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書籍レビュー:自分を傷つけることで生きてきた

こんにちは、Shinyaです。

昨日、形成外科医の村松英之先生が書かれた書籍「自分を傷つけることで生きてきた」を読んだのでレビューしたいと思います。

精神科だけでは終わらない自傷行為の治療

自傷行為の治療といえば「精神科」ってイメージがあるけど「形成外科」の役割も大きかったりする。

たとえば精神科に通院して自傷から回復したとしても、残った傷跡を処置するには形成外科に行かなきゃならない。

そもそも精神科への通院を止めてしまった人もいるし、精神科に行かない人、親が反対して行かせてもらえない人も割と多かったりする。

そう考えると形成外科の先生って「リストカットのその後」に関わることができる特別な医師ってことになる。

「あなたにとって自傷はどんな意味がありましたか?」

この質問、村松先生が傷跡治療をする人に対して尋ねるという。

傷跡治療って「外科的治療」「外科手術」だから、正直こんな質問をしなくても治療は可能なはず。

でも本人が自傷を受け入れ、自分で言葉にできる状態になっているかどうかは、傷跡治療した後の結果に影響するらしい。

この質問、「ありましたか」と過去形になっていて、過去と決別している感じなのも良い。

とても印象に残るフレーズだった。


誰に傷を打ち明けるか?

目次でこの章タイトルを見たとき、ちょっと驚いてしまった。

というのも、打ち明けた結果、理解のない人から否定的な意見を言われるケースが多く、悪い方向へ進みがちだから。

Yahoo!知恵袋を見ても、そんな親やパートナーに対する悩みが多い。

しかしこの本では、打ち明ける相手はどんな人たちがいるのか、そしてうまく使えるコツや、理解してくれない相手だった時にどうすればよいかが書かれている。

しかも40ページ超のボリュームで。

本書で一番実用的なのは第3章なのかもしれない。

貴重な約10名の自傷体験記

この本には過酷な過去を経験された方々の体験記が載っている。

体験記を読んでわかったのは、始めたきっかけも、回復のきっかけも、現在の心境も、みんな様々だということ。

支援する側は先入観や他人の体験記で知ったかぶりになるのではなく、目の前にいる本人を見なければならない。

そんな気持ちになった。

ちなみに自傷体験記が載っている書籍としては他に「リストカットシンドローム」や「「死にたい」「生きたい」の間に何があった?季刊ビィ増刊号No.21」がある。

どちらも10年以上前の内容だが、どちらもAmazonで入手が可能。


松本俊彦先生の著書と合わせて読みたい

以上、書籍「自分を傷つけることで生きてきた」の感想でした。

自傷行為などの依存症に詳しい松本俊彦先生の著書と合わせて読んでおきたい一冊でした。


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