見出し画像

データ衝突を克服!イーサネット黎明期を支えたアクセス制御方式 CSMA/CD

”自分が送信したデータって、他人が送信したデータと衝突しないんだろうか?”

はい、こんにちは!イーサネットの標準規格「イーサネット」について連続で記事を書いております。

前回は、ネットワーク機器の接続形態である「トポロジー」について解説しました。バス型、リング型などいろいろありますましたね。

が、現代ではスター型が基本形なのでした。とはいえ、古いトポロジーを組み合わせて、「スター・リング」「スター・バス」といった形式もあるのでした。

スターリング型

さて、この流れを受けて今回は、バス型とリング型のアクセス制御方式についてご紹介します。アクセス制御とは、ネットワークに流れるデータの衝突をコントロールすることです。

それぞれ、CSMA/CD方式トークンパッシング方式が採用されています。いずれも古い技術です。しかし、この仕組みを知れば、現代のスター型トポロジーがどう優れているか腹落ちします。そして何より、人類の知恵が詰まっていて純粋に面白いです!

気になる方は続きをどうぞ!

長い略語もカンタン理解!CSMA/CD

まずは、バス型のアクセス制御方式「CSMA/CD」から行きましょう!

バス型トポロジー

CSMA/CDは、Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionの略です。覚えにくい頭字語の筆頭格です(私の中で)。でも、基本的な仕組みを、正式名称の中で書き尽くしている分、どんな技術かを知れば意外と忘れません。

そして、「難しいものは分割する」。私の信条の一つですので、分割してその仕組みを押さえましょう!

1)Carrier Sense(伝送を感知する)

CSMA/CDでは、各ノード(ネットワーク上のデバイス)がネットワーク上でデータを送信する前に、他のノードが通信していないかを監視しています。これが、CDです。

2)Multiple Access(複数のノードがアクセス)

バス型トポロジーでは、母線(バックボーン)を複数のノードが共有して使います。だから、MAです。

3)Collision Detection(衝突を検知)

ノードは、ネットワーク上で通信が行われていないようなら、断りなくデータの送信を開始します。

しかし、それでも同時に他のノードが送信を開始した場合、データ衝突(Collision)が発生します。これを検知(Detection)するのです。ただ、実際には、送信中に別のノードの信号を受け取ったら、衝突した!と検知します。

この衝突を検知すると、ノードはジャム信号を発します。ジャム信号を受けとったら、ランダムに選んだ短い待ち時間の後に再びデータ送信を試みます。

これがCSMA/CDの基本的な仕組みです。

みんな好きな時に話そうぜ!という思想

CSMA/CDは効率的でシンプルな制御方法です。送信する権利を管理しないでオーバヘッドを減らそうという発想に基づいています。これをContention-based Modelと言ったりします。

「円卓を囲んで会話している様子」を思い浮かべてください。

”誰も話してないようなら自分が発言する、それでも発言が被るときがある、そのときはちょっと待って発言を再びする。”

なかなか合理的だと思いませんか?

しかし、バス型では「半二重通信」が行われており、一度に一方向のみでデータを送受信できないので、ネットワーク上のデバイスの数が増えると衝突が頻繁に発生し、性能が低下します。特に100Mbps以上の高速通信では、この方式はうまく機能しませんでした。

そこで、スイッチングハブを使用したスター型トポロジーへの移行が進んだ、というのが大きな流れです。

トークンパッシング方式の原理

続いて、リング型トポロジーのアクセス制御方式「トークンパッシング」を見てみましょう!

トークンパッシングは、通信が衝突しないように設計された別のアクセス制御方式です。この方法では、ネットワーク上のデバイスは「トークン」と呼ばれる特別な信号を受け取った時のみデータを送信できます。リングの中を1方向でクルクル「トークン」をバケツリレーしているんです。

トークンパッシングの利点と欠点

トークンパッシングの最大の利点は、データ衝突が発生しないことです。これにより、ネットワークはより予測可能で安定した通信が可能になります。これはDeterministic Modelとも呼ばれています。

学校の授業を想像しましょう。

「先生が指名した学生に発言権が与えられて、発言したら発言権を失う。先生は別の学生を指名して発言権を与える。」

うーん、これも合理的と言えば合理的ですね。

しかし、トークンを管理するためのオーバヘッドが大きいのです。ネットワークの規模が大きくなるにつれて、この方式の効率は低下します。

以上が、トークンパッシングの概要です。これも現代では、廃れた技術であり、リング型トポロジーも積極的に使われていません。


はい、本日はここまで!今回は、バス型の制御方式CSMA/CD、リング型のアクセス制御方式トークンパッシングについて紹介しました。なんとか知恵をしぼって、多元接続ができるようにしたんですね。ちょっと感動的です。

次回は、この記事でも少し出てきた「全二重通信」と「半二重通信」をやりましょう!では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?