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思わず笑みが溢れた

彼からの返事が届いたのだ

書かれている内容は至ってシンプル。

だけどとても嬉しくて
そのメッセージを何度も読み返した

どうして嬉しく思えたのかは
今でもよく分からない

だけど
そこには確かに
微笑んでる私がいた


それから始まった彼とのやり取りは
私の一番の楽しみになった

何気ない会話が
こんなにも安心するものかと思ったし
言葉のチョイスや使い方がセンス抜群な彼に
次第に惹かれていく

会ったこともない彼への想いは募るばかり

でもそれはとても危険なことだとも分かっていた


どうせ束の間の楽しみ
きっと仲良くなることはないし
もし会ったとしても直ぐにお別れするでしょう

でも
それでも良いかな
どうせ私の人生終わってるし

…なんて
自分の中で都合の良い理由付けをして
どうせ会うなら楽しまなくちゃと
今思えばめちゃくちゃな思考のもと
彼との会話を続けた

文字でやり取りする強みに手伝ってもらって
男女間の少々過激な持論を述べたりしてみたけど
彼は全てを優しく包み込み
穏やかなお返事を返してくれる

この人は女性の扱いに長けているのでは?
仲良くなると私が苦しい気持ちになりそう…

など
自制のために色々と考えるようにしたが

それでもいいから会ってみたい

と自覚するのに
さほど時間は掛からなかった

それからというもの
まだ見ぬ彼への想いが少しずつ募っていく


彼と初めて会う約束の日
やむを得ない事情で約束をキャンセルした

きっと
彼と会うことはできないだろうな

そう思うと
とても悲しくて
数日ぶりに大きな溜め息を吐いた



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