THE W2021を見た感想
執筆中に銀兵衛解散の一報を受け絶望しており、完成が大幅に遅れてしまった。。。
1.優勝はオダウエダ
栄えある5代目女王はオダウエダに決まりました。例年になく高いレベルでの戴冠は非常に価値のあるものと思います。どんなことにでも異論を唱える輩は出てくるもので、早速優勝に世間の物言いがついている感は否めませんが、未来のお笑い界はお二人に託されています。メディア露出も含めたKOM やその他賞レースでの栄冠を楽しみにしております。
2.勝ち残り審査の大弊害
かく言う私はオダウエダの優勝にはなんの異論もない。むしろAマッソは厳しいかな。一番笑ったのは天才ピアニストだけど、圧倒的にパワーはオダウエダかな。くらいだったので、票が3組に割れたのもだいぶ驚いた。
とは言うものの、審査方法には依然大反対である。視聴者投票が無くなったことは進歩であるものの、やはり勝ち残り方式が残ってしまった。1組目から5組目にそれぞれ採点し、審査員の総点で審査する。と言うのは至極わかりやすいが、「1組目と5組目はどっちが面白かったですか?」なんて聞かれても、そんなの白か黒かで決めるのは無理だ。というかそれが無理だから採点で均しているのではないか。
審査員がことあるごとに「難しい」と吐露するのはレベルが均衡しているからでなく、シンプルにこの採点システムについて苦慮しているということに会場で誰も気づいていないのだろうか?ヒコロヒーの採点の時田中(だったと思う)も「点数でなくどちらかに投票するので評価以上に偏ってしまう」と言っていたが、あの蝶々が少しずつ片側に群がっていく様は、美しさのかけらもなく、審査される側にとっては地獄の時間であろう。
それからM-1然り、最下位は最下位でそれなりに今後の笑いに変えれるのが芸人だ。そういう順列をつけてもらいたがる集まりが賞レースだ。敗者にスポットを当てない感じが、みんなで手を繋いで一緒にゴールテープを切りましょうね。みたいな間違った平和主義の様で本当にモヤモヤする。レベルの上がり続ける昨今に水を差し勿体なく感じる。
3.Aマッソの戦略?大古典コント炸裂&革新的漫才
今大会、知名度的にはAマッソとヒコロヒーが牽引したのではないだろうか。Aマッソには、漫才であれコントであれ、どんな独創的な世界を見せてくれるのだろうと昂っていたのだが、正直1本目のコントの見た時に愕然とした。超超ベタなコントを繰り出してきたのだ。電話応対がうまくできない新入社員と先輩のドタバタコント。やってることはドリフの時代だし内容はもはや落語といっても過言ではない。シュールを突き詰めて古典にたどり着いてしまったのか。エッジの効いたネタはもうやらないのか。と。テレビで見るに現地の笑いの量はなかなかだったと思うけれども。
そんななか最終決戦で繰り広げた2本目は一転。漫才にプロジェクションマッピングを使った、革新的な漫才を繰り広げた。お笑い好きには周知の通り、この手法は既に昨年もthe Wでお披露目しているのだが、初めて見た方にはかなり衝撃的だったのではないだろうか。
個人的にはもうアレに鮮度はなく、シンプルな漫才で笑わせて欲しかった気持ちは大いにあるのだが、もしこの展開を見据えて全くの対極の研ぎ澄まされたベタコントで一発目に勝負したのだとすると、とんでもない胆力と自信を兼ね備えた強者であると思う。いずれにしても平場と実績含め、他より一歩次のステージにいるのは間違いない。来年もまた期待の持てる実力者だ。
4.天才ピアニストの覚悟?コント二発、漫才封印。
全組通じて天才ピアニストには一番笑わせてもらった。1本目のドアの強度チェック。掴みは本当に完璧で大笑いしてしまった。
モノマネが有名ではあるが、私は昔から天才ピアニストの漫才が大好きだ。「〜やねぇ」のフレーズに初見からツボっており、今回のコントもキャラと演技で圧倒的に仕上がっていたと思う。Bブロック開始早々に、これは最終決戦いけそうだなと感じたのも束の間、ものすごく不安になったことがある。暫定一位の平場で「〜やねぇ」をことごとく連発し始めたのだ。てっきり2本目は漫才で戦い、守備範囲の広さを見せつけて優勝するものと早合点していたので、「見せすぎ見せすぎ!!」とキモを冷やしたのだが、2本目もコントで押し切ったのだ。
確かに今年のM-1、天才ピアニストは3回戦敗退と厳しい結果だった。当人も漫才の感触はあまり良くなかったのだろうか。フレーズで笑いを取る自信はあるも、漫才で勝ち切るのは厳しい。と言う結論に達したのだろう。結果的には世間の票は獲得し、知名度をあげたこととなる。
しかし本当にM-1でもthe W でも漫才で茶の間を沸かせてほしい。今年準優勝の実績を引っ提げて、来年リベンジして欲しい。
5.オダウエダの特攻。攻撃力100over
最終的に勝ち切ったオダウエダ。紹介映像でもあった様に攻撃力100。防御力0。に偽り無し。
ここで言う攻撃力とは何か。私はリスクを顧みず己の世界観に引き込むことと理解する。
Aマッソはエッジの効いたボケツッコミではあるものの、今回のコントも漫才もオリジナルのワールドに引き込むパワーは持ち合わせていなかった。加えてAマッソはもうそう言うことやりそうなコンビと世間に周知されていたのが致命的だ。これが同じくらい無名だったのであれば、得票数は大きく変わっていたのかもしれない。便宜上(攻撃50/防御50)としておく。
天才ピアニストは言わずもがな。日常を切り取り、抜群の表現力で笑いに変えていく。しかし世界観はと問われると独特とは程遠い。いい意味で誰からも受け入れられる設定だった。だからテレビ越しでもすんなりと受け入れられ、圧倒的に視聴者の反響を得たのだ。極端だが(攻撃0/防御100)としておく。
一方のオダウエダ、「ハツの就活」「カニのストーカー」。これだけ聞いて情景が浮かぶ人間は一人としていない。圧倒的な自分たちだけの世界だ。オダウエダの笑いに共感性はなく、本人たちも求めていない。その中で笑いを取っていくことは、受け入れられなかった時点でアウトとなる非常にリスキーな諸刃の剣だ。吉と出るか凶と出るか。激戦を鑑みると、たったの一票差。今回は吉と出た様だ。
5.終わりに
yahooアンケートの結果によると、一番面白かったと思うコンビは天才ピアニストが54・0% Aマッソは27・3%、オダウエダが2・6%と大きく乖離している。
一番大きな原因はテレビ越しで片手間、おしゃべりをしながらでは、あの世界観への没入は難しいことだろう。然し、それくらい振り切ったからこそ優勝できたのだ。攻撃力100とは、そう言う意味なのだ。
そして安定感よりも攻撃力に全振りした方が賞レースでの優勝の確率は格段に上がる。近々ではハリウッドザコシショウが、マヂカルラブリーが優勝とともに物議を醸し、おいでやす小田が、和牛が抜群の安定感でありながら戴冠には至らなかった。
兎にも角にも女芸人の歴史に名を刻んだオダウエダ。本当におめでとうございます。決勝進出した全ての芸人の今後の活躍を期待しています。
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