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【遊戯王Advent Calendar23日目】遊戯王の環境に文句を言う人へ贈る。ドラフトプールを考えろ。

Advent Calendarとは

遊戯王Advent Calendar(通称:アドカレ、遊戯王AC)という企画に参加した。今回はその23日目の記事である。

そもそもどういう企画かというと、遊戯王ブロガー刺身さん(@YPsashimi)主催のアドベントカレンダー方式で有志が一日ごと順番に遊戯王の記事を出していこうというお祭り。

以前はバリバリの遊戯王ブロガーであった自分だが、最近はもっぱらシャドウバースばかり。とはいえ面白そうな企画だったのと、遊戯王に関して未だに自分の中で湧き上がるものがたくさんあったので参加させていただいた。

昨日の記事はぴーまんさん(@crowingspear)による決闘者統一理論という記事。

非常に面白かった。目から鱗の新理論で、いわゆるファンガチ論争の原因がスマートに理解できる。共通のものさしで測ればいいなんて、言われてみたらその通りだが、思いつくのと「時間」に焦点を当てるところが素晴らしい。

またDTU理論と自分を重ね合わせて、時が経つにつれ自分が一番重きを置いているDTUがマクロなものに変化していっているのだと気づいた。遊戯王を始めた当初は気心の知れた友人のみと遊ぶだけで、重視していたDTUはワンプレイからワンデュエルにかけてだった。しかし自分の主戦場がトーナメントシーンに移行していく中でワンマッチや大会、環境といったものが最も重要になっていった。そしてトーナメントを引退し、細々と遊ぶだけになった今では最も重視するDTUはライフワークにまで変化している。

本編とは関係ないとこで自分語りをしすぎてしまったかもしれないが、それほどこの記事は衝撃的だったということだ。そして、そんな記事に続くのが僕の駄文かと思うと辟易する。

他にもアドカレに参加している皆様の記事は気合が入っていて素晴らしいものばかり。ぜひ他の記事にも目を通してほしい。

本題


さて、本題に入ろう。

ここ最近は遊戯王のトーナメントシーンに全く参加してないためあまり詳しくないが、最近のトーナメントシーンは非常に環境デッキの種類が多く良環境だと聞いている。

そのためもうあまり「クソ環境」やら「一強環境」「一部のデッキしか勝てなくて環境がつまらない」みたいな不平不満はもう聞かれなくなってしまったかもしれない(…それはそれで寂しいものだが)。

が、長く遊戯王やっている人であれば誰しも上記のような不平不満を聞いたことがあるだろうし、何なら自分でも口にしたことがあるかもしれない。かく言う僕も何度も耳にしたし、口にしたこともある。

しかし、その当時の自分に待ったをかけたい。同様のセリフを口にしたことのあるあなたにもだ。

いや待て。あなたは自分で環境を整備したことがあるのか。その難しさを知っているのか。想定通りのメタゲームになることは稀なんだぞ、と。

しかしそう言ったらこう返ってくるかもしれない。

運営サイドでもない限り環境を整備する機会なんてないだろ。お前やったことあるのか?

そんなあなたに僕はこう言い放つ。

ドラフトプールを考えてみろと!!!!

ドラフトプールとは

というわけで今回は挑戦的なタイトルに反して、ドラフトプールの作成がいかに魅力的で奥深いか、そしてそれを皆様にオススメしよう。そういう記事となっている。

そもそもドラフトプールとは何ぞや、という方もいるだろう。

カードゲームにはドラフトという遊び方がある。

ドラフトという名称は、野球のドラフト会議が有名だがほとんどそれと同じ。ドラフト会議では球団が選手を順番に指名していき獲得する。同様にカードゲームのドラフトも、プレイヤーが決められたカードの山の中からカードを一枚ずつ選んでいってデッキを構築する。

そのカードの山のことを一般にドラフトプールといって、そしてここで僕が推すドラフトプールはキューブドラフトで用いるドラフトプールのことを指す。

キューブドラフトではプレイヤーが自分で作成したキューブ(カードの束)を用いてドラフトを行う。基本的にドラフトプールは主催が一人で用意することが多く、しっかりと内容を考えていないとドラフトのゲームバランスが壊れてしまう。そのドラフトプール作りが、遊戯王ひいてはTCG自体の環境整備に似ている。僕はこのドラフトプールを考えることで、環境整備の難しさや奥深さを知った。

というわけで、みんなドラフトプールを作ろう!

え?
ドラフトプールが何かは分かったけど、何が面白いかいまいちピンとこないって?

では、次にドラフトプール作りの魅力について語るとする。


ドラフトプール作りの魅力


その1、自分だけの遊戯王を創造できる。

ドラフトプールを考えて作ることは、いわば一種の自己実現である。

普段遊戯王プレイヤーたちは、考えに考え抜いた渾身のデッキで自己実現をしているだろう。ただドラフトプール作りはデッキ構築を超える多様性と可能性を秘めていると僕は思う。それはそうで、ドラフトにおいては前提となるドラフトプールの内容によってそもそものデッキ構築が変わってくる。

つまり参加者がどのようなデッキを組むか(=どのような自己実現をするか)はドラフトプール作成者の意のまま、というわけだ。自分の理想の遊戯王、自分だけの遊戯王を創造できる。

さらに、ドラフトプール作りは何者にも縛られない。好きな種族や属性、カテゴリ、ギミックにフォーカスして作ってもいいし、リミットレギュレーションなんて関係ない。はてはルールすら自分でいじってもいいので、まさに遊戯王による自己実現の究極系、気分はペガサス・J・クロフォードってところだろうか。

その2、想定内に収まらない

なんでも想定内に収まるものってはたして面白いだろうか。
遊戯王や人生って想定外のことが起こるから面白いのだと僕は思う。

その基準で考えるなら、ドラフトはくっっっそ面白い。これは間違いない。

なぜなら想定外の出来事の連続だからだ。ただの参加者のときは当たり前、ドラフトプール作成者の視点に立っても想定外のことばかりだ。まずカードの種類が多すぎて、自分でも把握しきれないほどの化学反応が起こる。また様々な思考や好みを持つ参加者によって化学反応のパターンはさらに何倍にも膨れ上がる。

そこから生まれる想定外の構築やコンボには新たな発見があって心躍らされるし、またそうした想定外な出来事ばかりの中にあって自分が想定した展開が見事にハマった瞬間の煌めきはより輝いて見えるものだ。

その3、カード一枚一枚を多面的に知れる

ドラフトプールを作るためには、もちろんカードの知識が必要だ。

いろいろなカードとのシナジーを考えバランスを調整するには、より深くカード一枚一枚と向き合っていく必要がある。例えばバージェストマワイトプリンセスの相性が良いことや、レッドデーモンズスカーライトゴーズの逆襲を受けやすいこと、逆にゴーズと神シリーズの併用は難しくて、フレムベルヘルドッグみたいなカードを採用すると月の書のようなカードが一気に使いやすくなる…などなど。

現代遊戯王では得にくい知識や経験が手に入る。現代遊戯王では見せてくれないカードの一面が見られる。これはドラフトプール作成者に留まらず参加者でも当てはまることだが、より主体的に手に入るということでドラフトプール作成者の立場は魅力的だ。

そして得た知識は存分に現代遊戯王に還元できる。

その4、そもそもドラフトが面白い

遊戯王はその性質上市販のパックなどを用いてのドラフト、いわゆるシールドドラフトができない(厳密にいうとできる。詳しくは爆アド.comへ)。そのためドラフトをやるとなるともっぱらキューブドラフトで、それにはあなたの考えたドラフトプールが必要だ。

友人たちとワイワイ囲んでやるドラフトという遊びはとてつもなく楽しい。「このカードが取られた!」「こんなデッキができた」「あんなコンボができた」。そんな言いあいをしながらやるドラフトは本当に楽しい。ただ僕がつねづね思っているのがドラフトは「貴族の遊び」である、ということ。

なぜなら通常の遊戯王に比べて必要なリソースが多い。多人数でやるため人手も必要だし、その分膨大なカードとそれに付随するサプライが必要。さらには全員で長時間過ごせる場所も必要だ。僕が「貴族の遊び」と呼称する理由も明白だろう。ドラフトをやるハードルは非常に高い。

しかし、あなたがドラフトプールを考えて作成することでそのハードルは格段に下がる。あとはもう知り合いの遊戯王プレイヤーとデュエルスペースのあるカードショップに集まるだけ。ドラフトプール作成者は貴重なのだ。だからこそドラフトプールを作成してドラフトのためのハードルを下げることは魅力の一つとなりうる。

その5、リミットレギュレーションを超越できる

またおまけ程度の魅力だが、リミットレギュレーションに一喜一憂することがなくなる、というのも挙げられる。

遊戯王プレイヤーにとって三か月に一度のリミットレギュレーション改訂は重要なイベントだろう。自分の所持しているカードが禁止になったりでもしたら大変だ。カードショップで買い取ってもらえなくなるし、基本的に日の目を見ることはなくなる。自宅のストレージの肥やしとなるだろう。

しかし、ドラフトプール作成者なら自分のドラフトで活用できる。禁止になっても利用できるのだから一喜一憂する必要が無い。むしろドラフトしかしなくなった人は気にする必要が無いといえる。おかげでリミットレギュレーション改訂があと数日で控えてるというのにこの男、「星杯の神子イヴ」をドラフトに必要だからと購入し無事二日後に禁止になっていた(しかしノーダメージ)。

以上が、僕が考えるドラフトプールを作成する魅力だ。


ちなみになぜ普段シャドウバースの話ばかりしているのにも関わらず、こんなに熱くドラフトプールを作ることの魅力を語っているかというと、シャドウバースを始めとするデジタルカードゲームではこんな自由なことできないからだ。

以前僕は「遊戯王からシャドウバースへの転向」という記事で、遊戯王とシャドウバースを比較してシャドウバースの魅力を語ったことがあった。

ただ個人的には遊戯王にもシャドウバースに負けず劣らずの魅力がたくさんあると考えていて、そのうちの一つがドラフトプールの作成に代表されるような遊び方の自由度の高さにあると思う。

シャドウバースはデジタルであるがゆえに、運営の定めたルールの範囲内でしか遊べない。エラッタされたカードをそれ以前の効果では利用できないし、別のクラスのカードを一緒くたにして遊ぶこともできない。神経衰弱チェスといった通常のカードゲームを超えた遊びもできない。

しかし、遊戯王はできる。

遊戯王をやっているときはそんな魅力に気付かなかったが、いざ離れてみてシャドウバースの窮屈さから気付かされた。

ドラフトプール作成の極意

話を元に戻すと、ドラフトプール作成の魅力については以上の通りだ。なので最後に僕がドラフトプールを作るときに意識していることについて、いくつか書き残しておく。

いざ作成してみようとなったとき、自由度が高すぎて逆に困ることがあると思う。そんなとき参考にでもしてくれたら幸いだ。

ステップ1;コンセプトを決める

まずコンセプトを決めよう。それすらもザックリしているが、要はドラフトでどんな遊戯王をやりたいかだ。

原作遊戯王を再現したようなドラフト、たくさんシンクロモンスターを活躍させるドラフト、征竜でひたすら暴れるドラフト、禁止カード盛り沢山などなど。

一例として、僕のドラフトのコンセプトを紹介する。

①「初心者〜上級者全員楽しめる」
→初心者にも分かりやすく、かつ奥深く
②「最後まで悩める」
→シナジーが編みの目のようになっている
③「古参勢、引退勢歓迎」
→昔遊戯王やってた人も楽しめる速度
④「先後の有利差が少ない」
→先攻で強い動きを少なく、かつ先ドロー有
⑤「後ろに触るカードの価値が高い」
→罠の質を上げる
⑥「不安定な参加人数に対しての柔軟性」
→6ドラと8ドラ対応に

ここでいう「昔遊戯王やってた人」というのは、僕と同時期に遊戯王を始めそして引退していった友人たちを指す。遊戯王を引退してしまっても、ドラフトなら身軽で参加できるのでやりたいと言ってくれる。僕はそんな友人たちとの絆としてドラフトプールを考えている節がある。

というわけで僕が作るドラフトプールは先攻ドロー有のマスタールール3を採用。またドラフトを開催しても人数の確保が不安定なとこがあるので、6人でも8人でも出来るように設計されている。以上のコンセプトをベースに9期くらいの速度感で楽しめるドラフトだ。

正直コンセプトは何でもいい。できればより具体的に複数あったほうがいいかもしれない。自由度が高いがゆえにコンセプトを決めて道筋を明確にするのが重要だ。

ステップ2;カウンターカードを盛り込む

コンセプトを決めたらあとはそれ通りに好きなカードを選んでいくだけ。しかしバランスの取れた環境にするには、あるカードやギミックなどに対してしっかりとカウンター手段を用意しておくのが必要だ。

例えば罠カードに対するサイクロン、リクルーターに対するエイリン、蘇生カードに対してのD.D.クロウなどが当てはまる。こういったカウンターの手段が存在しないと特定のカードやギミックが強くなりすぎてしまい、いわゆる「クソ環境」「一強環境」が誕生する。

またこのカウンター手段の枚数をいじることでカードの強さ自体を操作出来る。蘇生カードがたくさんあるプールで相手の墓地に触れるカードがクロウだけなら、クロウの強さは相対的に上がる。逆にクロウみたいなカードをたくさん増やすと、相対的に蘇生カードの強さは下がる。

そうやってカードの強さにアクセントをつけていく。場合によってはわざとカウンター手段を無くすことで特定のギミックを強力たらしめることもできる。お好みで調整しよう。

ステップ3;第一印象は気にしない

コンセプトも決めてカウンターカードを盛り込み、「さあドラフトプールの完成だ」となった時、ふと全体を見て思うかもしれない。「あれ、このカード強すぎないか(or弱すぎないか)」。もしくはそれ以前の段階で「強すぎる」「弱すぎる」と判断されて除外されたカードがあったかもしれない。

こういった第一印象のみでの判断だと、カードの可能性を潰しやすい。意外と「強すぎる」と思ったカードがそんなでもなかったり、「弱すぎる」と思ったカードがやれる子だったり。とりあえず最初は一度使ってみてほしい。

想定外の感想や結果が得られることも少なくない。試してそれで実際に強すぎたり弱すぎたりしたら抜けばいいだけの話だ。そんなとき、コナミがリミットレギュレーションを考えているときはこんな気持ちなのか、と思いを馳せる。別に試行錯誤は何も悪くない。

まとめ

僕が今回発信したいことはだいたい語りつくした。

本当はドラフト自体の魅力だったり、その技術に関してもいろいろ書きたいがそれはまた別の機会に筆を執るとする。

現在の情勢では、ドラフトプールを考えても実際にドラフトをやるのはなかなか困難かもしれない。一応オンラインドラフトなるものが数年前から存在しているので、興味のある人は調べてみるのをオススメする。ドラフトに関しての膨大な数の資料が出てくるし、自宅でもドラフトができる。

ただいつかまた、オフラインで思いっきりドラフトをやりたい。

またそのためには参加してくれる友人らが不可欠だ。ドラフトプール作成者は、ドラフト参加者への感謝が不可欠であるともここに付記しておく。

みんな、本当にありがとうございます。

遊戯王の環境に文句を言っている人なんてもうこの世にいないかもしれないが、要はドラフトプールを作ってみてほしいということ。キャッチーなタイトルを狙いすぎて滑っているかもしれない。

環境整備、ドラフトプールを作るのは大変だがそれを上回る以上の面白さがある。日がな一日考えたられるのがドラフトプールなのだ。

とりあえずこの記事を読んで一人でも遊戯王の可能性に、欲張るならドラフトやドラフトプールの作成に、目を向けてくれることを願う。

次回予告

明日、クリスマスイブ24日のライターは刺身さん(@YPsashimi)!

なんと今回の企画の主催者である。昨日のぴーまんさん(@crowingspear)はどうやらアドカレ副主催(?)らしいので、ドえらいところに陣取ってしまったと後悔してるが、後の祭り。

どんな方なのか気になったので昨年の記事を見てみたら、「遊戯王紙芝居」という新ジャンルの記事。

ストーリーの突拍子の無さとすべて下ネタに帰着させるスタイルは到底徹夜明けの深夜テンション(朝の5時)で閲覧していいものでは無かったが、すごい笑った。今年はどんな記事が出るか楽しみだ。

そしてアドカレの他の記事が見たいという方は、アドカレのAdoventarページか遊戯王ブログナビさんの方でまとめられているのでそちらをチェック!

それでは。

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