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モグライダーの漫才「美川憲一」何がすごいのか聞いてほしい

1.決勝ネタ全部見直した

錦鯉の栄冠の余韻から丸二日。公式チャンネルで全ネタを3周した。

好き嫌いは置いといて。オズワルドの文句なし圧巻の一本目やランジャタイのぶっ飛び方。真空ジェシカの台本の強さ、錦鯉/ゆにばーすのおっさん/男女であること有効活用した他者に出来ない漫才。などなど、各々のキャラクターや魅力を再確認できた。

その中で、トップバッターの歴代最高得点を叩き出したモグライダー。応援していた大好きなモグライダー。バイアスがかかっていると自覚しながらも掛け値なしでめちゃくちゃ面白いと思ったモグライダーの魅力を語りたい。

(キャプチャ、リンクは全てM-1YOUTUBE公式チャンネル。マセキ芸能社プロフィール画像から引用しました)

2.モグライダーの魅力

ざっくりしたプロフィールは割愛します。

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二人の持ち味は、「何もできない」ボケともしげと「なんでも捌く」ツッコミ芝のバランスにある。

いわゆる無能、ポンコツを売りに笑ってもらう芸人は数多くいるが、ともしげのおバカさ加減は他の追随を許さない。本当にどこまでが天然でどこまでが作為的なのかが、漫才を見ていても全くわからない。一方の芝はそんなハチャメチャなともしげに完璧に呼吸を合わせるツッコミを叩いていく。シンプルにうますぎる。

普通はこの個性のどちらかを持っていればそのコンビは必然バラエティで人気に火が付くのだが、両方の強さを持ち合わせているコンビはそうそういない。メディア露出は増えスターダムへの道を駆け上がるのは間違いないと旨を張って伝えたい。

3.M-1での漫才「美川憲一」の魅力

前述の通り、(どこまで素なのかわからんが)ともしげはおポンコツで緊張しい。つねにあくせくしている。対して芝はプレッシャーという言葉を知らないよう、どんな状況でもまるですべてが日常のように飄々としている。その個性が登場早々に顔に出ているのだ。

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どうですかこれ。目をつぶり歯を食いしばる緊張臨界点のともしげ。まるでこの場ですら通過点であるようによそ見をし笑みをうかべる芝。これだけでもう私は笑ってしまうのです。

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そして始まる二人の漫才。芝の余裕さ。ともしげの目のバキバキ死にかけ加減。おもろいを通り越して愛おしいまである。以前の記事にもしていたのだが、初めて見た方は「この赤スーツ、M-1の大舞台で緊張しすぎだろ。」と思われても仕方のない表情だ。そのやばい雰囲気に会場が飲まれなくてよかったとは思った。このキャラのギャップこそが、モグライダー最大の魅力なのだ。


「美川憲一さんって、気の毒ですよね」

漫才の入りは、どんなにネタがシュールでも丁寧に導入する必要があると思っていた。しかし昨今のモグライダーのつかみは違う。文章の意味が分からないところから始まる。これをともしげが言って芝が観客が思考する前に切れよくツッコむのだからたまらない。仮に芝が落ち着いて説明すると、笑いには置換しない。観客全員が「どういうこと?」と真面目に考えることになる。

そしてあらかたその意味を説明するのだが、わかるようでよくわからない。とりあえずやってみる。

キャプチャ 

一発目の「いいえ私は、さそり座の女」「さそり座の女かー!!」「気の毒だなこれ!」。この時点で会場の拍手笑いを獲得したのは相当大きい。会場を自分たちの世界観に引き入れることができた。この時点で笑いとともにこの後の展開も天丼になる流れを自然と理解させれるのがこの漫才のすごいところだ。

そもそも歌うネタ自体がM-1に適してはいない。どうしても尺を要してしまい、4分では漫才としての魅力を伝えきれないからだ。

歴代の大会でも歌うネタで爆笑をさらったコンビは少なく、トップバッターでここまで観客を掌握したコンビもいない。どちらもを達成したこのネタが、このコンビが如何にものすごいことをやってのけているかはご理解いただけただろうか。

道中の「もう少しねばれ」「効率が悪い」「もったいないんだよこの時間」「歌いだしたら騒ぐなバカタレ」「ふたご座で二本折ってんじゃねえかテメェ」「美川さんだろうるせぇな。大概にしろお前」展開自体は普通にに面白いのだが、だんだんと芝のボルテージが上がっていっている様が、後半に向けて必然盛り上がっていく展開を体現している。

そして堪忍袋の緒が切れる

キャプ

てめぇ!!!

普通のいらつかせ漫才ならもっと頭はたきまくっていいはずなのに、終盤まではたきを温存している。これが怒りMAXを示唆しており、ネタのピークをわかりやすくお伝えしている。

キャプチ    ャ

締めとしては「(いいえ私は)さそり座の女である可能性を全部消す」(もうこれ自体冷静に考えると意味が分からないが)ことに成功するのだろうと読める展開ではあるので、最後は一緒に歌ってなんかわからんけど楽しそうに終局。

キャラの魅力も十二分にあるのだが、キャラものと見せかけてしっかり導線が作られた上質な漫才。トップバッターでなければ・・・と邪推してしまう。

熱い思いを十分に語れたので、公式チャンネルに挙がっているうちに是非もう一度皆さんに見て欲しいのです。よろしくどうぞ。ちなみに私の一番好きかポイントは「お前がいることが異常なんだからな本来」

(シビアに言うとネタ時間5分でだいぶオーバーしたのはよろしくなかったかな・・・)


最後にともしげさんの突っ込まれてきょとんとして怒られて追いつめられて最後必死に目がバキバキになる一連の表情をお届けしておきます。愛おしい。

キャプ    チャ


キャプ     チャ
キャ    プチャ
   キャプチャ
キャプチ   ャ
キャ    プ チ ャ


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