【サイバーセキュリティ】RASを日本独自に拡張したの?「完全性」と「安全性」
はい、こんにちは。前回記事からの続きです。システムの品質を評価するための基準「RASIS」について、紹介しています。
これまで、信頼性Reliability、可用性Availability、保守性Serviceabilityの3つの重要指標についてご紹介しました。
「信頼性」と「保守性」には、それぞれ「MTBF」と「MTTR」という定量的な尺度がありました。「稼働時間」と「修理時間」で補いあう関係でした。これらの尺度を利用して、「可用性」の尺度である「稼働率」を算出するのでしたね。
今回は、完全性Integrityと安全性Securityについて、ご紹介します。この2つの指標は、確かに重要そうなのですが、先に紹介したRASとは何か様子が異なりますよ。
気になりますね!?では、続きをどうぞ!
RASの歴史は古かった
先にRASの歴史を少しだけ紐解きましょう。
このRASという概念を提唱したのは、あのIBMでした。1970年代に、同社製のメインフレームの価値を訴えるために提案されたようです。
そんな昔からあるんですね。以降、現代でもRASという用語は世界的にも使われています。
完全性Iと安全性Sは後から追加された?
ひるがえって、完全性と安全性(あるいは機密性)を含むRASISは、どうでしょうか。
ググっても海外の文献についてはうまくヒットしませんし、ChatGPTに英語で聞いても「RASIS」という単語の説明がうまく返ってきませんでした…(代わりにRASの説明が返ってきました…)。
何だこれは!?
実は、RASISという用語は、日本独自で完全性IntegrityとSecurityをRASに加えたものらしいのです。
となりますと、海外の人に向かって「RASIS!」という用語を使うのは止め解いた方がいいですね。RASはもちろんいいのですが。
RASとの違いはこれだけではありません。IとSの方は、RASと異なり明確な定量的指標がありません。これも頭の片隅にいれておきましょうか。
完全性Integrityとは何か?
さて、本題。完全性のIntegrityとは何でしょうか。情報セキュリティのCIAで同じみの単語ですね。
一言でいうと、「データの喪失、改ざん、不整合などがないこと」を言います。
ただし、システムの安定した稼働を評価する文脈では、その原因が、どちらかというとサイバー攻撃というよりは、システム障害や誤操作にあるといえます。
対策は、フールプルーフ機構やバックアップなどとなります。
安全性Securityとは何か?
どんどん行きましょう。最後の安全性Securityです。文献によっては、Securityを「機密性」と訳しています。
確かに、「機密性」と訳せば、RASISのなかに、情報セキュリティの三要素がうまく入ることになりますね(情報セキュリティ三要素では、機密はConfidentialityですから、SecurityのSでなくCにしてほしかったところですが)。
「機密性」は、特段の解説は不要かと思いますが、「見る権限のない人が、見ることができないこと」です。説明が適当すぎますが、お許しを。
以下、私の感想ですので、参考程度にとらえてください。
完全性Integrityがどちらかというと、内在的なリスクに視点が置かれるのに対し、安全性Securityの方は、どちらかというと外部からの脅威・攻撃に視点がおかれている気がします。そう考えると、IとSが補い合う関係に見えて、自分の中で腹落ちします。
はい、本日でRASISの解説は終了です。
実は、ずっとRASISというものが漠然としていて理解できずにいたのですが、今回だいぶスッキリと理解できるようになりました。特にRASの部分は、互いの指標の関係がよく整理できたと思っています。
ではまた!
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