補助金活用で事業を発展させ地域をゆたかに(11)

 採択され補助金を獲得するために最も重要な審査は事業計画に対するものですが、どのような内容が求められるでしょうか。
それは大きく次の5項目となります。
(1)補助事業としての適格性
(2)技術面
(3)事業化面
(4)政策面
(5)大幅な賃上げに取組むための事業計画の妥当性

 (1)では公募要領の冒頭で示される次の要件を満たすか否かが最初の関門となり、それは次の項目となります。 ①対象事業、②対象者、③申請要件、④申請枠、⑤補助率、⑥付加価値総額

 このうち①~③は要件に機械的に満足するか否かで特に知恵を絞ったりするような事では有りません。④は今回公募は省力化枠のみですので、前回ご説明したような御社の課題解決に繋がるか否かがキーとなります。繋がれば従業員数等から⑤も決まります。⑥は補助金を活用して御社の事業がしっかりと付加価値を生み出す事が出来るかどうかという事ですが、逆に言えばそうなるような事業計画策定する必要が有ります。

 ここでの付加価値は次の式で表されます。
付加価値額=営業利益+減価償却費+人件費
 この値が3カ年から5カ年の事業計画期間(御社が任意に設定、任意=御社にとっても都合よく)において年率平均が3%以上である事が必要です。
 付加価値額とは国のGDP等も同様ですが、端的に言えば仕入れた金額を販売した金額から差し引いて御社内で生み出した金額=価値を表します。
 儲けと言うイメージ的で考えると営業利益は分かり易いと思いますが、決算書の中で減価償却費や人件費は経費扱いなので大きくなればなるほど利益が減るため付加価値額に何故するのかという点で分かり難いと思います。

 減価償却費は設備等に投資した場合に一般的に大きな金額となるのでそれを購入した年に一括で経費とすると赤字となってしまいます。赤字になると事業に対する外部からの評価が悪くなり金融機関等からの融資が得れなくなってしまう恐れ等が有ります。このため機械等の寿命の目安(耐用年数と言います)が法律等で決められ、それで購入金額を割った数値を毎年の減価償却費とします。それを経費として扱い、毎年の売上等から引いて利益を求める事となります(引いてもらわないと逆に税金が増えてしまう)。しかし現実にはそれは毎年出費している訳でなく決算とは別に内部にキャッシュとして蓄積される事になり利益と類似の扱いとなります。
 人件費も増やすと儲けが減ってしまうというのが通常のイメージですが、それを増やす事は今まさに国の重要施策となっています。なぜなら給料が増えると従業員等がいろいろな物やサービスを購入できるようになる。購入が増えればそれを提供する事業者が儲かり従業員の給料を増やす事が出来る・・・というようにスパイラルアップ、経済の好循環を起こす事に目的が有ります。
 数値的な要件としては付加価値額年率平均3%増の内数として給与支給総額を年平均成長率として1.5%以上増やす計画とする必要が有ります。
 ここでいう給与支給総額の中には役員に対するものも含まれますので、実現可能性が高い事業計画をしっかり策定する事でご自身の給与も堂々と増やして下さい。
 
 



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