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書評:プラトン『ゴルギアス』

政治に対する信念に垣間見えるソクラテスの信念とは?

プラトン『ゴルギアス』は、ソクラテスが弁論術の有用性を標榜する三人の論士と立て続けに議論を展開するという内容の対話篇です。

他のプラトンの作品でも同様に見られることではありますが、モノローグによる緻密な論理展開よりも、対話篇ならではの臨場感が見応えです。

中でも、ソクラテスが自らの信念を抱き続けることの覚悟を吐露するシーンは、衝撃的でした。およそ以下のような告白です。

「私(ソクラテス)を法廷に引き出し死刑にするようなものこそ悪い人間である。」

「しかし、ギリシアには真に政治を行うことができる人物ははいないのだ。」

「そうであるならば、私が死刑に処されるということは充分予期されることなのだ。」

一見傲然とも取れる態度に出た宣言ですが、ここには嫌でも彼の最期を想起せざるを得ないでしょう。

もちろんプラトンの創作活動はソクラテスの死後から始まっているため、これをプラトン的演出と一蹴してしまうこともできるかもしれません。ただそんなことは度外視し、ソクラテスの勇敢なな戦いのドラマとして素直に読むのが熱い!と私は思います。

ソクラテスの信念と覚悟に感嘆せざるを得ない作品です。


さて、以下は四方山話です。

新入社員の頃、まだ人間関係のできていない上司に話しかけていただき、趣味の話など私の人となりにご関心を寄せていただいたことがありました。

私の趣味が読書ということから、上司から「最近面白い本あった?」と話を広げていただいたのですが、コミュ力のなかった私はその時マジで読んでいた「プラトンですね」なんてことを答えてしまいました。

上司の「ふ〜ん・・」からしばらく続く沈黙。会話クラッシャーは完全に私だったのですが、まだまだ勘違い甚だしい鼻垂れ小僧だった私は、その沈黙に軽く恍惚を覚えてしまいました😅。

読了難易度:★★★☆☆(←ちょい長)
ソクラテス無双度:★★★★☆(←3人斬り)
ソフィスト生々し度:★★★★☆
トータルオススメ度:★★★☆☆

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