山登りは素晴らしい

 天気の良い日に仕事場の屋上から遠くを見ると、富士山や筑波山、日光連山などの山々が見える。いずれの山の稜線も、日中の青みがかった色から、夕陽を浴びて輝き、そして夜の闇に混ざって消える。そのような山々を見るたびに、趣味の登山で頭がいっぱいになり、この週末どこの山に出かけようかと思い巡らす。その一方で、どうしてこんなに山登りが好きなのか、ふと我に返ることがある。

 山を登る理由をそこに山があるから登る、とすればそれまでであるが、そんな訳がない。それ以外の理由で最初に思い浮かんだのは、山の美しい風景を求めているからである。山に限らず川や海岸、森林などの自然は、いつでも美しく感じる。この感覚は、私が日々の仕事や暮らしから解放されたいからなのか、それとも違う理由なのか分からない。但し、美しい風景が目の前に広がると、心が揺さぶられるし、落ち着きもする。

 山登りには旅行をする楽しさも含まれる。登山を計画する際には山中の行程を組むだけではなく、登山前後の移動手段や、食事処や温泉などの立ち寄り先も考える必要がある。このような計画を立案するときは、時間的に厳しくないのか、金額はどのくらいなのか、不測の事態の時どうするべきか等、様々な条件が課せられる。これらの条件を考慮しつつ登山の計画を立てることは、まるでパズルを解くように、とても熱中する。登ってみたい山は全国各地、はたまた外国に散らばっている。その山に登るまでの道中、その山を登る時の景色、その旅する期間の食事を想像して、期待に胸をふくらませている。

 最近になって、私が山に行く理由がこの2点だけで説明できなくなってきた。山を登るということは、努力がそのまま表れる、と感じるようになった。登山における目標地点、例えば山頂や下山口の位置は決して動くことが無い。たとえ歩く速度が遅くとも、歩いた分だけ目標地点に近づくことができる。仮に悪天候のため目標地点に到着することが叶わなくても、地図に表すことで努力の痕跡を残すことができる。実生活や仕事では努力が報われることもあるが、空回りすることもある。なかなかうまく行かず打ちひしがれている時、山に入ることで努力は報われる、ということを改めて信じられるようになってきた。

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