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R-1グランプリ2021を観た感想

1.優勝はゆりやんレトリィバァ

大改革となった今大会。栄えある優勝となったのはゆりやんレトリィバイァ。全体通しても2本目は圧巻でした。5度目の正直、そしてTHE Wとの2冠本当におめでとうございます。

2.大幅なレギュレーション変更

ご存知の通り今大会はこれまでから大きな変更があった
・芸歴制限無しから10年以内への変更
・ブロック方式から総当たり勝ち上がりへの変更。
・審査員持ち票から採点への変更

芸歴制限は遅すぎると感じるが、ようやく踏み切れたと言ったところか。
一度設けた基準の下方修正が難しいことは百も承知だ。
採点方式の変更はどういう基準となったかが興味深い。コント・漫談・フリップなど様々なジャンルを平等に数値で評価するのは難しいと感じるのだが。

3.ピン芸人たちの健闘

本大会はピン「芸」NO.1を決める大会であり、ピン「芸人」のみの大会というわけではない。実際にこれまでピン芸人以外の優勝も数多く、下手をすると決勝進出者の半数がコンビ(ユニット)を組んでいる芸人ということもあった。そんな中今大会はほとんどがピン芸人。別にコンビであっても応援したいのだが、この大会に賭ける孤高の芸人たちが脚光を浴びることは、R-1の醍醐味でもありとても喜ばしいと感じた。

4.広がる多様性、フリップ芸の未来

今大会は半数がフリップ芸人という偏りを見せた。個人的にフリップ芸は幅が狭く、頭打ちの世界と思っていたが、今回の5名はテイストから全く異なり、それぞれの個性が爆発していたのが感動的だった。特に森本サイダーは、普通のコントからフリップに移行するという斬新な手口で、面白かったかはさておき、意外性は自分の中で今大会No. 1だった。フリップという縛りの中でも、笑いの形は無限大であることを再認識できた。

ナイツ塙の記事が面白かったので引用します。確かにフリップネタが増える理由は時間が短い故なのでしょうかね。

「フリップっていうのは、始めからそこに書いてあることで時間が大幅に減らせる」とフリップ芸をする参加者が多く見られることについても考察。「フリップが面白ければ、要するに誰でもいいじゃんってなっちゃって。表現のプラスで使っていればいいんだけど、なんかフリップだけ使ってて、人間の面白さが追いついてないことがあると思う」

5.大会に関する感想

・バタバタしすぎ
全体的に時間の余裕がなさ過ぎて、非常にバタバタしていた。特に今回の審査員面々がどういう寸評をするのかとても気になっていたので、記事にまとめたのだが、大したコメントは無し。あの時間では致し方ない。賞レースでこれは誠に遺憾である。審査員がきちんと審査し、ただのネタ番組とは違うという線引きを設けることが必要だ。何よりも審査される側が求めている事なのでは無いだろうか。あまり雑な事をしていると、大会自体の威厳を損なうことにもなりかねない。

・審査員の採点が雑すぎ
古坂大魔王は2人目のZAZYに99点を入れた。そのぐらい絶対的に評価したということは理解できるが、審査員としてどうなのか。審査員の公平性が求められることは当然だが、相対的な判断も同等に必要だと思う。そもそもみんな最初の点数が高すぎるのは、順位つける気があるのかと言いたい。

・視聴者投票の是非
なぜ頑なに審査員投票をしたがるのか。そこまで視聴率に影響があるのか。生放送で尺が足りなくなる元凶でもある。しかもこれまでは審査員と票数が同じで同価値となっていたが今回はmaxが5点。審査員の100点に比べ価値は20分の1まで下がっている。運営側がやりたがっているだけとしか考えられない。(結果的には審査員の点が詰まっていたのである程度の影響はあったようだが、審査員側の問題と考える。)

・Creepy Nutsのテーマソングは最高だけど
曲自体は最高なんだけど、大会を食うくらい流しすぎてた感じはある。ネタの始まりはせめてインストゥルメンタルにして欲しかった感じはある。

・若返りすぎたMC
審査員、出場者の若返りのみならず、雨上がりMCも今をときめく霜降り明星の2人に変更。出場者から見れば2人は芸歴的に非常に近しい存在だ。ムード的は良くなるのかもしれないが、やっぱり賞レースはある程度の緊張感があった方が良いと思う。実際にMCも雨上がり(蛍原)がやった方が円滑だったと感じる。

・事前の順番決め
これまでは敗者復活が各ブロックの最後を担っていたが、今回は決勝進出9名が1番から10番までで好きな順番を決めた。(その順番は抽選?)。結果的に余った1枠が敗者復活に振り分けられるという訳だ。つまりルールにはないが、誰も引かないであろう一番目が残ることは明白。実質敗者復活がトップバッターを担うことになる。この制度に関してはとてもいいアイデアだと思った。一度敗退している者には、何らかのビハインドが必要であると常々思っていたので、その課題をこのシステムは合法的にクリアした。M-1でも是非採用して欲しい。笑神籤のように視聴者にワクワクしてもらいたいのであれば、別に順番を開示しなければいいだけだ

・最後のカメラワークの酷さ
せっかくのゆりやんの顔芸をガン無視。さらに優勝ネタじゃなくて1本目を再度流す謎の演出。2本目は編集間に合わなかった?そもそもいらないし、時間余ってたなら審査員やゆりやんのコメントを拾うべき。

6.最後に

一応なんでもありの大会といえど、歴代チャンピオンを見てみると結構まとも(王道)なコントや漫談をする人が優勝してきた背景があるR-1グランプリ。
私の中では全てを崩壊させた2016のハリウッドザコシショウの優勝が転換期であったと感じ、翌年のアキラ100%がその感情を確固たるものにした。

前述の通りフリップひとつとっても多様性が見えた理由には、面白かったら何やってもいいんだ!と型にとらわれない芸人が自分の道を突き進み、頭角を現してきた背景があるのではないのだろうか。年齢制限を設けたことで、キャリアを重ねて凝り固まった芸人を淘汰し、新しい笑いの形を持つ若手が揃ったことが要因と考える。

そういった見解から、ZAZYが会場を巻き込むと想定していたが、個人的にはfirstステージはkento fukayaが面白かったのと、高田ぽる子のリコーダーで爆笑した。全体ではゆりやんの2本目がダントツ。1番笑ったのは上沼恵美子のCDなんですけどね。

来年も新しい角度の笑いが生まれることを心待ちにしている。

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