データ分析で、「リソースを投じなくて良い場所」を探す

・企業が持つリソースは常に限られている。
・しかし、リソースを投じて改善したい領域は無数にある。
・そこで、リソースを投じて改善を行う効果が最も高い領域にリソースを投じるような意思決定をしたい。

この時、データ分析によって「どの領域に最も伸びしろがあるのか?」を分析できれば良いのだが、単純な分析からは「現在の規模」は分かっても「伸びしろ」は分からない。

これが前回の記事で説明した"難問"だった。

「リソースを投じた場合、どれくらい伸びるのか?」と言うデータは現時点には存在しないので、この問題にデータから完璧な答えを出すのは基本的に難しいだろう。

しかし、限られた状況下ヒントになるような情報を分析から導く事が出来ないだろうか? それについて最近考えている事を共有したい。

改善可能な"上限"に達している箇所はないか?

いくつかの改善可能な領域がある場合に、「最も理想的な状態まで改善してもコレが最高」という上限が存在する場合がある。

もしかすると、ある領域のKPIがほぼその上限近くまで達しているかも知れない。もし運良くそのような領域が見つけられれば、その領域を消去法的にリソースを追加投入する候補から外す事が出来る。

こんな例を考えてみよう。

あるBtoBの領域のランディングページで、最終的なコンバージョンポイントが「問い合わせの送信」である場合に、どのステップを改善するのが最も効果的か?

例が適当で申し訳ないが、現状のファネルが以上のような状況になっていたとしよう。この分析から分かるのは「どの段階でどのくらいドロップしているのか?」という現状の規模であって、どこを改善した場合にもっとも伸びるか?という伸びしろではない

しかし...、あるステップから次のステップへの転換率は100%という"上限"を超える事は絶対にない

仮に、ステップCからステップDへの転換率が99%だとしたら、このステップをどれだけ理想的に改善しても1%しか改善しない事になる。

このステップを改善する事で、全体のコンバージョンレートが改善する事はほぼないだろう。

リソースを投じるべき対象は「A→B」「B→C」どちらかという2択に絞れる。

最大限上手く行った場合にどれくらいの改善が得られるか?

残ったのどちらにリソースを投じるのがベストなのかは引き続き分からない。言えることは、以下の事だけである。

「A→B」の段階で大きくドロップしているので、仮に「B→C」が劇的に改善できた場合でも、全体へのインパクトはそれほど大きくない。

ただし、ここには「改善の難易度」という視点が全く入っていないので、この情報だけで「A→C」「B→C」のどちらが良いか決める事は出来ない。

まとめ

どの領域に改善の伸びしろがあるのか、現在のデータから探るのは難しい。しかし、データから候補から外してもいい場所のヒントが得られるかも知れない。

そのチェックポイントは以下の2つ

1. 改善の上限に達している箇所は無いか?
2.仮に改善できた場合でもインパクトが出ないような箇所は無いか?


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