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廃止された機能にこそシンプル化の神髄がありました:IPv6ヘッダ

「前例を反省してシンプル化するだなんて、素敵ですね!」

はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「着実に普及していくIPアドレスの進化版:IPv6」の第3回でございます。

前回は、IPv6のアドレス表記方法についてお話しました。IPv6は、128ビットと非常に長いので、16進数を採用、短縮表記法なども取り入れて、できるだけコンパクトにするのでした。

さて、今回は、IPv6のヘッダ構成です。IPv4に比べて、IPアドレスが長くなったので、ヘッダは長くなることは予想できますね。確かにその通りです。しかし、IPv6にはパフォーマンスを向上させる工夫があります!いったいどんなものでしょうか?

早速見てみましょう!

IPv6のヘッダの特徴

IPv6パケットは、IPv4と同様に、ネットワーク上で交換されるデータ伝送の基本単位です。ヘッダ(制御情報など)とペイロード(送りたいデータ)で構成されています。

そのIPv6のヘッダは、IPv4に比べて次の重要な特徴があります。

  • フィールド数は少ないこと

  • ヘッダ長は長いこと

IPv6は、IPv4に比べてシンプルなヘッダ構成を採用しています。これらを踏まえて詳細に入りましょう!

 固定ヘッダの概要

IPv6の基本となるのが固定ヘッダで、40バイトの固定長で構成されています。絵にしますか。

IPv6ヘッダの構成

送信元と宛先のアドレスのために、それぞれ16バイトも使われているためヘッダが長いのですが、フィールドは少なくシンプルであることが分かります。

IPv4から廃止されたフィールド

注目したいのは、IPv4にあったけれどもIPv6では廃止されているフィールドです。ここにこそ、効率化のポイントが隠されているのです!

廃止されたフィールドは、具体的にいうとヘッダ長、識別子、フラグメントフラグ、フラグメントオフセットです。

ヘッダ長

IPv4ではヘッダ長フィールドが必要でしたが、IPv6では固定長の40バイトのヘッダを採用しているため、このフィールドは不要となりました。固定長ヘッダによって、処理が簡略化され、パケット処理の効率が向上します。

識別子、フラグメントフラグ、フラグメントオフセット

IPv4では、これらのフィールドはパケットの断片化(フラグメント化、フラグメンテーション)と再構成をサポートするために使用されていました(断片化と再構成は、簡単に言えば、データを送るとき、データを細かく分解することと、届いたら組み立て直す処理のことです)。

しかし、IPv6では、断片化は送信元ノードでのみで行い、途中のルーターでは行いません(IPv4ネットワークでは、ルータがパケットを断片化して小さくすることがあり、効率を低下させてしまうことがあります)。

このため、これらのフィールドが不要となりました。これにより、ネットワークの負荷が軽減され、ルータの処理が効率化されるわけです!いぇい。


しまった時間を使い果たしてしまったので、今日はここまで!次回は、IPv6ヘッダの続きをやりましょう!

では!

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