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電源ケーブルの煩わしさから解放されよう!LANケーブルから電力供給「PoE」

こんにちは!有線LANの標準規格「イーサネット」について連続記事でご紹介しております。

前回は、光ファイバーの通信規格についてお話ししました。その規格の型は、「●●BASE-●●」ですが、たくさんありました。とどまることを知らない高速化へのニーズに応えてきたのですね。熱くなります!

さて、今回は、Power over Ethernet(PoE)のお話しです。ようは、ツイストペアケーブルで電力を供給する仕組みです。この技術により多くの恩恵があります。いったいどんな恩恵なのでしょうか?

さっそく見てみましょう!

PoEって何だろう?

Power over Ethernet(PoE)は、ツイストペアケーブルを通じてデータ通信と同時に、電力を供給する技術です。

これにより、電源がない場所(あるいは届きにくい場所)でもネットワーク機器を設置し運用することが可能になります。

例えば、屋外の監視カメラやビルの天井に取り付けられたWi-Fiアクセスポイントなどが、PoEの一般的な利用例です。

「なんだ、電源ケーブルが減っただけじゃないか?」と一瞬思います。が、長い電源ケーブルを準備して設置するのは大変なことです。ツイストペアケーブルは最長で100mまで伸ばして使えるのですから、その恩恵は計り知れません。ケーブルを集約して、できるだけ少なくするのは世の流れです。

選べる2タイプ:その違いは?

PoEには「タイプA」と「タイプB」の二つの方式があります。

タイプA(Alternative A)は、データ通信に使用するピンと同じピンを通じて電力を供給します。どのピンでしたっけ?ストレートケーブルとクロスケーブルの記事で紹介しました。そう、1,2,3,6番でしたね。伝送路と電力路として同じ芯線が使われます。

一方、タイプB(Alternative B)では、通常データ通信には使われないピンを使用して電力を送ります。タイプAの反対ですから4,5,7,8番のピンを使用します。伝送路と電力路として異なる芯線が使われることになります。

ではどちらを選べばいいのでしょうか?よく使われるのは、タイプBの方です。ただ、伝送路と電力路が同一になるタイプAであっても、データ信号と電力信号が干渉することはないそうです。

両者のメリット・デメリットを少し調べましたが、具体的な情報は見つかりませんでした…。調べた限りでは、使用する上で大きな違いはなさそうです。

給電側と受電側の機器

PoEにはどんな登場人物(機器)があるでしょうか?よし、絵にしましょう!

PoEの概念図 PSEとPD

電力を供給する機器と、電力を受け取る機器ですね。それぞれ「給電側機器(PSE; Power Sourcing Equipment)」「受電側機器(PD; Powered Devices)」と呼びます。

PSEには通常、PoE対応のスイッチングハブやルーターが該当し、PDにはネットワークカメラやIP電話などがあります。給電側も受電側もPoE対応でなければPoEを使えません。

PSEはPDに必要な電力を安全かつ効率的に供給し、PDはその電力を受けて適切に機能します。

PoE対応機器は経済的?

PoE対応機器(スイッチなど)は、非対応機器に比べて初期コストは高い傾向にあります。

しかし、「経費が余分にかかるんだね…」と判定するのは早計です。

設置の柔軟性や配線コストの削減、長期的にはエネルギー効率が高いことを考慮すると、トータルでのコストパフォーマンスは高くなります。

特に電源のない場所や移動が困難な場所での機器利用を考えると、PoEは非常に有効な選択肢となります。

PoEの規格と進化

PoE技術は時間とともに進化し、異なる規格が登場しました。主な違いは、電力の供給量です。

2003年に標準化されたIEEE 802.3af(通称PoE)は、最大15.4Wの電力を供給できます。2009年にはIEEE 802.3at(PoE+)が登場し、これは最大30Wの電力供給を可能にしました。最新のIEEE 802.3bt(PoE++)では、さらに高い90Wまでの電力供給が実現しています。

これにより、より多くの電力を必要とするデバイスもPoEで駆動可能になりました。どんどん適用の範囲が広くなり便利になってきたのですね。


はい、本日はここまで。今回は、ツイストペアケーブルを使って、スイッチなどから電力供給を行うPoEについて紹介しました。意外と奥が深くて調べるのが楽しかったです♪。

さて、次回からは、物理層のネットワーク機器(リピータ、ハブ)に突入しますよ!

では!


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