UXを測りたい時によくやる3ステップ

どんなサービスでもUXは重要です。

例えば、ゲームが「面白かった」とか、ECで「便利に買い物ができた」とか、あるいはインターネット以外でも、例えば飲食店で「おいしかった」というUXを感じられる事などなど、サービスにとってUXが決定的に重要である場合は多いと思います。

データ分析でUXの改善を支援したい

UXは重要なので、サービスの運用を行っている会社はこれを改善するために様々な施策を打つ事でしょう。

そのような施策を効果的に実行するためには、現状を把握したり、施策の効果を測定したりするための定量化された情報が必要です。UXを定量化したいというニーズがある訳です。

しかし、UXというのはユーザーの頭の中で起きる現象なので直接データとして捉えることは出来ません

したがって、UXを間接的に測れるような指標を発見して、それをウォッチできるようにするという方法を取ると良いです。

今日は、そのようなUXの定量化を行う際のちょっとしたテクニックを紹介したいと思います。

と言っても、いつでも使える万能なテクニックという訳ではありません。上手くはまると役に立つテクニックという感じです。

UXを定量化する3ステップ

先に結論だけ書いてしまうと、こんな感じの3ステップの質問に答える形で検討すると、UXを間接的に測れる指標を見つけやすいです。

私の場合ソーシャルゲームのデータ分析の経験が比較的長かったので、まずゲームを例に説明して見ます。

キャラクターを集めてデッキを組み、それを使って敵とバトルを行うようなゲームがあるとします。

そのゲームの高難易度なクエストで負けたプレイヤーについて「勝てる可能性を全く感じられずに負けた」のか「ある程度勝てる可能性を感じていたけど、結果として負けた」のかを知りたいとしましょう。

この2つは結構重要なUXの差です。
勝てる可能性を感じながら負けることはプレイヤーに再挑戦の動機を作りキャラクターやデッキの強化するモチベーションにつながりますが、勝てる可能性を全く感じられなかった場合はそのようなモチベーションを生まないからです。この体感について定量的に把握したいとします。

この場合は、こんな3ステップになります。

①定量化したいのはどんなUX?
→「勝てる可能性を全く感じられずに負けた」というUXを測りたい。

② そのUXを感じたとき、顧客はどういう行動/仕草をあらわす?
→ クエスト開始から時間が立たない内にリタイアして切り上げるかも。
→ あるいは、勝てる可能性を感じていたら取るであろう「一度負けたクエストに再挑戦する」という行動が減るかも。

③ その行動/仕草を起こしたときどんなログに記録が残っている?
→ クエストのプレイログ、クエストの開始/終了時刻

この場合は、クエストをリタイアしたケースについてリタイアまでの時間の分布を見たり、クエストで負けた後に再挑戦したかどうかを見たりすると、「勝てる可能性を全く感じられずに負けた」のかの参考になります。

もちろん「リタイアまでの時間の分布」を単体で見てもプレイヤーのUXが感じられる訳ではありませんが、複数のクエスト間で比較したり、ユーザーセグメント毎に比較する事で相対的な違いを知ることができます。

「勝てる可能性を全く感じられずに負けた」というUXは、ユーザーの内心で起きる現象なので直接に観測する事ができません。そこで、そのようなUXを感じたときにユーザーが取りうる行動や仕草を観測するというのがこのアイディアの中心です。

まとめ

データ分析の様々な手法は、定量化しなければ適用できない事がほとんどです。

しかし、事業に必要な情報は、必ずしも定量的なデータの状態であるとは限りません。

そこで、たとえ不完全であっても知りたいことを定量的に捉えられるようにする工夫が必要だと思います。

データ分析を行うにあたっては「今あるデータから何か重要なことが分からないか?」というデータありきの考え方だけでなく、「事業にとって重要な事は何か? それについてデータから分かる事が無いか」という課題中心な考え方も重要なのではないかな、と私は考えています。

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