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キョロ


高校3年の永田はいつも通り、カーストの上位者、いわゆるアルファ男性たちとの付き合いに没頭していた。彼の存在はまるで忘れられたかのようで、周りの期待に応えることが彼の生きる道だった。しかし、ある日、彼の内なる声が目を覚ました。

「なぜこんなに他人の期待に縛られているのだろう?本当の自分は何処に行ってしまったのか?」

永田の心に、突如として感傷的な感情が湧き上がってきた。彼はスマホに反射する自分を眺めた。その顔には乾いた笑みがぼんやりと浮かんでいた。

「なぜこんなに自分を偽ることに快感を感じるのだろうか?惨めな現実を直視することはあまりにも辛すぎる。自らを騙すことの方が楽だなんて、こんな皮肉な話があっていいのだろうか。」

永田は、気づかないふりを続けた。周囲の人々は、彼が変わったことに気付かないようだった。彼はその虚構に身を委ね、その中で自己満足を見つけた。

しかし、その心の奥底には、新しい未知の世界を探求する渇望が静かに燃えていた。彼はまだ、自分自身の迷路の中で、真実と欺瞞の狭間をさまよっていた。

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