街の色気
3月も半ばになり暖かくなる日が近づいてくると、ユキヤナギが白い小さな花をたくさん咲かせる。「ここにも植わってたんだ」と、花が咲いてから気付くこともある。引っ越した先の家の敷地内にもユキヤナギが植わっていて、部屋の内装も白が基調だ。大家さんは白が好きだとみた。
今日、ユキヤナギに雪が降った。
「毎年3月に雪は降ったっけかな」と思い調べてみると、太平洋側ではひな祭りや啓蟄のあたりにその冬最後の雪が降るとある。終雪というらしい。今年はいつもより暖かく雪も少なかったと思うが、啓蟄の時期に雪を降らせるところに季節の律儀さを感じる。
住みはじめたところには一軒家が多く、庭にそれぞれの植物や木が植えられている。管理された花壇ばかりの環境から移ると、このような風景からは受け取るものが多く楽しい。街の色気のような気もする。色づいた花を見て季節を感じることがこれほど幸せなことだと感じたのは久しぶりだった。それらについついカメラを向けてしまいがちだが、もし家の中からその姿を見られていたら不審者に思われるかもしれないとカメラをしまい、心のなかに季節を感じ取ったことだけを留めておくのだ。
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