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「わらしべ長者」っぽい人生とは

やわらかアタマになる「考材(考える材料)」をつくっている仲山です。こんにちは!

(楽天大学学長なので「がくちょ」と呼ばれています)

竹林一さんの新刊『たった1人からはじめるイノベーション入門』のなかに、「エフェクチュエーション理論は、わらしべ長者理論だ」というハナシが出てきます。

「エフェクチュエーション」は、ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモン教授の弟子であるインド人経営学者のサラス・サラスバシー教授によって体系化され、優れたアントレプレナーが用いる意思決定の理論として、近年、世界的な潮流のひとつとして注目を集めています。(←上記書籍の説明をそのまま拝借)


このくだりを読んで、

「そういえば、『がくちょって、わらしべ長者っぽいね』と言われたことある!」

と思い出しました。

まだ「オンラインサロン」という言葉などなかった気がする数年前にやっていたオンライン私塾での質疑応答で、見つけました。

ほぼそのまま、転載してみようと思います。
若気が至ってしまっていて、回答文がおかしなテンションになっていることを先にお詫びします。なんかゴメンナサイ。。(これ以外の回答は、ふつうのテンションだったんです。。)

【質問】
私のなかでは、がくちょの半生記(?)って、わらしべ長者っぽいイメージなのですが、そういうと、もしかして失礼なこと言ってるように受け取られるかも知れないのですが、運だけで今のポジションまできた、とか決してそういうことではありません。が、運も大きく作用しているように感じます。(その辺り、自力と他力のバランスみたいなのが「ジャイキリ本」のあとがきに垣間見えて非常に印象に残っています)

それで、質問ですが、がくちょは、「運」ってどんな風にとらえられてますか?

シンクロニシティのような現象とか、特に予期せぬ出来事に何か意味があると考えますか?

著名なコンサルタントの人たちが、「人生には運が大きく作用していて、私たち自身の姿勢によって運はコントロール出来る」というような書かれ方をされますが、がくちょがスピリチュアル発言をしていた記憶がないので、どうなのかな?と思いまして。

【回答】
こんにちは、わらしべ長者だよ!(笑)

きょうはキミに、わらしべ長者になるノウハウを教えちゃうよ!

(1)目標を立てない(目標達成型より展開型)
(2)夢中で遊ぶ(イマココだけど刹那的ではない)
(3)浮く(レールから外れる、軽くする・手放す)
(4)ご縁を育む(変化をもたらすのはいつも人)
(5)スペースをつくる(流れを変えたいとき)

この5つをやるといいよ! じゃあね!

質問者:「え、ちょっと意味わかんないんですけど」

わらし:「え、どこが?」

質:「目標を立てて努力するのが成功者の王道じゃないんですか?」

わ:「キミ、いま仕事楽しいんでしょ?」

質:「楽しいです。ネットショップやってて楽しい日々です」

わ:「小学校の卒業文集の【将来の夢】に、ネットショップ店長になりたい、って書いた?」

質:「そんなわけないでしょ。プロ野球選手って書くでしょ。しかもネット自体が存在してなかったんですからネットショップ店長になりたいなんて、誰も書けないでしょ」

わ:「人が立てられる目標なんて、そんな程度のもんだっていうこと。目標立てて達成するのを繰り返してたら、想像以上のものにはなれないんだよ」

質:「ムムム・・・じゃ、じゃあどうすれば・・・」

わ:「人間には2パターンあるんだよ。目標達成型と展開型ね。目標フェチな人は、目標を立てて達成するのを繰り返していれば幸せなので前者でいいけど、そうでない人は目標達成型だけが成功の秘訣ではないと知っておくほうがいいと思うよ」

質:「ワタシ、目標フェチじゃないんですが・・・」

わ:「だよね。卒業文集に書いた【プロ野球選手】は実現してないもんね」

質:「ぐおお・・・腹立つけどなんも言えねぇ・・・。でも、たしかにわらしべ長者って、目標ないですね」

わ:「イマココを大事にして、流れに乗っているうちに、自分の想像以上のところに流れ着くのが【展開型】だよ」

質:「目標を立てて達成しないとダメな人間のままなんだと思ってました」

わ:「違うよ。成功者が講演を頼まれると、ホントは展開型でうまくいった人もカッコいいこと言いたいから、『目標を立てて達成していけば、夢は叶うんです!』っていう話にしちゃうから、みんなそれ一択だと思っちゃうんだよ」

質:「まじですか!? 騙された! その【展開型】っていうの、もっと聞きたいんですけど。さっきの『イマココを大事にする』って(2)のところに書いてありますけど、どういう意味ですか? なにもしないで勝手に展開していくのに任せるっていうこと?」

わ:「うん、キミは目標立てて達成してたほうが幸せだと思うよ」

質:「えええ、なんでですか」

わ:「わらしべ長者なめんなよ。楽して勝手に展開したと思ったら大間違いのコンコンチキだ」

質:「じゃあ、なにしたんですか?」

わ:「夢中で遊ぶんじゃ!」

質:「えええ? 楽するのと同じじゃないですか!」

わ:「【楽】と【楽しい】のちがい、わかる?」

質:「同じですよね?」

わ:「全然ちがう! 213°くらいちがう! 【楽】はエネルギーコストを使わないで済むこと、【楽しい】は膨大なエネルギーコストを使ってそれ以上のメリットを享受することだよ」

質:「なるほど! 180°ちがいますね」

わ:「いや、その前に213°のところ、いじろうよ」

質:「ということは、夢中ってあれですか、フローのことですか。先月ここで出てきたミハイ・チクセントミハイ博士のやつ」

わ:「ハナシ早いな。優等生か。そうです、それです。イマココに没入して遊ぶことです」

質:「イマココっていうことは、後先考えないで遊んでいればよいと? ビバ、刹那的な快楽!」

わ:「キミはやっぱり目標を立てて達成してたほうが幸せだと思うよ」

質:「えええ、なんでですか」

わ:「いまやっている作業のなかに、【今日より明日のほうが面白くなる仕込み】がされているようにした上でのイマココじゃないと、長続きしないでしょうが」

質:「なるほど。じゃあ、夢中で遊んでいれば流れに乗れて、運ばれるように展開していくんですね!」

わ:「甘い。オレオのメープルシロップがけ並みに甘い。わらしべ5原則を思い出して!」

質:「なんでした?」

わ:「これじゃー。メモっとけ!

  (1)目標を立てない(目標達成型より展開型)
  (2)夢中で遊ぶ(イマココだけど刹那的ではない)
  (3)浮く(レールから外れる、軽くする・手放す)
  (4)ご縁を育む(変化をもたらすのはいつも人)
  (5)スペースをつくる(流れを変えたいとき)」

質:「浮く?」

わ:「流れに運ばれるように仕事が展開していく人をたくさん見ているうちに、共通点がわかったんだよ。【浮いていること】だと」

質:「たしかに、浮いてないと流れに乗れないですもんね。そうか、これまで得た地位や既得権益なんかにしがみついていると、浮かないから流れに乗れないんだ」

わ:「そうそう」

質:「でも、そんなのを手放せる人って、かなりの変わり者ですよね。まわりから浮いてそう・・・あ! 【浮いている】って、もしかしてオヤジギャグじゃないですか!」

わ:「概念と概念を融合させた高尚な表現と言ってくれたまえ」

質:「思いついたとき、『うまい! おれ、うまいこと言った!』と思ったんでしょ?」

わ:「うるさいわ」

質:「じゃあ、まわりから浮くレベルで夢中で遊べば、流されて展開するってことですね」

わ:「キミはやっぱり目標を立てて達成してたほうが幸せだと思うよ」

質:「えええ、なんでですか」

わ:「【流される】と【流れに運ばれる】の違い、わかる?」

質:「わらしさんのいやらしい言葉攻めのパターン、だいたいわかってきたので、【流される】っていう受け身な感じがダメなんじゃないですか?」

わ:「なにその一手先まで読んだトーク。腹立つわー」

質:「でもって、【(4)ご縁を育む(変化をもたらすのはいつも人)】というのは、流れに乗るキッカケをもたらしてくれるのは、いつも他人だということですかね。自力よりも他力が効くって感じですか。だからご縁を大切にしろと」

わ:「うー、この流れ、変えたいわー。じゃあさ、流れを変えたいときの方法って知ってる?」

質:「【(5)スペースをつくる(流れを変えたいとき)】のことですね。スペース? これちょっとよくわかんないんですけど」

わ:「流れの変え方は、2つあるんだ。ひとつは、ポンすること」

質:「ポン?」

わ:「マージャン用語のポン。他人の捨て牌をもらって3枚組をつくること。【哭く(なく)】っていうんだけど、哭くとそのあとツモる(回ってくる)牌が変わってくるので、流れが変わる。ただ、ポンすると点数が低くなるから、とにかく小さくてもいいから流れを変えたいときの方法だ」

質:「つまり、なにかハナシがきたらとにかく受け入れてやってみると」

わ:「そうそう」

質:「もう一つの流れの変え方は?」

わ:「スケジュールを思いっきり空白にするんだよ。スペースをつくる」

質:「え? ヒマ人? そんなんなったら不安になりますけど」

わ:「スペースをつくると、埋まるんだよ。小さく空けると小さく埋まり、大きく空けると大きく埋まる」

質:「だから、わらしさんは会社で異常にヒマになったとき、ヴィッセルに行けっていうハナシが来たと?」

わ:「そういうことだけど、異常にヒマって言うな!」

質:「なんとなく展開型というのがわかってきました。たぶん、これを【運】と表現するなら、『人生には運が大きく作用していて、私たち自身の姿勢によって運はコントロール出来る』ということになるのも理解できますね。スピリチュアルな意味合いではなく理解できます。あぁ、しっくりきた」

わ:「そうそう。最近またスケジュールに大きなスペースをつくってるんで、次、きっと何かくるぞー」

質:「異常にヒマなんですね」

わ:「言うなや!」

ちなみに、この質疑応答の記事を書いた2016年9月の翌月から、ぼくは「横浜F・マリノス」でプロ契約社員として働くことになるのでした・・・。

というわけで、エフェクチュエーションなハナシでした!(←わかってるのか?)

エフェクチュエーションについて、詳しくは『たった1人からはじめるイノベーション入門』のP125に書いてあります。

おしまい。


https://books.rakuten.co.jp/rb/16934933/

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