姫様も一緒に食べようね。
山姫:悪いがそれはできない。だが、そうか、よかったな。
弥助:うん…。
山姫:弥助、ここで暮らすうえで守ってもらわねばならないことがある。それを覚えなさい。
弥助:はい。
山姫:まず一つ。私はお前らとは飯を食えぬ。二つ、扉を開けるときは先程のように声をかけてから開けるように。
山姫:三つ目、山で声が聞こえても近寄らず私に言うように。絶対に勝手に近寄ってはならぬ。以上だ、分かったか?
弥助:わかった。
山姫:とはいえ、まだ環境に身を慣らすので精一杯であろう。
山姫:菊、弥彦にいろいろと教えてやってくれ。
菊:わかりました。
山姫:以上だ、下がっていい。
菊:失礼します。ほら、行くよ弥助。
弥助:しつれいします。
:
菊:さて、私はこれから川に行くけど弥助はどうする?
弥助:川!?いっしょに行く。
菊:いいの?休まなくて平気?
弥助:大丈夫!
菊:そう?疲れたならいつでも言ってね。
弥助:わかった!
菊:じゃあ、こっち。足元悪いから気を付けて。そこ、木の根っこ気を付けてね。
弥助:う、うん。…うわぁ。
菊:あぁもう、ほら。大丈夫?
弥助:…だいじょうぶ、泣かないよ。おら、お兄ちゃんだもん。
菊:弥助はすごいね。とっても強い。
弥助:うん…。
菊:ほら、おいで、川までおんぶしてあげる。
弥助:でも…。
菊:いいよ、おいで。
弥助:うん。
菊:私ね、弟がいたんだ。弥助と同じ年なんだけどね。
菊:だからかな、弥彦見てると弟を思い出すんだ。
弥助:菊が捨てられたのはいつ?
菊:弥助と同じ年の時。酷い飢饉でね、みんな売られたり山に捨てられたりしてた。
菊:お父に出かけようかって声かけられたとき、ついに私の番が来たんだなって思った。
菊:そのあとはお昼に話した通り山姫様に拾われてここにいる。
弥助:弟に会いたい?
菊:会いたいかどうかときかれるとそりゃ会いたいよ。でもね、それよりも五体満足で生きていてくれたらそれでいいかな。
弥助:菊は、弟が大事?
菊:うん、とっても大事。
弥助:いいなぁ、おらも姉ちゃんがいたらよかったなぁ。
菊:ふふ、弥助ももう私の弟だよ。
弥助:ほんと!?へへ、やったー!
菊:ほら、暴れないの!…さ、ついたよ。
:
0:川辺
:
弥助:川だ!!
菊:あまりはしゃいでまた怪我しないようにね!
弥助:大丈夫だよ!
菊:まったく。(仕掛けていた罠の回収をしている)
弥助:なにやってるの?
菊:ん?一昨日かけてた罠を回収してるの。見て?
弥助:わぁ、魚がいっぱい。きらきらしてるね。
菊:そうだね。あ、そうだ弥助、釣りしたことある?
弥助:ない!やりたい!
菊:ちょっと待ってね。これを結んでさっき取った魚を結んで…できた。
弥助:これどうするの?
菊:魚を川に離す。あ、ちゃんと竿持っててね。
弥助:わぁ、引っ張られる。
菊:ちゃんと持っててね。…まだ、まだ、まだ。今!引いて!!!
弥助:…わぁ!!!魚が増えた!!
菊:すごいでしょ。
弥助:すごい!もう一回!!
:
0:夕方。川辺。
:
菊:いっぱい捕れたね。そろそろ帰ろっか。
弥助:おら塩焼で食べてみたい!
菊:いいね、いっぱい食べよ!
弥助:おらも持つ。
菊:じゃあこっち持って。
弥助:わかった!
菊:弥助、ちょっと待って。私の後ろに来て。何かいる。
女:あら、なんでこんなところになんで子どもがいるのよ。あなたたちどこの家の子?…あれ?あなた菊?菊じゃないの?
菊:え?
女:やっぱり菊よね。あなた生きてたの。
菊:…っ、弥助、行くよ。
弥助:いいのか?あの人もしかして
菊:いいの、早く。
女:菊!あの時は悪かった。ずっと後悔してたのよ!
:
0:夜。神社
:
山姫:弥助、帰ってから菊の元気がないがなにがあった。
弥助:あのね、釣りが終わって帰ろうとしたら茂みから人が出てきたの。
山姫:人?
弥助:うん、菊のこと知ってるみたいだった。
山姫:そうか。
:
0:菊の部屋の前
:
山姫:菊、私だ。入っても?
菊:…あ、はい、どうぞ。
山姫:大丈夫か?元気がないように見えるが。
菊:大丈夫です、ちょっと日に当たりすぎたんですかね。今日は早めに休もうと思います。
山姫:弥助に聞いた。川辺で人に会ったのだろう。
菊:…はい。
山姫:知り合いか?
菊:産みの親です。
山姫:そうであったか。…帰りたいか?
菊:え?
山姫:帰りたいか?人の里に。
菊:そんなはずないじゃないですか!そんなはずないですよ。
山姫:そうか。
菊:どうして今更。後悔するならどうして。
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0:山姫、菊をそっと抱きしめる
:
菊:山姫様?
山姫:私には人の気持ちはわからぬ。だが、菊が今傷ついているのはわかる。
山姫:そもそもここは人が立ち入れぬはずなのだ。なのにどうして。私の油断が招いたことだ。どうか許してほしい。
菊:そ、そんな。山姫様が謝ることでは。
山姫:…。
菊:一つ聞いていいですか?
山姫:なんだ?
菊:山姫様って何者なんですか?
山姫:私は…っ。私、は。
菊:もしかして神様なんですか?
山姫:私が?馬鹿な冗談はよせ。
菊:いや、きっと神様ですよ!権能は、うーん、豊穣の神様とかかな。
山姫:まったく。そんなことあるはずないだろう。
菊:神様ですよ!少なくとも私や弥助にとっては。
菊:親に捨てられて死ぬしかなかった私たちを山姫様は拾ってくださった。たくさんの食べ物をわけてくださった。ここまで育ててくださった。
菊:こんなに優しい方が神様じゃないわけがないです。
山姫:私は、お前たちが思ってくれているほどの存在ではない。それどころか正体を知ればきっと恐怖を覚えるだろう。
菊:そっか。でも、私はずっと山姫様のこと好きだと思います。
山姫:そうか。
菊:そうです。
山姫:…。
菊:…。
山姫:ほら、疲れているのだろう。早く床に就くといい。
菊:はい、おやすみなさい山姫様。
山姫:あぁ、おやすみ、菊。
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0:部屋から出て、遠く空を眺める山姫。
:
山姫:私は神なんて呼ばれる存在ではない。私はもっと低俗なものなのに。
:
:
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男:本当に菊がこんな山奥で生きてたんだろうな。
女:私が自分の子を見間違えるわけないだろう。あれはたしかに菊だった。
男:まだ生きているということは食べ物がこの山の中にあるということだ。…、ん?女?ずいぶんと上等な服べべ着てるじゃねぇか。
女:気味が悪いよ、なんでこの時間に立派なべべ着た女がいるんだい。もしかしてあいつが妖怪なんじゃ。あ、ちょっと、あんた!
男:そこの姫さんちょっといいかい。俺たち腹がペコペコでよぉ。なんでもいいんだ。食べ物でも金目のものでも俺たちみたいな貧乏人に恵んでくれやしないかい?
山姫:…。
男:おい、聞いてんのかい。
山姫:(にっこり笑う)あぁ、聞こえているよ。
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0:男、目がとろんとしている
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男:へへ、ちゃんと返事してくれなくちゃよう。ところでうちのが山の中で子どもを見たって言ってるんだが心当たりはないかい。
山姫:子ども?
男:あぁ、昔この山に捨てたんだがまだ生きてるらしくてな。
山姫:もしいたとしてどうするつもりだ?
男:もし本当に生きてんならいい歳だ。廓に売っちまえばいい値になるでなぁ。
山姫:そうか。ところで菊には弟がいたと聞いたがそれは元気か?
男:あんな食い扶持にもならねえガキとっくに殺しちまったよ。
山姫:ふふ、ははははは、そうか、殺したか!ははははは
男:あ、はは、ははは、うっ、ぐるし、う、うぅ
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女:あ、あんた!?あんた!!!
山姫:お前は菊の母か。
女:やっぱりあれは菊なのかい。元気に生きていたのは見間違いじゃないのかい。(泣き出す)
山姫:お前は菊のことをどう思っている。
女:大事な、大事な娘だよ。七年前私が出かけてるうちにこの人が菊のこと捨てちまって。
女:ずっとずっと後悔していた。貫太は、貫太だけは育てると決めていたのに。私は守ることができなかった。
女:菊はあんたが育ててくれたのかい?
山姫:あぁ。
女:そうかい、ありがとうございます。ありがとうございます。なんとお礼を申し上げたらいいか。あなたは神様です。
山姫:お前までそれを言うのか。
女:え?
山姫:なんでもない。…これをもって里へ帰れ。
女:これは?
山姫:野菜の種だ。どんな環境であってもすくすくと育つ。それを育て里の者に分け与えろ。
山姫:もうわっぱを山へ置いていくような真似をするな。
女:あの、菊を連れて帰ることはできますか。
山姫:ならん。わざとではないにせよ菊を捨てたお前に菊は返せん。
女:そうですか、そうですよね。
山姫:里が落ち着いたら社を立てよ。今までのわっぱたちの鎮魂の意を込めて。
女:はい、はい。おっしゃる通りに。
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弥彦M:数年後、森に立派な社が建った。
弥彦M:主神として祀られているのは山姫様。そんな器ではないのに。と、とても不服そうだ。
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菊:弥彦、なにやってるの!社が建ってから初めての豊穣祭の日なんだから里に遊びに行こ!
弥彦:えぇ、おらは。
菊:山姫様も!主役なんですから早く!
山姫:いや、私は。
菊:もう、ほら早く!いいの?先に行くからね!
弥彦:あ、待ってよ。
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0:了
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