のり弁、LOVEです

お雑煮の出汁はもちろんカシミール

 コロナ禍には、とにかくお弁当を食べました。買いに行くこともあれば、ウーバーやくるめしに頼むこともあり、気になるお弁当はだいたい食べましたね。升本や賛否両論はお世話になりました。
 
 高校生の頃、いろいろ事情があり、家の人が弁当を作るひまがなく、毎朝近所の弁当屋から色々な弁当を買ってきて、わざわざお弁当箱に詰め替えて通学してました。
 その時、周りの友達から、一目置かれたのが一番安い「のり弁」でした。もっとも、早弁が普通だったので、12時前にはのり弁は食べ終わり、別途購買部で買っておいたメロンパンやジャムパンとかを昼過ぎに食べていました。その購買部の壁には、力強い文字で「独裁企業永田パンを粉砕せよ!」と書かれていたのを思い出します。まだ学生運動の名残があった時代です。と言っても生徒たちは誰も意味を理解することなく、毎日永田パンの売り上げに貢献し、資本主義の一翼を担っていました。
 さて、ここでは今現在、特別な思いのあるのり弁系3品を紹介します

「根津松本」の海苔弁当

根津松本・海苔弁当@2,916円

 お魚の高級セレクトショップ、知る人ぞ知る根津松本。本店では事前予約しないと入手できないとか色々ありますが、麻布台ヒルズでは今のところ常時購入できます。
 味は、さすがですね、というか不味いわけがない。物は試しで食べてみてはいかがでしょうか? 
 なお、運が良ければ夜の麻布台マーケットで、少し値引きされた海苔弁当と出会うこともあります。それでも2,200円強。元の値段を知っていると「お、お得」と思う方もいると思います。冷静に考えると「のり弁」ですが

上野・廚 くろぎの楽屋弁当

くろぎの楽屋弁当@2,550円

 かき氷しか食べたことのなかったくろぎに、最近弁当がメニューに加わりました。値段と味と量のバランスから、僕は正直微妙でした。厳密には海苔弁と言えないかもしれませんが、カテゴリーとしてはその範疇でしょう。
 かき氷がセットになって@3,700円と少し割安感が出ます。でもシャケ弁当の後にかき氷を食べる客はいったいどういう客か? 今年の夏も酷暑が予想されますので、そこでバカ売れということもあるかもしれませんね。
こちらも一度は試してみてはいかがでしょうか。

茜坂大沼ののり弁当

茜坂大沼のり弁当@ーーーー

 2020年2月、コロナ禍目前にオープンした赤坂・茜坂大沼。今ではミシュラン一つ星獲得の和食の名店です。オープンから2か月、開店まもない大沼でしたが、コロナ禍もろ被りして、致し方なくテイクアウトに全精力を傾けました。その代表料理がこちらの「のり弁当」
 これ、絶品でした。シャケは藁で蒸し焼きして香りづけしてあり、卵焼きは二切れ=さすが吉兆で修行されただけあって京風の卵焼き。椎茸肉詰めに焼き鳥、安納芋と思われるサツマイモの天ぷら、炊きたてご飯の上にしっかりと海苔の香りのする海苔が敷き詰められていました。
 その値段なんですが、当初は@850円!!です。店主に聞いたら、のり弁なんで高くはできないし、質は落とせないし、これが限界かなとおっしゃいました。安すぎです。
その後、値付け安すぎたと気づかれたのか@1200円くらいになり。それでも「オヤジ、安いよ」とアドバイスした常連がいたらしく@1500円くらいまで上がってましたね。 
 近くのテレビ局の報道関係者から番組ゲストの評論家先生用として10個単位でオーダーが入り、このコロナ禍は弁当屋としてなんとか食いつないで頑張られました。 
 その後、昼夜の営業を開始し、ミシュラン調査員がその味に驚き、コロナ禍開店にもかかわらず、わずか2年程度でミシュランの星を獲得。今では、ランチ12,000円から、ディナーは22,000円からの高級店です。
 ちなみに、ミシュラン調査員が来店した時の話を主人に聞きました。日本人です。二度来店しており、初来店時は全く気づかず、2回目は何かプロのような気配がしたそうですよ。
 結局「のり弁当」は2022年秋くらいには作るのを止められたようです。したがって幻ののり弁となってしまいました。
 ちなみに僕は2020~2021年で50個以上は買ってますね。今ではすっかり敷居が高い店になりましたが、いつか誰かのおごりで行くことができたら、主人とあの頃の弁当談議でもしようかと思っています。寡黙な山形県人の主人はあまり多くは語らないかもしれませんが。もうお願いしても作ってくれないだろうな。
 

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