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R-1グランプリ2024を見た感想&審査員寸評まとめ

1.優勝は街裏ぴんく

 今年の優勝は街裏ぴんくに決まりました。苦節20年。円熟の大嘘漫談が結実した瞬間、泣き崩れる姿にはグッとくるものがありました。

2.芸歴制限解除/ネタ時間4分

 今年大きく変わった点は2点。

・芸歴制限の解除
これに関してはなんとも言えない気持ちになった。
個人的には3年前に芸歴制限を設けたのは賛成派だった。もちろんキャリアの長い芸人は面白いし上手なのだけれど、それ以上に若手へのチャンスだったり、世間へ新しい笑いのかたち、キャラクターを提供できることにメリットを感じていたからだ。
一度制限した芸歴を解除した理由は、シンプルに「盛り上がらなかったから」だと思う。
絞ることで歴戦の猛者がいなくなるわけだし、これまでの常連組(メジャーな芸人)が不在となると、視聴率的にも下がることは予想できたこと。
だからといって10年未満の若手に面白い芸人がいないわけでもないし、レベルも低いわけではないことは主張したい。

・ネタ時間3分→4分へ変更
2012年大会から続いていた3分尺が4分へ変更された。
たかが1分だが、舞台の上の1分はとてつもなく長くできる幅が広がる。
今回顕著に上質なコントや漫談が好成績を残した反面、フリップなど大喜利系や歌ネタは時間を持て余し息切れしたように見えた。

次回以降も何かしらのレギュレーション変更があるかもしれない。昨今の大きな賞レースでは途切れることもなくかなり長い歴史があるのに、いつまでダラダラとルール変更を重ねているんだとすこしイライラはしている。

3.感想&審査員寸評

1.真輝志 僕の物語

小籔:トップにしてクオリティとウケ量、ある感じの入りで展開が読めなくて最後まで楽しかった。
バカリ:設定もキャッチーで段積みでいくと思ったら終盤転調して最後まで面白かった
陣内:着眼点もよく「ほなええわ」のバリエーションも多く、オチの青春のキラキラした感じも好き。

2.ルシファー吉岡 婚活パーティー

実質6年連続の出場の偉業。
1stステージではダントツの完成度だったと思うし一番笑った。
何気ないテーマの中に練り込まれたキモさや下ネタに不快感を感じない謎の魅力。2016年の「ホームルーム」はいまだにこの世の全てのピンネタで一番好きな逸品。

野田:凄すぎた。ピン芸を極めている。今のコントを2人でやるよりも面白い。1人で2人を超えている。
ザコシ:キャラ通りのことをやっているので笑いやすい。以前まではバチバチの下ネタで来ていたが、今回下ネタに落とし込んでいないのが高得点につながった。
バカリ:いいネタだった。4分のなかによくここまでストーリーと展開を入れた。8分くらいやってたんじゃないかと思う。

3.街裏ぴんく 温水プール

陣内:どんなジャンルの漫談なんだ。「こんな嘘つくやつやばいでしょ」から引き込まれて想像できた。喋りのうまさと熱が入ってきた。
小籔:好みだけでいえば100点つけたいくらい好き。腕なさそうでめっちゃある。ライブもたくさんやってて足腰もある。どんなトラウマがあったらこの芸風にたどり着いたのか。
ザコシ:一番お前がわけわかんない。エネルギーがすごい。今のテレビに必要。

4.kento fukaya マッチングアプリ

流石のハイセンスだった。個人的には触れないとこにボケを散りばめるスタンスがあまり好きではないのだけど、見返した時にその一つ一つが面白すぎた。

野田:悪いところないのだが今回のレベルが高すぎて。
陣内:設定やfacebookerや置き配なども今風で良かったが、くりちゃん。がサプライズのキャラクターだったので、そっちをオチに使って欲しかったと期待した。
小籔:ボケ数でいうと一番合って受け方も良かったが、前の人たちに比べると驚きの展開には劣った。

5.寺田寛明 国語辞典コメント欄

昨年の言葉レビューの系統だったが、とてつもなく面白かった前回を超えることはできず、冒頭のボケも含めてかなり時間を持て余した気がした。

陣内:寺田にしか作れないクレバーなネタ。
バカリ:着眼点もいいし好きだがレビュー大喜利の段積みに終始。若干単調。最後にもっと飛躍したらよかったがなんとなくそのまま行ってしまった。
野田:レビューあるあるを知ってれば知ってるほど面白くなるが、瞬間風速が他に届かなかった。

6.サツマカワRPG 防犯ブザー

このネタ、劇場ではヅラ外しから拍手喝采の爆ウケなのだけど、賞レースのこの場では客が引くだろうなと思っていた。別にヅラ取らなくても狂気の演技は得意なところなのに勿体無いなぁと。というかそもそも芸風に頭髪が見合ってないから装着してるんではないのかと。

小籔:kentoも寺田も毎回決勝に来てるのが本当にすごい。これまでと違うアプローチで本業はギャグもできて、お笑いのことをよく考えてて引き出しも多く感じる。
バカリ:ただただイカれたキャラかと思えば展開も丁寧に積んでいき、最後はむかつくくらい綺麗にまとめていた。
ザコシ:地毛と思ってたからハゲ方グロい。お笑いってネタもだが可愛さも重要なのであんまり取らない方がいい。

7.吉住 デモ活動

サイコなネタって、ありふれた日常にサイコエッセンスを加えて笑いに落とし込むことが魅力なのであって、そもそもデモ活動みたいな扱いにくい(笑いにくい)題材な上にサイコ足されると一瞬ヒヤっとしてしまうので個人的に結構苦手な展開だった。殺害現場とか立てこもりみたいな設定ってよくあるけどその題材以上にダークになるネタってそんなにないと思う。そういう意味で最終決戦の方のネタは被害現場からイチャつく鑑識という可愛らしさに持っていったので、とても笑いやすかった。

バカリ:台本に一切無駄がない。抜群の演技力。他の人がやってもここまで面白くならない
陣内:静かな狂気。唯一無二。
野田:こんなにたくさんテレビに出てるのにいまだに地下から出たてのネタやる。

8.トンツカタン お抹茶 かりんとうの車

自分はアイデア一発でネタに動きがないから単調だなと感じ、最下位になったのは致し方ないとも思う反面、自分が劇場で見てたら腹抱えて笑っていたなとも思う。

ザコシ:風呂で考えたんだろこのネタ。潔い。普通は歌一本でいく度胸がない。
小籔:確かに笑ったがこれなに。賞レースだからこの点数だがとても好き。
陣内:設定はとてもよかったが展開が期待を超えてこなかった。最初が一番面白かった。

9.どくさいスイッチ企画 ツチノコ発見者の一生

アマチュアと関しているだけで、お笑い芸人とサラリーマン二足の草鞋といっていいのではないだろうか。自分にはプロとアマの線引きがなんなのかよくわからない。それくらい面白かったし生でも見てみたいと強く思った。

野田:堂々としておりアマチュアとは思えない。ネタが教訓めいていて、もっと長尺で見たかった。
バカリ:時間経過で飛躍していく見せ方も良く、目覚ましじゃんけんくらいまでワクワクしていたが、後半がはまらずもったいなかった。
ザコシ:設定がぽんぽん飛ぶからついて行きづらさがネタにあった。

最終決戦1.吉住
最終決戦2.街裏ぴんく
最終決戦3.ルシファー吉岡

4.終わりに

毎年様々な賞レースで予想を外し続けていたし結果も自分の好きな順と実際の順位が乖離しまくっていたのだけど、今回はかなり自分の好みと順位が合っていた。
特にルシファー吉岡最推しだったけど街裏ぴんくには優勝以外ふさわしくないとも思っていたので、期待通りの結果となったことは嬉しかった。
過去記事にも書いた通りR-1チャンピオンは世間的には向かい風のなか戦っていくことになるが、我が道を貫いて活躍を期待しております。
ハリウッドザコシショウの名言「バカも突き詰めりゃエリートよ」



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