見出し画像

速さと軽さは制御にもピッタリ!?UDPを使用するプロトコル

「頻繁に話しかけられるなら、軽い内容の方がいいよね?」

はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「ネットワークからアプリへの橋渡し:トランスポート層の世界」第9回でございます!

前回は、UDPのヘッダーについてご紹介しました。8バイトしかなく、とてもシンプルでしたね。ポイントは、UDPでは足りない機能を上位レイヤーのプトロコルが補うことがある、という点です。

さて、今回は、UDPを使うプロトコルをご紹介します。VoIPやストリーミングなどリアルタイム性を強く要求されるサービスに使われるイメージが強いかもしれません。しかし、意外なことに制御目的で使うことが多いのですよ!

早速見てみましょう!

UDPはそもそも何に適するのか?

これまでの記事で紹介してきたように、UDP(User Datagram Protocol)は、TCP(Transmission Control Protocol)と並ぶトランスポート層のプロトコルで、特に速さと効率が求められる場面で活躍します。

この特徴を活かすとなれば、オンラインゲームやIP電話といった場面をイメージしますよね。それは正しい。

しかし、ネットワーク制御やサーバ制御などで使われることが多いんです。となると、「おい、制御に信頼性はいらんのかい!?ときどき届かなくてもいいってこと?」という疑問が湧いていきます。

実は、制御目的でUDPが好まれるのは、必ずしも高い信頼性が求められないからというわけではなく、むしろ適切なバランスに応えられるからです。

具体的な状況や要件に応じて、低遅延やリソースの効率性が優先される場合があります。例えば、リアルタイム性が重要な監視や制御システムでは、瞬時に反応する必要があるため、UDPが選ばれることがあります。

しかし、信頼性が必要な場合もありますね?そんなときは、信頼性を高めるための追加のメカニズムを利用するんです。UDPを使うときは、多くの場合、アプリケーション層で補うことにより、必要な信頼性を確保しています。

制御目的の通信においては、信頼性、速度、リソースの使用の間で最適なバランスを見つけることが重要です。UDPというプロトコル一つで制御を達成しているわけではないのですね。仕組みのプロトコルスタック全体を見ないといけません。

こんなことも踏まえまして、ここでは、UDPを使用するいくつかの重要なプロトコルとその特徴について紹介します。

UDPを使用するプロトコルの例

  • RTP (Real-time Transport Protocol) :インターネット上で音声や動画などのメディアデータをリアルタイムで送信するために設計されたプロトコルです。以前紹介しましたね。

    RTPはUDPを利用しており、これにより低遅延と効率的なデータ伝送を実現しています。特にオンライン会議やライブストリーミングなどの用途で利用され、タイミングと順序が重要なメディアデータの配信を確実に行うために、RTPはシーケンス番号とタイムスタンプを用いてパケットを管理します。

  • Syslog: ネットワークデバイスやサーバーからのログ情報を集約するためのプロトコルです。UDPを使用することで、高速に大量のログデータを送信でき、ネットワーク上のトラフィックの増加を最小限に抑えることができます。

    Syslogは、セキュリティ監視や障害分析などの目的で広く利用されています。あ、TCPを使うこともありますので、ご注意ください。

  • NTP (Network Time Protocol): コンピュータの時計を同期させるために使用されるプロトコルです。NTPはUDPを使用して、ミリ秒単位の正確さで時刻を同期させることができます。自分のパソコンで使ってない方います?パソコンの時計はすぐにずれますから、使いましょう!

  • DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol): ネットワーク内のデバイスにIPアドレスを自動で割り当てるプロトコルです。UDPを用いることで、デバイスがネットワークに接続する際にすばやくIPアドレスを取得し、即座に通信を開始することができます。

  • TFTP (Trivial File Transfer Protocol): シンプルなファイル転送プロトコルで、主に小規模なネットワーク環境で使われます。UDPを利用することで、複雑な機能を省略し、簡単かつ迅速にファイルを転送できます。

なるほど、UDPはその速さと効率性から、様々なプロトコルとアプリケーションで利用されていることがわかりましたね。

TCPが持っている機能がなくとも、それを上位プロトコルが「任せとけ~」と足りない部分を補っていることも分かりました。


はい、本日はここまで!今回は、UDPを使用するプロトコルについてお話ししました!

次回は、トランスポート層でのパケットフィルタリングに行きましょう!

では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?