実は簡単な算数で計算できました!OSPFの「コスト」を徹底理解
「ルータ間の効率的な経路計算ってどうせ難しいんでしょう?」
はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「基礎から分かる!ルーティング大全」第11回でございます。
前回は、リンクステート型ルーティングプロトコルの代表格「OSPF」(Open Shortest Path First)を取り上げました!OSPFは、IGP(Interior Gateway Protocol)の中でも現代の主流のプロトコルで、ダイクストラ法(あるいはSPFアルゴリズム)というアルゴリズムを使って、帯域幅を考慮した効率的な経路計算を行うのでした。
この流れを受けて、今回は、OSPFの経路計算のコスト計算をやりましょう。OSPFは学ぶべき内容がたくさんあり、今回もその重要要素にフォーカスしようというわけです。
ちょっとだけ数学っぽい(実際、反比例の式なので算数レベル)話がでます。分かりやすく説明しますから、これまでコスト計算の学びを避けて来た方(私も?)、ちょっと覗いてみませんか?ね!
では、いってみましょう!
簡単な反比例でOK!OSPFのコスト計算
OSPFは、メトリックとして回線の「帯域幅」を計算し利用するのでしたね。RIPと異なり、単にホップ数が少ない経路ではなく、実際にデータ転送に最も効率的な経路を選ぶことができるのです。
では、OSPFの計算式はどんなものでしょうか?次の通りです。
「コスト = 参照帯域幅 / インターフェースの帯域幅」
この計算式から分かるとおり、コストは帯域幅に反比例します。参照帯域幅は、比例定数であり、デフォルトでは「100(Mbps)」に設定されますよ。
つまり、帯域幅が高ければ高いほど、コストは低くなります。例として、1Gbpsのリンクがある場合、計算は以下のようになります:
参照帯域幅:100Mbps
インタフェースの帯域幅:10Mbps
コスト = 100 / 10 = 10
計算の仕組みは分かりました。が、もう少し深掘りしましょう。
管理者がコストをチューニングしよう!
コストの値は、整数値です。1より小さいときは繰り上げて「1」となります。
「待てよ、そうなると参照帯域幅を100としたとき、都合が悪いことがないか?」と思った方、その通りです。
参照帯域幅を100としたとき、10Gbpsも1Gbpsも100Mbpsも、同じくコストが「1」になりますからね。差がつきません。
でも、別に100Mbpsである必要はありません。参照帯域幅を「10,000(10Gbps)」と設定すれば、
100Mbps=コスト100
1Gbps=コスト10
10Gbps=コスト1
となりますから帯域幅によるコストの差が明確になります。
さらに、参照帯域幅だけでなく、インタフェースの帯域幅やコストの値自体を手動で調整することができます。
このように、ネットワーク構成やルーティングポリシーの見直しを受けて、ネットワークのパフォーマンスや効率を最適化するために、より詳細で効果的な設定を管理者が実現するというわけです。
コスト計算の例を見てみよう!
では、下のようなシンプルなネットワークを想定してコスト計算してみましょう!
ホップ数4の上の経路か、ホップ数3の下の経路の2択です。では、コスト計算しましょう!参照帯域幅は、100(Mbps)です。
上の経路=1+1+10=12
下の経路=10+10=20
かくして、ホップ数が多くても「上の経路」を通すのが正解ということなります!
最後に、OSPFのコスト計算は帯域幅だけでなく、他の要因(遅延、信頼性など)を考慮に入れることも可能です。が、それはOSPFのアルゴリズムとはまた別に考慮するものです。基本的には、帯域幅に基づいて計算されると理解しておきましょう!
はい、本日はここまで。今回は、OSPFのコスト計算についてご紹介しました。一見、難しそうに見えるコスト計算も基本は、ただの反比例でした。
さて、次回はOSPFパケットについてお話しします。では!
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