【戦時歌謡】上原敏「北満だより」

戦時歌謡でヒットを飛ばした上原敏。すばらしい歌声で、「◯◯だより」という戦地からの手紙風の歌がヒットしますが、歌詞の中身は結構好戦的です。

この「北満だより」では、「赤いきつね」(ソ連兵のこと?)を狙い撃ちすると「勇ましさ」をアピールしています。「だより」シリーズは、戦地から手紙の形なので、どうしても戦争のことにふれるわけですが、故郷の母や妻に「がんばっているよ」と、心細さを隠した手紙を送らざるをえなかった、当時の兵士たちの気持ちも透けてみえるような歌です。

上原はのちに(秋田県の手違いにより)応召し、自身も南方で戦死します。

1 銃後の友よ満州も
いよいよ冬が来ましたが
ソ満国境警備する
若い僕らの殉血は
■雪に輝く桜です

2 向うの岸はソビエート
トーチカ見える黒竜江
凍る流れを乗り越えて
赤いきつねが歯向かえば
■僕も得意の狙い撃ち

3 アカシヤの花散るころに
新京出でて幾山河
今じゃ匪賊の影もなく
雪と氷で日が暮れりゃ
■腰の軍刀が啼いとるよ

4 興安おろし吹きすさび
戦闘帽は凍るとも
僕等祖国の前衛は
ここにあくまで頑張って
■冬を越します左様なら

北満だよりは、著作権切れが確認されたとして、国立国会図書館の歴史的音源アーカイブでも、インターネット配信が行われています。
北満だより - 歴史的音源 http://rekion.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8273189

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