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VIVANTはジェダイだ。

スター・ウォーズの遺伝子


日曜劇場【VIVANT】が最終回を迎えた。祝。
「ドラムはチューバッカのイメージ」という福澤監督の言及もあり、スター・ウォーズの骨格と血が流れているような、遺伝子が入っているような、壮大に面白い作品だった。
今、思えば、第一話のベキ(役所広司)とノコル(二宮和也)の顔見世シーンのビジュアルは、ジェダイ・マスターのクワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン)と若き日のオビ=ワン・ケノビ(ユアン・マクレガー)をイメージさせるものだったなあ。主要な舞台となったバルカの広大な砂漠と草原も、スター・ウォーズの惑星の荒々しい地形のイメージを想起。
テントに潜入してからの乃木(堺雅人)は、ノコル(二宮和也)とおソロの、ルーク・スカイウォーカーを彷彿とさせる格好に着替えちゃうし。
乃木(堺雅人)がルーク・スカイウォーカーだとすると、兄弟的存在のノコル(二宮和也)は、レイア姫だね。

地上のジェダイたち


テントに入った乃木のお着替えは、まるでジェダイになったかのごとく。
いや、そもそもテントの外にもジェダイはいっぱい。
別班のエリートなソルジャーたち(松坂桃李)、ハン・ソロみたいな公安・野崎(チューバッカ・ドラムと共に躍動)、ワイルドなバルカ警察のチンギスも。
地上のジェダイが渋滞状態の、VIVANTだった。
宇宙ではなく、地上のスター・ウォーズが、創られたようだった。

血よりも地のつながりを選んでいく


VIVANTの登場人物たちは、血の絆ではなく、地の絆を選んでいく。
血がつながる関係よりも、生きていく中で育まれていく関係を選んでいく。
乃木は実の父親ベキと子供時代に強制的な別離を経て、ベキは血がつながらないノコルと親子的絆をつくり、孤児院そだちだったチンギスにとっての父もベキに他ならないし、少女ジャミーンは父を失ったあと、薫と乃木と家族的な絆をつくっていくのだろう。
ベキとノコルが大切に育んだ「孤児院」も、血の絆が絶たれ、地の絆をつくっていく場所である。
血のつながりは、生きていくうえで、主人公にとって、希望となる物語になってくれる。
でも、今まで流れてきた、今、ここにある地のつながりは、主人公も参加して作ってきた、かたちのある実物の手触りをもった物語だ。
地上のジェダイは、血の絆と別れ、地の絆を選び、つくっていく人たちだ。

「父殺し」はあったのか


VIVANTが、スター・ウォーズの遺伝子を汲んだ物語なのであれば、「父殺し」は主人公が避けて通れないことなのだけど。父殺し=成長となるから。
VIVANTは「父殺し」のかたちを変えること(ベキは生きているのではないか?)で、新たな物語に変えてしまうこと、をたくらんでいる予感を残した。意味深な乃木のセリフを残した終わり方だった。
まだ「祝・最終回」の花束を贈るのは早いのかも。
地上のジェダイの物語は終わっていないのかもね。
#二宮和也 #堺雅人 #VIVANT

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