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現実のスピード

どうしてもフットワークが鈍くなったところはあると思う。
やはり都内に出るまで2時間はかかるし、それよりも家を出てから電車に乗るまでだいたい30分くらいかかるという心理的なハードル。仕事があるということを踏まえると平日に家に籠りがちになるのは当然のこと。ここへ行きたいという強い動機ができる場所もない。チャットでのやり取りはスピードが早いため、常に心を配っていないといけないような気がする。インターネットを通じて仕事をすることの功罪だと思う。

どこでも仕事ができるなんて羨ましがられるけど、僕はそういうふうに思ったことはない。いくつものFacebookグループ、Slackチャンネル、Gmail。それぞれに頻繁にやってくる通知に心を配らせて、仕事を滞りなく進めることの難しさ。なんなくやっているようだけど、これはほんとうは難しいことだと思う。できているからやっているだけで、本来やってはいけないことなんじゃないか。マインドフルネスが必要なのも当然で、こんな環境では現実に生きている心地がしない。何気なく人の時間を奪い、奪われていることを自覚しないといけない。そのために移住したのもあるはずだけれど、心の弱い僕はその流れに負けていき、仕事のスピードはどんどん早くなっていく。

結局、その場にいるだけではだめで、心をここに置いて、きちんと周りに心配りをしないといけないなと思う。パソコンをリビングに持ち込んではいけないし、そこにいるのにいないようではいけない。

インターネットの先と、自分の足が立っているこの場所の共存。それこそファスト化にそのまま流されていればどれだけ楽だったかと思う。物を買うのも移動をするのもすべて効率よく最大限のスピードで動くこと。それができないのがもどかしいし、その早さで動いている人たちに対して申し訳なくも感じる。でも、僕はここで生きていくことを選んだのだから、そろそろそういう気持ちとも離れなきゃいけない。僕には僕の人生があるし、家族(もはや家族と呼んでもいいだろう)の人生もある。それは何よりも優先すべきものだ。

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