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テラフォーミングマーズ【企業編】【プレリュード環境】

【はじめに】


私の大好きなボードゲーム『テラフォーミングマーズ』がいつの間にかBGAに収録されていたので、自分自身の思考整理のついでに文字に起こして強企業、強カード、強戦術を記録しておこうと思う。
(この記事ではメガクレジットを円、緑地化を植樹等公式とは違う用語での記載があります。また、企業やカードの効果の説明は割愛している部分があります。また、多分に主観を含みます。)

BGAでは基本セットに加え企業時代とプレリュードも追加されていたのでカードプールはこれらで考える。

【企業一覧】


企業は全部で17種類。
強弱をザックリ4段階に分けると下記の通り
(左右差無し)
【ティア1企業】
・クレディコー・サターン・タルシス
【ティア2企業】
・インヴェントリクス・ヴィトール
・フォボログ・テラクター
【ティア3企業】
・エコライン・ロビンスン
・バレートラスト・城成マーズ
・UNMI・ポイントルナ・シネマティクス
【ティア4企業】
・トールゲート・ヘリオン・採掘ギルド

ティア2と3の振り分けはかなり適当だが、1と4はおおよそ間違いないだろう。個別に触れていく。

※各企業について解説した時点で約1万字となってしまった為、本記事は【企業編】ということにし次回以降カードや戦術について具体的に触れていくことにする。
また、BGAは初期マップのみの実装であることに気づかずヘラス、エリシウムについても触れています。

【ティア1】

『クレディコー』

初期資金が相当多く、標準プロジェクトにも反映される企業効果も魅力的な『クレディコー』。
高い初期資金のおかげで産出を安定させ易く、高額カードを1枚使用するだけで最も初期資金の多い『テラクター』を超える資金源となる。『クレディコー』と言えば〇〇、といった特筆すべき戦術がある訳ではないが資金力で何でも出来るのが強い。
産出を大量に増やしじっくり戦うのも良いが、初期資金の差による影響は世代を経るごとに相対的に縮んできてしまうので短期決戦を狙うのがベターか。
『巨大氷小惑星』や『ダイモス落とし』等グローバルパラメーターを一気に上げるカードを使いライバルの準備が整う前にゲームを決めてしまおう。少ない世代数でゲームが終わるのなら相対的に称号や褒賞による5点が占めるウエイトも大きくなる。資金力にモノを言わせて最低でも称号を1つは獲得できるようドラフトしていきたい。
『分散投資化』のようなカードの使用数やタグ数で取れる称号を狙うのも良し、配置系の企業がライバルに居ないなら企業効果を活かし標準プロジェクトも使い『総督』や『極地探検家』も十分狙えるだろう。
褒賞も『浪費王』は勿論、標準プロジェクトでタイル配置系のものを狙ってもいい。『宇宙王』や『支援王』も使用カードによっては圧勝できる。臨機応変に、時には強引なプレイも可能なのが『クレディコー』の最大の魅力。
隕石系のカードとのシナジーが大きく、得られる熱で早期決着にも貢献できる『最適化された空力ブレーキ』、企業効果と合わせて破格の値段で標準プロジェクトを利用できるようになる『標準テクノロジー』はどの企業で使っても強いが『クレディコー』なら更に強い。
高額カードには宇宙タグが付いてる場合も多いのでチタン産出も余裕があれば確保しておこう。

↑『標準テクノロジー』適用化では実質16円で
植樹、18円で都市配置が可能になる。
ドロー運や購入費も必要とせず
効率よく点数を伸ばせてしまう。
爆アド。




『サターンシステムズ』

このカードプールでは唯一木星タグを持つ『サターン』は火星開拓そっちのけで『エウロパより水の輸入』『ガニメデコロニー』『イオ採掘産業』『テラフォーミングガニメデ』を集め、圧倒的カード点数で他企業を吹き飛ばす。
ただひたすら木星タグのカードを使い続け、ドローカードで上記4種を探しにいくだけの"引きだけ企業"だが、2、3種類得られればそれだけで勝ちを狙えるほど。
ただ引いた木星タグを使ってるだけでも強く、企業効果でお金産出も安定する為初心者でも使いやすい反面、木星が引けないと話にならない。ある意味最も大味な企業だろう。
称号の『外縁入植者』は当然確保するべきだが、他のマップでは無理に称号を狙わず序盤から木星をかき集める単独プレイで問題ない。ドラフト次第で苦なく取れそうなものだけ狙おう。
褒賞は『浪費王』や『宇宙王』は十分に狙える。『銀行王』も企業効果との兼ね合いで獲得できる場合もあるが、無理に木製以外のカードを使い褒賞争いするくらいなら木星タグを集め続けた方が結果的に高点数となる場合が殆ど。
チタン産出を増やすカードは勿論だが、強力なドローカードの多い科学タグを集めておくといいだろう。毎ターン2枚ドローできる『AIセントラル』が起動できればイージーゲームだ。

↑エクゾディアパーツのみなさん。エクゾディアとは違い一部パーツが欠損していても勝てる。


『タルシス共和国』

初期マップでは単独首位と言えるほどだった『タルシス』は一強と言えるほどの絶対性こそ無いものの、まだまだ現役。
初期マップではカードを使わずとも標準プロジェクトで都市配置、植樹を繰り返しているだけで称号の『総督』『緑化匠』のいずれか(またはその両方)を狙えてしまうので、強いアクションが何もない所謂"事故"が起きにくいのが強い。他マップでは『専門家』『極地探検家』を積極的に狙っていきたい。
褒賞もタイル配置が絡むものは勝ちやすい。『銀行王』も企業効果でリードをつけやすく有利だが、お金産出は一気に上げる手段もいくつか存在しているので過信はできない。特に『税関ステーション』『カルテル』等のタグ参照系、『断熱材』や『飛行船』は1枚で10以上の産出増加もありえるので注意が必要だ。
『タルシス』同様に盤面に干渉しやすい『エコライン』もあるが、こちらは植物生産を上げて植樹していくので隕石系のイベント等の妨害に非常に弱いのが気になる。
また、3円返ってくる効果は火星外でも適用できるが、お金産出を上げる効果は火星上に配置された場合限定なのは覚えておこう。
『ローバー建設』や『移民都市』は他の企業より強く使うことができる。ドラフトで見かけた際は積極的に購入しよう。他には都市配置が可能なカードは電力を要することも多いので、プレリュードカードで電力を確保しておいたり電力産出を上げるカードを1.2枚キープしておけると安心だ。

↑『移民都市』があれば標準プロジェクトで都市配置するだけでなんやかんやお金産出+3。"最強タルシス"の完成だ。


【ティア2】

『インヴェントリクス』

カード使用に要求されることの多い科学タグが1つ標準搭載されており、要求グローバルパラメーターを誤魔化すことのできる『インヴェントリクス』。
初期資産はそこそこだが開幕3ドローもあり、カードを大量に使って戦ってくださいと言わんばかりの企業。
しかし企業効果で産出も現物も一切得られない上、カード主体の戦い方となるので序盤の安定性には不安が残る。
ドロー効果やプレリュードを活かし1世代目で『創案主』の獲得を狙ったり軽量イベント連打から『伝説』を狙うなど他企業と競合しにくい称号を取りに行こう。企業効果も上手く使って『戦術家』も狙えそうだが『戦術家』のあるヘラスでは残り4種の称号がかなり取りやすいものとなっているので、なかなか達成出来ない。
企業効果はオマケ程度。ドローと科学タグが本体と言ってもいいだろう。

↑『創案主』のある初期マップでは海洋2枚配置で計3ドローできる。ドラフト全買いして1世代目で称号達成する動きは一発ネタに見えてちゃんと強い。




『ヴィトール』

インヴェントリクス同様カード主体で戦いたい『ヴィトール』。こちらはドローこそ無いもののキャッシュバックが適用されるカードが非常に多く、手札さえ確保できればどんどん点数を稼げる。
最初に褒賞を1つ選ぶ効果はかなり扱いが難しい。序盤から意図的に差を作りやすい『偏心王』や都市配置のプレリュードを持っていればかなり有利に狙える『絶景王』は狙い目か。褒章に執着し過ぎず、片手間に2位入賞くらいなら狙えそうなものを選んでしまっても良い。『温熱王』や『耕作王』を選び気温や酸素濃度を暗に他企業に競合させ、残りのグローバルパラメーターの独占を狙う…という使い方もあるかもしれない。
カード点を安く得られるのが最大の強みなので、置きドロー系(プレイ後毎ターンドローできる効果のカード)を少なくとも1つは用意したい。『開発センター』や『立ち入り制限区』は早い段階から使用できるので是非欲しい。点数付きのカードだけ選んで購入できる『発明家ギルド』や『ビジネスネットワーク』でも十分貢献してくれるだろう。
木星タグのカードはその全てが点数を持っている為『サターン』のような動きをしても強い。

↑ドローとコスト軽減カードで地盤が固まればあとは点数カードを叩きつけているだけで多大な点数を得られる。
『ヴィトール』が強いというよりはカードが強いのだが。




『フォボログ』

『フォボログ』は初期資金は23円と全企業中最小だがチタン価値+1円に加えチタン現物10個を得られる為実質初期資産は63円と非常に多い。
とは言っても宇宙タグの無いカードはロクに使えない上、チタン価値が上がっているにも関わらずチタン算出が無いのは致命的。
いの一番にチタン産出を確保するべきだ。
『ヴェスタ造船』『小惑星採掘』『イオ採掘産業』等の宇宙タグのチタン産出を上げるカードを真っ先に使いたい。逆に、これらのカードがピック出来ない場合はかなり難しいゲームになるだろう。
プレリュードでもチタン産出が上げられれば理想だが、ない場合は現金や建材やチタンの現物が得られるものを選びとにかく出遅れないようにしたい。この企業の最大の難所は最序盤なのは間違いない。
チタンの産出さえ確保出来れば高額宇宙タグのカードを大量に使用できるようになるので、木星戦術も大きな勝ち筋の1つとして見据えられる。いくらチタンがあっても使用するカードが無ければ意味がないのでドロー系のカードも欲しい。融通が効かない代わりに宇宙タグのカードの使用は容易い『サターン』のような使用感だ。
序盤出遅れがちなこの企業は称号の獲得は難しい。豊富なチタンで宇宙系イベントを多用して『伝説』くらいなら狙えるだろうか?といったところ。『総督』は『ガニメデコロニー』や『フォボス宇宙港』等の火星外都市でもカウント出来ることは覚えておこう。
相手に『サターン』を引いてしまうと木星カードの奪い合いになってしまう上に木星タグを使用するだけでアドバンテージを取られてしまい非常にやりづらくなる。そうなってしまった場合は木星に拘らず上手く勝ち切る策を練りたいところ。
チタン価値を更に上げる『最先端合金』は言わずもがな、動物を沢山得られる宇宙系イベントを手札に溜め込み後半戦1点動物が用意できたら一気に動物を増やし大量得点を狙う戦術が取りやすいのも『フォボログ』ならではの強みと言える。

↑『フォボログ』の為のプレリュード…に見えて初期資金が18円になってしまうのは流石にヤバいか。宇宙タグに全てを捧げる覚悟が必要。




『テラクター』

全企業中最高額の初期資金を持つ『テラクター』。
初期資金は序盤の動きやすさ(=安定性)を担保してくれる重要な要素である為、これだけで一定の価値がある企業と言える。
しかし、企業効果は1コストのカード『地球オフィス』と同じ効果である。あまりお得感が無い。
特にBGA環境では地球タグに強力な効果のカードが少なく、恩恵の薄い効果と言えるだろう。とはいえ序盤に『地球カタパルト』や『スポンサー』『企業買収』等の軽減系やお金産出増加系の地球タグを沢山プレイ出来れば以後地球タグに拘らなくとも有利にゲームを進められるのは間違いない。
地球タグを大量に使用できた場合は『カルテル』や『ミランダリゾート』で異次元のお金産出を生み出す事もできる為カードが偏った時には更に強力な動きも可能。
ドロー系やタイル配置系のプレリュードを引ければ資金力にモノを言わせて初期ドラフトカードを全て購入し『創案主』を獲得する等力技も実現しやすい。
どちらかと言うとカードと噛み合う企業やプレリュードを選べなかった場合の妥協択となりやすい企業ではあるが、不完全な戦術を採るよりかは『テラクター』を選び序盤を安定させた方が結果上手くいくことも多い為お世話になることは多い。

↑結局このゲームは金が絶対正義。より大きな恩恵を得ようとこれらのカードの発動が遅れてしまっては元も子もないので、欲張りすぎないように。


【ティア3】

『エコライン』

『タルシス』とよく並べて"二強企業"と謳われている『エコライン』。強力な企業であることには違いないが欠点も多い。
まず開始時に得られる1回分の植樹と植物産出+2だが、いくら植物7つで植樹出来るとは言え1.2世代目で追加の植樹を行うことは難しい。加えて植物現物は隕石系のイベントで焼かれてしまう危険性も高く少量の産出では植樹に漕ぎ着ける前に妨害を受けてしまうことも多い。『エコライン』は初期資金が36円と心許なく、カードプレイや資産拡張の効果も無い。モタモタしていると最初に得られた植樹1回もこちらが周辺に都市を配置する前にライバルに都市を置かれてしまい利用されてしまうパターンも。
と、相手がゲームに慣れていれば慣れているほど妨害を当てられたり緑地を上手く使われてしまいやすいリスクが大きいのだ。
と、ここまで欠点ばかり語ってきたが企業効果、植物産出+2自体は非常に強力。
動植物の現物を守る『保護生息域』やプレリュードカードで先に都市を配置してしまうなどこちらも色々やりようはある。
プレリュードカードが無い初期環境よりはプレリュードカードで開始時の資産をカバーしやすいBGA環境の方が『エコライン』に向いているとも言える。妨害を沢山受けてしまう弱みさえカバーできればちゃんと強い企業であることは間違いない。
称号は『緑化匠』は勿論、『生態学者』や『極地探検家』を狙うのも良い。『極地探検家』のあるマップではマップ北部に配置ボーナスの植物が沢山配置されているので称号取得後は都市を北部に設置して拠点を移動しよう。褒賞も『開拓王』『耕作王』等タイル配置依存のものであればついでに狙える。
グローバルパラメーターを無視できる『生態系のエキスパート』+『樹木』や『海草畑』を決めることが出来れば多少妨害を受けようが圧倒的植物産出でねじ伏せることも可能だ。

↑私はこれがないとエコラインを使う気になれない。無しで運用するならドラフトで
徹底した隕石カードのカットを!



『ロビンスン産業体』

植物産出やチタン産出などの高いコストのかかる産出も僅か4円で上げることが出来る『ロビンスン』。
お金産出や建材産出等比較的コストのかからない産出を企業効果で上げていては恩恵が薄い為プレリュードやカードを使ってそれらの産出は手早く上げてしまいたい。
企業効果が最も生きる場面はやはり称号の『万能家』だろう。初期ドラフトで産出を上げるカードが揃わなかった場合でも企業効果で誤魔化しが効くのは大きい。『万能家』自体比較的取りやすい部類の称号なので悠長に狙っていると横取りされてしまうケースも。
できれば1.2世代の内に確保できるような段取りで臨もう。
都市配置カードで消費する電力を都度企業効果で賄う動きも強い。複数枚の都市配置カードが手に入ればお金産出による『専門家』や『総督』も場合によっては見えてくる。
しかし突出して産出を伸ばすことは苦手だったり、企業自身の効果で点数源を作ることは難しい。いまいちパッとしない企業ともいえる。
手広く色々出来るので楽しい企業ではあるが明確な勝ち筋が無く、立ち回り次第、引き次第、プレイヤー次第な企業という印象だ。

↑これらのプレリュードがあれば『万能家』は飛躍的にラクになる。逆に手元にこれらが無いなら相手も『万能家』を狙い使ってくるかもしれない。




『バレートラスト』

ロマンあふれるガチャ能力を備えた『バレートラスト』。強力なプレリュードカードを1枚余分に使えるのは強烈。プレリュードカードは基本的に1枚で20円以上の恩恵が得られる効果になっているのでこれを加味すれば少ない初期資金もカバーできていると言える。
科学タグには優秀なカードも多い為企業効果も地味ながら嬉しい。
しかし追加で得られるプレリュードカードはドラフト時点では何が選べるか分からず、計画が立てづらい。いきあたりばったりな行動になってしまうことも。
お目当てのプレリュードカードが引けなかった場合はタイル配置系よりも産出+系のカードを優先しよう。やはり1世代目から得られる産出ほど心強いものはない。
科学タグの価格軽減効果が備わってはいるものの企業自体に科学タグは付いていない。使用枚数依存のカードを使うときは注意しよう。

↑後からこんなものを引いてしまっても困るだけ。逆に『樹木』なんかをピックして狙いにいくのも
面白い。




『城成マーズ』

最も無難でシンプルな効果をもつ『城成マーズ』。特筆して語る要素も少ない。
当然、お金産出は腐る場面が無いし、企業効果の土建タグ軽減も土建タグのカードは種類が多い為適用できる機会は多い。が、それらは突出して何かできるほどでも無い。
称号も一応、『土建王』や『専門家』は企業効果のおかげで他より狙いやすくなってはいるが、前者は8枚(企業にタグが備わっているので7枚)の土建タグを集める前に『総督』『緑化匠』『創案主』を取られて席が無くなるケースも少なくなく、後者はお金産出を大きく上げるプレリュードカードであっさり抜かれてしまうこともある為、過信はできない。
土建タグには後半強いカードよりも前半強いカードが多い為、土建タグがお得だからと建材産出を伸ばしすぎると建材を余らせてしまうパターンもある。寧ろそれを活かし『採掘王』『産業王』を狙うのは有効な戦術と言える。建材現物を即座に5つ獲得できる『鉱物堆積層』はこれらの褒賞で逆転を狙うライバルの計算を大きく狂わせることが出来る。見かけたら是非キープしておこう。

↑2秒で考えたようなシンプルな企業効果。
仲間内では"2秒企業"の愛称(?)で親しまれている。



『UNMI』

TRにフルコミットな『UNMI』は如何に早期決着出来るかが鍵となる。初期資金が控えめな上、各種産出も得られないので序盤の組み立てには特に慎重になる必要がある。
毎世代3円で1TRの企業効果は実質お金産出+1とも取れる為、第一世代から毎世代起動できるようにしたい。
1世代目はプレリュードカードでTRを上げられるものを選び、2世代目以降も標準プロジェクトに頼らず上げられるようにカードを準備しておきたい。
『赤道磁化』や『水分解プラント』、発熱産出(と電力産出)計8など毎世代TRを上げる準備が整ったら地球化が進んでないパラメーターも自力で上げられる手段を探しだし早期決着を目指す。毎世代TRを上げることで手一杯になりがちなので各種産出では遅れを取りやすく、ゲームが長引くと資産差で負けてしまう。
『標準テクノロジー』は標準プロジェクトで強引にゲーム終了を近づける選択を取りやすくなる為是非欲しい。標準プロジェクトで上げようとすると高いコストのかかる酸素濃度が最後まで残ると苦しいので植物産出を上げるカードや『露天鉱床』で一気に酸素濃度を上げてしまうのも有効。
短期決戦を狙う企業の割に称号褒賞に取り組む余裕が無いのもこの企業の難しいところ。
ライバルの称号意識次第では『造星者』や『伝説』は狙える範疇。褒賞は『支援王』であれば簡単に獲得できるだろう。『開拓王』や『耕作王』『温熱王』も展開次第では戦っていけるが、自ら褒賞を購入するより相手に褒賞を買う余裕が出来る前にゲームを終わらせる方が『UNMI』は得意かもしれない。首位確実な褒賞であっても購入して1世代延びてしまうのなら買わずに終わらせてしまった方が良いだろう。(無論、どの道終わらないなら先に買ってしまうべきではある)

↑勝利点がマイナスのカードは効果の割にかなり安価。TRを上げるのが難しい世代では躊躇わず使ってしまおう。3円1点を使いそびれるよりよっぽどいい。




『ポイントルナ』

BGA環境では唯一恒久的なドロー効果のある『ポイントルナ』。同じ地球タグに恩恵のある企業『テラクター』と比較するとこちらにはチタン産出こそあれど初期資金では大きく劣る。
地球タグカードを沢山プレイし『ミランダリゾート』『カルテル』でお金産出を爆発的に上げる戦術はドロー効果でよりたくさんのカードに触りやすいこちらの方が向いているといえる。
序盤資産が少なく、遅めの立ち上がりになりやすい『ポイントルナ』は称号の取得は苦手。プレリュードを上手く使って簡単に取得できそうな場合のみ狙おう。
お金産出とドロー効果で大量のカードを使いカード自体の得点やタグ参照、カード使用数参照系の褒賞を狙っていこう。
ハマれば手が付けられないタイプだがカード依存な上、初動安定感も無い為浮き沈みの激しい企業といえる。

↑地球タグがあればプレリュードでもイベントでもドローは出来る。
たくさん引ける企業はやはり楽しい。




『惑星間シネマティクス』

初期資金30円と建材現物20個により実質資金70円と全企業中1位の資産を得られる『シネマティクス』。
しかしいくら建材が多いとは言え現金は30円と非常に少ない為建材タグの無いカードは1世代目にはロクに使用できない。
企業効果も6コストの『メディアグループ』より弱く、肝心のイベントカードには土建タグの付いているものは存在しない。正直どういう意図で作られた企業なのかまるで分からない。とは言え40円分も建材が得られるのは相当強く電力を上げるカード→都市配置カードとテンポよく使用できれば採れる選択肢は大きく広がる。
産出が増えている訳ではないので使い切りの資材として割り切っても良い。逆に建材を序盤に上手く利用出来ないのであれば使用はお勧めできない。
称号は『土建王』や、各種発電所系のカードを活かした『電送師』、『伝説』くらいなら他の企業より取得しやすいか。
企業効果を使ってイベントを沢山使う戦法も出来なくは無いが、軽量イベントを連打する場合この企業の産出力ではドローカードまで手が回らずすぐに息切れしてしまうだろう。高額イベントを使うなら還元率の高い『クレディコー』もある。イベントに拘るのは『伝説』取得までで良いだろう。
『メディアグループ』も引けているなら楽しいかもしれない。
1世代目に『最先端合金』が使用できるとあらゆる土建タグが使用できるほどの資材になる。もっとも、『最先端合金』を購入して使用したらその時点で18円しか残っていないのだが。

↑1世代目で『露天鉱床』の発動が狙いやすいのは『シネマティクス』ならでは。決まればTRと各種産出によりお金産出+9相当だ!


【ティア4】

『トールゲート』

電力産出に特化した企業『トールゲート』は全体で3位の初期資金に加えて電力産出も開始時に得られる。(とはいえ2位と10円近くの差がついているのだが)
得られる電力産出も手伝って都市系カードも序盤からプレイしやすいのは利点だが企業効果がとにかく弱い。
電力タグのカードには戦術の軸となるような得点源カードが無く、ただ電力産出を上げることができるだけのものが殆ど。連打しても過剰に電力を生むだけになってしまう。
電力現物を熱として点数化しようにも得た産出が熱として利用できるのは2世代後。流石に遅すぎる。
称号も『電送師』が確実に取れるくらいのもので『専門家』すらプレリュードカードを絡めお金産出を上げたほうが早い場合が多い。
企業効果は標準プロジェクトにも効果があるが『ロビンスン』では4円で出来てしまう為毎世代1度程度の利用ならそちらの方が良いだろう。
そんな『トールゲート』の切り札は『物理学総合研究所』。
毎世代6電力を2点に変換することができる。電力を熱として利用する場合8つで1点。効率の良さは火を見るより明らか。
いくら効率が良いとはいえ毎世代2点。ゲームを引き延ばし木星系や科学系のドロー構成とやりあうのは流石に苦しい。相手に応じて『水分解プラント』系で酸素濃度を進め、電力を熱にして早期決着を目指さなくてはならない事もあるだろう。

↑ここまですれば流石に強いが、当然毎回こんなことはできない。特定のカードが引ければある程度戦えるだけまだマシか…?(実写ですみません)




『ヘリオン』

気温上昇のTRを独占を狙え、気温終了後も熱を無駄なく使用できる『ヘリオン』は一見強そうに見える。少なくとも私は始めたばかりの頃は強い部類だと思っていた。
しかしある程度ゲームに慣れてくると段々弱みも見えてくる。
開始時に得られる熱産出は3とかなり多めだが、企業効果等で熱産出を増加するサポートがそれ以上出来るわけでは無く、速攻で気温を上げきるプランを採るなら追加で何枚か熱産出を上げるカードが必要になってくるだろう。開始時に得られる熱産出3以外は他の企業と同じような動きで上げることになる。つまりこの行動は『ヘリオン』でやろうが他企業でやろうがあまり差はないのだ。
熱をお金として使用できる効果も出来れば序中盤では使いたくない。8熱で1点得られるのに対し8円で1点は難しいことから基本的に使えば使うだけ勿体ない。どうしても行いたいアクションを間に合わせるときだけの方が良いだろう。熱を全てお金として使用してしまっては『城成マーズ』のほぼ完全下位互換になってしまう。
これらのことから『ヘリオン』は序盤で得られる恩恵はほぼ熱産出3のみと言ってしまってもいい。プレリュードカードの『モホール計画』を使っただけのようなものだ。
熱現物をムダなく使い切ることの出来る企業の為『温熱王』との相性も実は良くない。温度上昇によって得たTRで『支援王』、熱産出を上げる宇宙タグカードを複数使用していれば『宇宙王』で勝負することはできそうか。

↑まるで『ヘリオン』の為に作られたカード。それにしても流石に高すぎる。最初の熱産出を併せて『専門家』を1枚で達成できる等メリットはある。使うならプレリュードカードでプレイコストを上手くカバーしたい。




『採掘ギルド』

タイル配置で産出が得られ拡大生産に長けた効果を持つ『採掘ギルド』。ティア4としているが他2企業よりは遥かにマシ。
初期資産は40円相当のお金と建材。かなり少ない部類な上10円分は土建タグにしか使用できない為初期ドラフトでの選択肢が狭い。
タイル配置による産出増加はチタンを拾っても建材産出しか上がらない。初期に得られる建材産出も相俟って建材が過剰になり、余る場合が多い。褒賞の『採掘王』や『産業王』で点数化することは出来る為完全に無駄になる訳ではないが、褒賞の購入費と使わずに取っておいた建材で5点以上伸ばせるならそちらを優先してもいい。勿論安い内に褒賞を購入出来るのが理想。
同じタグを2つ持つ唯一の企業でもある。称号の『建設師』や『土建王』も狙っていこう。
『ヘラス』以外のマップでは建材が拾えるマスの周囲が貧しく、企業効果を優先して配置していると植物が拾えるポジションをライバルに制圧されてしまうリスクもある。都市配置は緑豊かなエリアを狙い『立ち入り制限区』等の特殊タイル配置系、海洋配置で建材産出を確保していけると隙がない。

↑カード効果と企業効果で建材チタン両方の産出を得られてなんだか嬉しい。
見かけたら使わない手はない。

【総括】

書きたいことが多すぎて莫大な文字数になってしまった…。
ひとくちに強弱を決めつけてしまったが、プレイヤー人数やドラフト環境でいくらでも位置づけが変わるので、『タルシス』を使っても『エコライン』に負けることもあるし、『ヘリオン』で優勝することだって勿論できるだろう。(そうでなければボードゲームとして欠陥だろう。)
私自身3.4人でプレイすることが多く3人戦の経験が最も多いので、各企業の評定もそこに準ずるものとなっている。
傾向として人数が増えるほど"誰かが〇〇する度に"系の効果は恩恵が大きくなり、人数が減るほど"各世代毎に〇〇できる"といった効果や毎世代ドローできるカードが強くなる。当然といえば当然だが…。
特にタイマンは顕著に総世代数が増える為序盤からロングゲームを見据え産出増加や置きドロー効果のカードを意識して集めよう。

また、ロングゲームに強い企業より早い展開にも対応できる企業を強めに評価した。理由としては、ロングゲームになると企業効果よりカード効果のシナジーや産出暴力で勝敗が決まりやすく、「〇〇企業なので勝った」となりにくいからだ。もちろん企業効果自体がロングゲーム向きのものもあるが、カードの引きに左右されるものが殆どなのでこれらはやや低く評価している。

金星拡張とコロニー拡張もBGAに来てくれると大変嬉しいが、まずはマップ追加からしてもらえると嬉しいな…………………。


追記:エコラインティア3は逆張り過ぎました。流石にティア2です。

(おわり)

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