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宗谷本線の未来

(稚内北星学園大学の授業で、学生が書いた記事。)

近年、新聞やテレビなどでは宗谷本線の存続について報じられる機会が増えている。人口減少の進む道北圏内で、稚内-名寄-士別-旭川、さらにその先札幌までをつなぐ宗谷本線は、その重要性を指摘する声がありつつも、JR北海道単独での維持が難しくなってきているという。この問題を最北端稚内はどのように受け止めているのか。稚内市役所でこの問題を担当する、地方創生課課長の遠藤さんにお話をうかがった。

宗谷本線存続に関する市民向けの説明資料でご説明いただいた。残念ながら、JR宗谷本線の利用者は、名寄稚内間で、輸送密度403(人/キロ)と少ない。JR北海道からは、「廃止」という方向は打ち出されていないが、単独での維持存続することは困難であるという表明がされている。

 
かつて宗谷本線は、道北を縦断する重要な路線であるとともに、人々を樺太につなぐ役割を果たした。昭和3年に今の稚内駅が開業し、稚泊航路(稚内と樺太が船で結ばれていた場所)が運行した時代には、現在の北防波堤ドームまで列車が運行されていた。北防波堤ドームは、駅のプラットフォームで、船に乗り換える際、乗客が波を被らないように作られたものである。


 
近年の宗谷本線は、沿線の市町村が協議会を組織し、高速化や利便性のさらなる向上に向けた取り組みを続けていて、旭川名寄間での高速化が平成12年に実現している。稚内からみると、札幌まで6時間掛かっていた特急列車がスーパー宗谷によって約5時間になり、52分の短縮に成功している。

しかし、このような高速化や利便性の向上にもかかわらず、利用者は減少傾向にある。そして、夜行特急「利尻」が廃止になる。JR北海道は、宗谷本線は持続することが困難な路線として位置付けている。
JR北海道側では利用者の減少による赤字運営に対する取り組みとして、普通列車の減便や駅の無人化、キオスクや車内販売の廃止が行われている。
また、地方路線に関しては各地方による協力を仰いでいる。
自治体の動きはどうか。北海道では鉄道ネットワークワーキングチームによる検討会議を開催し、「広域観光ルートを形成する路線」、「国境周辺地域や北方領土隣接地域の路線」などをに対して維持すべき路線として位置づけた。宗谷本線はそれに該当するものと考えられる。
稚内市では、宗谷本線活性化推進協議会に参加する52の自治体・議会などとともに、宗谷本線の重要性を表明し、利便性の向上や維持に向けた取り組みを続けている。具体的には、アンケート調査による市民の意識調査や維持費をどう負担していくかの協議を行うなど、近隣の市町村とともに宗谷本線の存続を解決するために協力している。
しかし、現状では稚内市民が日常生活における交通手段として使用しているとはいいがたく、利用促進にも難しさがある。

取材した感想
宗谷本線存続の問題は我々稚内に住む学生にとっても大変関わりのある問題である。それに対して新聞で知るよりも鮮明に現実を学ぶことができた。
我々ができる行動を考えるならば生活の一部として宗谷本線に乗るか、事業促進のため学生として何か関わっていくべきだろうと考えた。(板谷)
JR宗谷線は移動手段のない人たちにとって廃止になってほしくないものであるが、移動手段のある人にとっては必要ないものである。移動手段のない人のことを考えるのであれば、稚内に住む市民の理解と協力を求める必要がある。JR問題についてより深く考える良い機会になりました。(松岡)



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