2020/4/16 LINEアンケート論文を書いた訳

【今日のUpdate(2020/4/16)】シェア可

<LINEアンケート論文を手掛けた理由>

木曜日になった。

昼間は(テレワークで)普通に仕事しているのに加えて、日曜日辺りから急に夜や早朝を論文の仕事に費やしたので、睡眠不足が溜まっていて、昨晩漸くその負債をほぼ返却したところ。

実のところ、寝不足が続いたり、解消されたりを繰り返す、というのが若い頃からの習慣のようなもので、今日は帳尻が合っている。
最近のように、寝ようと思えば寝られるけど、ニュースは気になって消さずに就寝して、霜降りの画面(あるいは怪しげな健康食品のCM)に深夜に気づく、ということはホント、精神的にも身体的にもよくないのだと思う。

高校時代の友人田中君を手伝って仕上げたLINEアンケート論文を昨日公表して、多くの反響をもらいました。どうしてこういうことを手掛けたかということを書いてみたい。

http://urx.space/V5L2

そもそも、「指数関数的」に患者さんが増えることについては、医師も含めて自然科学者には当たり前なのだけれど、世の中の人には実感がない、ということはだんだんとわかっていました。そして、その話を田中君にしたら、患者数を単純にプロットしたり、Y軸を対数表示にしたりをやってくれて、図の説得力に改めて圧倒された。これが先週半ば。

そうしたら週末に田中君から、LINEのアンケートから<真の患者数>が計算できそう、という話が来て、最初はちょっとピンとこなかったのだけど、話を聞いてみると非常に理に適っているように思い直した。

ひとまず作ってくれた図は、十分に凄さを感じさせるものでした。

で、彼が週末にはいったん説明文章をまとめるから、と言ってくれて、時折図を眺めながら、待っていた。そしたら、日曜の午後になって送ってもらった「マニュアル」はとても立派な仕事になりそうだったので、私が医学的インサイトを書き足すことを許してもらい、とりかかった。過去に投稿したり没にした、いろいろなデータを振り返って、このLINEアンケートからの推定がどう役に立つのだろう、と考えていったのです。

詳しくは論文を読んでもらえればいいのだけど、ある意味Die革命執筆と同じ構造で、数学的背景ばかり詳しくなっていると、多くの人は、メゲて読むのをやめます。

そこで、こういう別段の文章に価値があることになる。

概ね言いたいことは、こんなことです。(書いた後、上の方にコピペします)

〇LINEアンケート、何のためにやったの?と思っている人も多いけど、凄く意義があるのだよ、ということ。
〇特に、全国レベルで何らかの推定をできることは、価値がある。皆さん、PCRや抗体検査が進まない、ってぶーぶー言ってる訳でしょ??
〇真の陽性者の概算をできるって、数学(and/or 統計学、医学)の力はすごいと思う。
〇この全国に23,000人くらい(4/1時点)という感染者は、重篤化率(報告によるけど2%-5%程度)が多めに見積もられているカモ、という希望につながる。
〇一方、いわゆる集団免疫(herd immunity)を達成して、「未感染者もかからなくなる」社会にはまだまだまだ時間がかかるみたい。

率直に、我々の方法が最良だとも、他の人達、特に身を粉にして働いているクラスター対策班関連やその他の研究者が怠けているとも全然思っていません。でも、こういうのが出せることを示して、情報公開や、科学的状況評価が進んでいくことを後押しすることはできると思うのです。この文章は田中君に確認せずに出すけど、哲学は変わらないと思います。

この仕事を一緒にさせてもらえたことにあらためて田中君に感謝しつつ。

<Stay Calm & Home>

2020/4/16 Die革命グループ主宰・医師 奥 真也

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?