中世ヨーロッパ風ファンタジーのお嬢様系小説かいたよ!挿絵は追加するかもです。好評なら文化祭で刷ります。


美しく着飾られた鉄格子の向こうから、人々の行き交う音がする。
何処かへ急ぐ足音、世間話で談笑する声。。。
整頓されたキレイな部屋の中、容赦なく照りつける朝日。
ぅうん。寝返りを打つ、眩しい光を嫌い再び微睡みの中へと入ろうとする意識。
優しくコンコンと扉を叩く音に、再び現実へと引き戻される。
彼女は、はい少々お待ち下さいと急いで身支度始める。はだけたシャツを脱ぐと、絹のようなシミ一つなく白く輝く肌が映る。制服を纏い、櫛で軽く髪を梳かしていく。
それでもピョコンと跳ねる髪にため息をつき
これ、なんとかならないかしら。。。と考える。
取り敢えず帽を被り両親からのプレゼントであるカバンを持って外に出る。
遅いわよ何をしていたの?
ガーネットのような瞳を向けニコニコと、でも何処か不満そうな可愛らしい声で語りかける少女。
ごめんね、昨日は良く眠れなくって。鈴のような透き通った声、
少しばつが悪そうな顔ではにかみながらそう返す。
あら、珍しいことも有るものね。シャーロットが寝坊だなんて明日は矢の雨でも降るんじゃないの?

あら、私だって人間なのよ?寝坊の1回や2回はするわよ。エミリー?
クスリ笑いながらそう返す。

エミリーはシャーロットの顔をまじまじと見つめる。
もしかして昨日の事、気にしてるの?
心なしか潤んだ目で問いかけるエミリーを見つめる。

その件は朝食を取りながら話しましょう。最近学校の近くに新しい喫茶店が出来たでしょう?あそこのパイが絶品だそうですよ?

分かったわ。ならそこまで行きましょうか。

道中ではエミリーが幼い頃の私との思い出を語ってくれた。
学園に入って間もない頃、周囲と馴染めたようで、馴染めていない。そんな私に声をかけてくれた。高位の貴族だからと色目を使わず私を私として見てくれた。たった一人の親しい友人。幼馴染み。中でも深い思い出はーーー

ここが新しく出来た喫茶店?
エミリーが視線を投げ掛ける。

そうよ。思ったより早くついたわね。
物思いに耽っていると件の喫茶店前だった。パンの焼ける香ばしく食欲が刺激される匂いが漂っている。

ガチャりと扉を開けると全体的に落ち着いた印象、高級感のある色合いの室内が出迎えてくれる。

いらっしゃいませ

軽く会釈をするシャーロット。
体に染み付いた癖のようなものである。

店内には学園近くということもあり、学園の関係者が多くいるように感じられる。

エミリーを連れ、離れのテーブル席に腰掛ける。
メニューをさっと見終えると、シャーロットはアップルパイとアイスコーヒー。
エミリーはクロワッサンとビーフシチューパイを頼んだ。

メニューを立て掛け、エミリーの方を見る。彼女は何処か気まずそうな目でこちらを見る。
シャーロットが口を開く。

昨日のことは気にしていないと言えば嘘になるけど、、、勘違いしないで欲しいのだけれど少し嬉しかったのよ?私達今まであんな事を言い合って来なかったじゃない?だから私はエミリーに何か不満を持たせてるんじゃないかって、、、
尻すぼみになりながら震える声で紡ぎだす。

エミリーはうつむく、頬を伝う涙
宝石のように赤い目を揺らし震える唇。
ごめんなさい。シャーロットは何も悪くないのに、悪くないのにっ
私がっあんな無神経な、、私が評価されないのは貴女のせいだって、そんなはずある訳ないのにっっっ!
あんなに酷いこと言ったんだもの
今日で友達も終わ。。。

口を塞がれる、何が起こったかわからない驚いた表情で固まるエミリー

儚い花のように優しく揺れるシャーロットの笑み。

いいのよ。だって昔に約束したじゃない貴女と私はずっと友達だって、覚えてるでしょ?学園に入って1年たった頃に、、、

エミリーは思い出す。
そう、あれはシャーロットと初めてピクニックに行ったとき。
私は野草と花で作った花冠をシャーロットの頭の上に載せ、言ったのだ。

どんな事が起きても私は貴女の友達よ。ずっとずーーーっとよ。

思い出す。止まりかけていた涙がまた溢れだす。
どうしてあんなに大切で、暖かい気持ちを忘れていたんだろう。

シャーロットは胸の内を告げる。

だから私はエミリーの友達をやめるつもりは無いわよ。あの時した約束を破るつもりは無いもの。
それにね、私はエミリーの本心が知れて嬉しかったのよ。最近素っ気なかったり様子が変だったから余計に心配だったもの。あんな言い方をされて嫌な気持ちにならなかったわけでは無いけれどね。
優しく笑いエミリーを抱き締める。
胸が熱くなりなんとも言えない感情になる。哀しみ、安心、喜び
不思議と怒りはなかった。
かなり酷い事を言われたはずなのだが。

エミリーは小さく、しかし力強く

本当にごめんなさい。時に傷つけるような事をするかも知れないけれど、これからもずっと友達でいてね?

私は抱き締める力を強くし、
もちろんよと返すのだった。

お待たせしました。

料理が運ばれてくる。2人の前に置かれると気まずそうに目を合わせはにかむのだった。

店員の気遣いが今は少し恥ずかしいと感じる2人なのであった。

ーーーーーーーーーーーーーーー
学園につき授業の準備を始める。

ご機嫌よう、シャーロット様。

大きな声とご一行を引き連れいつもの様に挨拶をしに来る。高飛車令嬢。スカートの裾をちょこんとつまみ上げ美しく礼をする。

ご機嫌よう、リコリスさん。

同じくシャーロットも礼をする。

...あら?今日は一緒ですのね?エミリーさん。
意地悪く笑うリコリス

...ご機嫌よう

気まずい、気まず過ぎるこの状況。

シャーロットが口を開く

そう言えば良い茶葉が先日手に入りましたのよ。良かったら皆さんで頂きません?

思わぬ助け船、シャーロットの前でエミリーに噛みつく愚行はせず
にっこりと微笑んで

いいですわね。と返すリコリス。

もちろん行くわ。
食い付くエミリー。

因みにシャーロットは助け船を出した事に無自覚である。

ゴーンゴーン

始業のベルがなる。リコリス一行は別のクラスへと帰っていくのであった。

はあ、あの方といるとなんだかすごく疲れるのよね。

とぼやくエミリー

まあ、あの方は元気が良いですからね。話し方もお上手でいつも周りにお友達がいらっしゃる。良いことじゃない?

本当に貴女って純粋よね。羨ましいわ。悪い人に騙されないでよね

苦笑いしながらシャーロットに返す。

今日もいつも通りである。

放課後になり令嬢達のお茶会が始まる。シャーロットはお菓子を用意し、各々のティーカップにお湯を注いでいく。

本当に綺麗ね...無駄が無い、技の極地ね...じっとシャーロットを見つめる。

如何なさったんですの?お茶は冷めない内に頂か...っっっつ!?

彼女、リコリスは猫舌だった。
そんな彼女を他所にティーカップに口を近付ける...。この香り東洋でとれる茶葉と香りが似ていますわね。優しい甘味と葉の香りが鼻を抜けていく。ホッと一息つくと。

如何かしらお二人共?お父様から頂いた茶葉は?東洋で栽培されている物の中でも一際上質な物らしいですわ。お口に合ったかしら?
ニコリと微笑むシャーロット。

この茶葉少し苦いですけれど、優しい甘みの物と良く合いそうですわね!
チビチビとのみ進めながら元気よく回答するリコリス。

私もそう思うわ。何時ものんでいるのは若干の甘味と花の香りだからなんだか新鮮ね。

そう。お口に合ったようで良かったわ。クスリと微笑みながら優雅に茶を飲む彼女。

そうそう先日嬉しい...とは違うんでしょうけれど初めての事があってお話を聞いて下さるかしら?

なんですの?なんですの!?と食い付く高飛車令嬢。

笑顔で凍るエミリー。これってまさか...。

先日エミリーと初めて喧嘩?の用な事をしたのですけれど、お互いの事を理解できてとても中が深まりましたのよ。

どのような反応をしたら良いか分からずオホホと笑うリコリス。心なしかこちらをチラチラと見てきている。
...こっちはあんたのせいでかなり怖い思いをしたんだけど、これがシャーロットじゃなかったらトラウマになってたわよと心のなかで思う。
でも彼女は許してくれた。私とした約束を守ってくれた。嬉しかった気持ちが、安堵した気持ちが表情にでていたのか。

何を笑っているんですのと困惑した視線で返される。

せっかくですからリコリスさんも私に対して思っていること言って貰って構いませんよ?

絶句する彼女。視線を感じるが私は無視して茶を飲み続ける。
ニヤケが止まらない。

リコリスは考える。いつものように達者な口は閉じられ様々な思考を行う。
褒めるべきなのかしら?...いえ違いますわ。シャーロット様は褒められる事は望まれていない!?それは前の話からも分かってますけれど...。けれどッッ!
これしかないですわっっ!

申し訳ないのですが。私、シャーロット様とお会いしてそこまで長くないと思いますの。それなのに
ずけずけというのは少々気が引けますわ。

逃げたわね、こいつ。
しかしエミリー、茶をのんで英気を養っただけはある。ニヤケたい衝動にかられるも我慢よ...我慢よ。私!

あら?その言い方だとやはり申し上げたいことがあるようでは?
閉じていた口を開きチラリと視線を送る。

絶句するリコリス。顔色がどんどん悪くなっていく...。

やっちまいましたわ。不覚ッッ!
もうこうなればやけくそですわ!

シャーロット様はかなり飲みこみが早い方だと思うのですわ。
客観的に見れば何でもそつなくこなす天才肌と言っても差し支えないと思いますの。

ウンウンと頷くエミリー。
お菓子を啄み見守るシャーロット。

ですが殿方はそれではよって来ないと思いますの!
弱味を時々見せてこそ惹かれる物があると思いますの!

地雷を踏み抜くリコリス嬢。
この場にいる全員が凍る、ただ一人を除いて...

まあ、確かに私恋愛と言うものはしたことありませんね。それに他にも通ずる部分がありますわね。エミリーが私にぶつけてくれた本音と合わせると、つまり私が何でもそつなくこなすから周囲の人達は寄り辛いってことですか!?

しかし育ちが上級貴族である彼女、弱みを見せない様にと言われて育ってきた節がないわけではない。故に弱みを見せないように多少は努力する。しかし、生来の天才性、センスの良さが相まって完璧な物へと昇華してしまっているのである。
さらにそこへ追い討ちをするかの如く社会的地位。学園内でこそ生徒は平等な扱いを受けるが、国に根付いた考えは変わらない。暗黙の了解である。また上級貴族の息子、娘に手を出し目をつけられようものならたまったものでは無い。
国内の情勢は上級貴族のさじ加減で簡単に変わってしまうのである。要は下級貴族の家程度であれば消す事だってやぶさかでないのである。
最もそんなことをすると国が黙っていないのであるが。ある程度のわがままは通ってしまうのが現状である。

リコリスは自信を鼓舞するために顔色の悪い顔でウンウンと頷きながら。

シャーロット様は殿方の一人や二人簡単に作れますわよね?

当たり前y...ですわ!次の学年になる頃にはいっぱいいますわ!

いや、いちゃ不味いだろと一人冷静になるエミリー

動揺するシャーロット。今まで踏み入れたことの無い全く知らない地に足を踏み入れる事になるのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーー

日が暮れ始め、辺りでは街灯点り始めている。
通りには帰路に着く者や、買い出しに来ている者もいる。

それではご機嫌よう

リコリス嬢と別れた後、2人は帰路に着いていた。

そう言えば、気になってたんだけど...。その...朝お話したじゃない?
あの時、その...。
頬を赤らめながらシャーロットの方を見る。

うつむくシャーロット

私にキス......したわよね?嫌じゃなかったんでけどその、何でだろうと思って...。

夕日のせいで真っ赤になった顔をあげ、ニッコリと満面の笑みで

頑張りやさんで、でも少し不器用な貴女がとっても大好きだから。

大輪の花が咲き私の心の中の、残った氷を溶かしていく...。

嗚呼...やっぱりずるいわよ。本当に...。
私もつられて笑顔になる。

そうね...。私も貴女の事が大好き...。 
二人は手を繋ぎ笑みを溢しながら帰るのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
キイイイと金属の擦れる音、門を開け中庭へと入る。綺麗に整えられた花壇と、美しい噴水が出迎えてくれる。コツコツと響く靴音。
玄関の扉を開ける。

ただいま。

いつものように、誰もいない空間に呼び掛ける。虚しく響く私の声。でも不思議と嫌な気持ちでもなかった。両親は私の事をちゃんと見てくれている。愛されているのだと、改めて実感する。
茶の香りを思い出す。幼い頃に外国を訪れた時に気に入った茶葉。笑顔の父と母と共にテーブルを囲む、遠い記憶。微笑みが自然とこぼれる。
自室へ入り荷物を下ろす。

はあ...少し汗もかいちゃったしお風呂でも入りましょう

癖毛をピョコピョコさせながら風呂場へと向かうシャーロット、彼女はお風呂が大好きだった。
彼女は人一倍髪の毛に気を遣っている。幼い頃、エミリーに

本当に綺麗ねシャーロットの髪って、サラサラ艶々で憧れちゃうわ。

と言われてからはより一層気を遣うようになっていた。何よりお湯に浸かると心も体も休まってよく眠れる。休日だと朝風呂をすることだってある。

ファサ......。
服やスカートを脱ぎしゃがんで
ニーソを脱いでいく

ん...しょっ。

下着を取れば風呂場に突撃!
ペタ、ペタ、ペタ
椅子に座りシャワーの蛇口をきゅっと捻る。 
暖かいお湯が放り注ぎ心も体も洗われていく...。

 ♪  ♪~~♪
透き通った声が浴室に響く。
腰まである髪の毛を綺麗に根本から毛先をなぞるように洗っていく。白い指先が優しく奏でる水音
洗い終わればリンス、コンディショナーと流れるように進んでいく。
体を洗い始めるころには髪に成文や花の香が染み込み、見た目よし香りよしと完璧な状態となっていた。

蛇口を捻り泡を洗い落としていく。

んぁっっ..!~~~っっっ!

目に泡が入る、悶えるシャーロット。
目が潤み、見る者によっては扇情的に見えただろう。

気を取り直し体を洗う。程よく引き締まった体の上を、しなやかな指が這っていく...。

ピチャ...コシュ...コシュ...

辺りに薔薇の良い香りが立ち込める。シャーロット愛用のボディソープである。容器も小さく値も張るがこれを使っているからこその肌の綺麗さ、最も生来の素質も大きいのだが...。

んしょっ...お風呂♪お風呂~♪

ご機嫌である。軽やかにステップを決めながら浴槽へ向かう。
お気付きの方もいるだろうが、この邸宅。浴室が20畳とイカれた広さをしている。使用人とも共用のためなのだろう、人1人がつかうには大きすぎている。

ちゃぽ...ちゃぱ...ちゃぽん。
水面が揺れ彼女の綺麗な姿を映し出す。

ふぅ......んーー♪

至福の一時...彼女は40分湯船につかりゆっくりと過ごしたのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーー
スーーーーッ...パタン。浴室から出て髪を乾かす。タオルでトントンと軽く挟み水分を出していく...タオルでトンとするたびに良い香りが辺りに漂う。彼女の輝く肌と相まって聖域のようになっていた。
身体の手洗いを心がけていることも相まって、プルプルモチモチスベスベの美肌が完成されていた。
寝巻きを手に取り背中部分の紐を結ぶ。着用し終えた後そこには穢れが一切無い天使の姿があった。
ふわふわとしたフリル、少し透けているレース。可愛さと綺麗さをシャーロットのポテンシャルと相まって凶悪な形で表現していた。

ガチャりと扉を開け廊下へ出る。
自分の部屋へと戻るためにトテトテ歩くシャーロット。
窓から差し込んでいる月光...なんとも神秘的なことか、絵にしたら映える絶対に...!

自室の扉を開けベッドへと倒れ込み、んーーっっっと延びを一つヘニャリと笑みを浮かべる。

エミリーと久しぶりにお茶出来ちゃったし、ずっと友達だって言ってくれた!ずっと友達♪

ゴロゴロと寝返りを繰り返す。
エミリーと改めて分かり合えた事が嬉しかったのか、安心したのか、気が付く頃には深い夢の世界へと旅立つ。
豪華な窓からは月明かりが優しく美しい少女の寝顔を照らしていた。

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