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どうすればデータ衝突を避けられる?コリジョン・ドメインの最適化

「送信中のデータが衝突しないようにするには、どうするのだろうか?」

こんにちは!松井真也です。有線LANの標準規格「イーサネット」についてシリーズでご紹介しております。

前回は、データリンク層の中継機器「ブリッジ」について紹介しました。現代では、スイッチに置き換わったものの、コリジョンドメインを分割するという重要な役割を担ったのでした。

さて、今回は、そのコリジョンドメインを深堀しましょう!

現代ではあまりデータのコリジョン(衝突)が心配されることは多くないのです。さはさりながら、コリジョンドメインについて知ることは、現代のネットワーク設計と運用を知るための基礎になるはずです!

ということで、コリジョンドメイン、いってみましょう!

コリジョン(衝突)って何だろう?

コリジョン(collision)とは、複数のデバイスが同時にデータを送信し、その信号が衝突することを指します。でも、コリジョンが起こると何が問題なのでしょう?

直接的な問題は、データが失われ、正しく送信できないことです。これに対して、以前紹介したCSMA/CD方式では、コリジョンを検知して、ランダムな時間待ったあと、データを送信する仕組みがありました。

バス型トポロジーでのコリジョンのイメージ

しかし、これが頻発すればネットワークは混雑し、通信が遅延します。しかも、ケーブルが長い場合リピータハブを多用すると、このコリジョンをうまく検出できなくなるのです。

現代の高速通信ではコリジョンは避けねばなりません!

データの衝突が起こる範囲:コリジョン・ドメイン

コリジョン・ドメインとは、CSMA/CD方式のネットワークにおいて、データの衝突が起こる範囲を指します(ですから、スター型をベースにした現代のネットワークでは、「コリジョンした!」なんてことは聞かないですね…)。

このコリジョン・ドメイン内では、一度に一対の端末しか通信できません。一つのMACフレームが通信経路を独占しまうんです。そのため、ドメイン内の端末数が少ないほど、効率的な通信が可能になります。

コリジョンドメインを小さくしたい

かくなる上は、コリジョンドメインを分割し小さくして通信経路を最適化しなくてはなりません!

ここで、コリジョンドメインを分割する役割を担いますのは、データリンク層の中継機器であるスイッチとブリッジです。ブリッジがコリジョンドメインを分割することは、前回記事でちょっと触れました。

ブリッジがコリジョンドメインを分割する

スイッチやブリッジは、ポート単位で固有のコリジョン・ドメインを持たせて、MACアドレスに基づいてデータを転送します。

ですから、スイッチのポートに直接接続されている機器は、1台だけで一つのコリジョンドメインを構成することになります。これならコリジョンはおきませんね!

これにより、コリジョンドメインは小さくなるので、コリジョンのリスクは減少し、全体的なネットワークパフォーマンスが改善されというわけです。

リピータハブの役割は?

ところで、物理層の中継機器「リピータハブ」は、コリジョンドメイン内でどう位置付けられるでしょうか?

リピータハブは、コリジョンドメインを分割しません。むしろ、段数を増やして、接続機器が増える結果、コリジョンドメインを大きくする方向に働きます。リピータハブは、コリジョンドメインを分割するのではく、構成している機器なのです。

結果として、コリジョンが検出できる制限の範囲内でしか、リピータハブは増やせません(スイッチはコリジョンを起こしませんので、コリジョン回避という観点からは段数制限はありません)。



はい、本日はここまで!今回は、コリジョン・ドメインを丁寧に解説しました!ブログの回を重ねるごとに、中継機器の役割の違いがクリアになってきましたね!

さて、次回から中継機器スイッチを紐解いていきましょう!

では!

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