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「意志」

2004年製作 油彩・キャンバス F30号

この作品は、頭の中から意志が生まれ、身体が動くことの発端を見てみたいという気持ちから描きました。

人の意志が存在するということは、一般的に人は個人の意志があり、その意志に従って動いているという前提がありますが、意志の元を辿っていくと、脳内の物質同士の偶然あるいは必然の出会いにより発生する運動と捉えることも出来ます。

脳内での運動による不自由さと、RPGのダンジョンを歩くときの不自由さのイメージが重なり、周りが暗闇で、通路のある場所だけ知覚できて通れるという世界として視覚化しました。

油彩作品では、フラグ、ピンのようなものが沢山立っており、それが意志を自分で知覚している瞬間となります。
また沢山のフラグは、長い時間軸で、沢山の情報処理をしたことを表すために増やしました。

2枚目は短い時間軸を想定した習作で、経路に沿って動く「玉」のようなものを意志の元として表現しました。

普段の意志の元は、作品内の経路を忙しく右往左往しているのでしょうが、特に油彩作品ではそれらを全て俯瞰し、結晶体の美しさにただ見とれているような、あるいは風景と同じ次元で見ることを希望していたのだと思います。

それも、同時期に製作していた作品「緑の日」と同じ、悟りの概念への憧れや実践として描いていました。


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