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SUNEASTのメモリーカードをLUMIX S1Hで使う

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■沖縄の写真家、今泉真也と申します。自然と人間の接点をテーマに撮影を続けています。映画が好きなので動画もやっています。

Facebookなどに気になった機材や気に入った機材のレビューなどを投稿してきましたが、少し専門的な記事についてはクリエイターに評判の良いこのnoteに載せてみることにしました。同じプロの方や、写真・映像を追求しているハイアマの方々のお役に立てるといいなと思います。

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最近、SUNEASTのSDXCとCF EXPRESSメモリーカードを使っている。デジタルカメラで撮影をするときに一番大事なものにはカメラ、レンズ、カメラバック、三脚といろいろあるが、カメラのメモリーカードもそこに入るだろう。まったく目立たない存在だが、故障しては困るものの筆頭だ。

これまでサンディスク、ソニー、パナソニック、トランセンドなど様々なメーカーのカードを使ってきたが、SUNEASTのメモリーカードを使いはじめたきっかけはAmazonだった。奄美大島でやや長期の動画ロケがあり、長回しも想定されたため、追加で購入するカードを調べていたところ、この見慣れないメーカーに目がとまった。パッケージに「日本国内メーカー」とある。

コノハズク奄美202108

ある程度高速で安価なカードを探そうとすると、どうしても模造品に当たるリスクがある。読者の皆さんと同じように、ヤフオクやらメルカリやらを駆使して少しでも安いものを探す。だがサンディスクなどは本物かどうか、実際に使ってみるまではまったく安心ができない。メーカー直送の新品しかないのか・・・とあきらめている人は多いのではないだろうか。

検討していたSDXCのV90カードの性能を見ると、まずデータの記録方式にpSLC方式を採用しているとある。これは最近主流となっているMLC方式より、約10倍の書換えが可能と言われている方式だ。一日に何千カットと撮影したり、繰り返し録画をするような自分たちプロには頼もしい。
また速度も読み出し速度300MB/s、最大書き込み速度290MB/sと、現在使っているソニーのTOUGH SF-G(読み出し速度300MB/s、最大書き込み速度299MB/s)と比べても、遜色がない。よし、いけそうだ。試しに購入した。

羽黒産卵奄美202108

届いたパッケージはしっかりとしていて安心感があった。CF EXPRESSのパッケージのほうには、驚いたことに8K30P RAWへの対応が明記されていた。動画に詳しくない方にむけて補足すると、8K30P RAWとは、高画素の写真(それもJPEGでなくRAW)を秒間30コマ連写している状態にあたる。現状CanonのR5は熱問題を抱えているため長時間の録画は難しいが、非常に安心感のある表示だと思った。

ちなみに今回のロケではパナソニックからお借りしたLUMIX S1Hをメイン機とし、4K60Pの4:2:0、10bitで運用する予定だったので、まず問題なく対応できることが予想された。

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カード自体の強度も高い。一体成型のTOUGH SF-Gには及ばないが、よくあるペコペコした貼り合わせ感はなく剛性が高い。ほかにも、カードに文字や番号を書き込める空欄が設けられているのは、とても実用的だ。

ロケが終わった。このページの写真はそのときのものだ。動物のものはS1Hの4Kから切り出している。

メモリーカードのレビューというのは難しい。現場ではおよそ10日間、連日カメラは1日13時間ほど炎天下と雨天の下で酷使された。LUMIX S1Hはクーリングファンを搭載したプロ仕様のミラーレスで、その酷使に耐えた。同じようにSUNEASTのメモリーカードもカメラの内部で耐えていたのは間違いない。

クロウサギ奄美2021

SUNEASTは、じつは、かのレキサーから移ったスタッフが展開しているブランドだということがわかった。また製品企画の段階で写真家に協力を依頼し、テストを重ねて商品化しているという。製品自体もアレやコレといった有名どころのカードと同じサプライヤーで作っているということだった。担当さんに聞いたカード業界のよもやま話は非常に面白かった。

メモリーカードを製造する側からすると、記録できそうにないときはデータ保護の観点から停止するカードのほうが信頼できる、という話や、最大書き込み速度299MB/sのソニーSF-Gに比べて、009 MB/sスピードが落ちることが悔しい、とも語っていた。僕らからすると299と290はほとんど同じ感覚なのだが。^^

粘菌奄美202108

いちばん感銘を受けたのは、他社のカードをあれとこれはいい、素晴らしい、と語っていたことだ。そこからは、とにかくユーザーによいものを使ってもらいたい、メモリーカード業界全体でレベルアップしていきたい、という気概のようなものが伝わってくる気がした。

A.Iの時代になっても、ものをつくるのはまだまだ人間だ。またひとつ、よいメーカーに出会うことができた。黙って、故障することなく記録し続けるというメモリーカードの仕事は、あまりにも地味である。だがその仕事なくして僕たちの仕事も生まれない。不思議な機材だと思う。


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