マウイ島火災に便乗する陰謀論者達


2023年8月8日アメリカ合衆国ハワイ州を形成する諸島の1つであるマウイ島にて大規模な山火事が発生した西部ラハイナの街が壊滅的な被害をうけこれまでに115人が亡くなり、66人が行方不明、7500人が避難生活を余儀なくされている悲惨な状態だ。バイデン現アメリカ合衆国大統領は「過去100年以上で最悪の山火事だ。街を破壊し、長く続いてきたハワイ先住民の歴史を荒廃させた」と言い支援を行うようで、日本でも2億9000万円程の支援を行っていくようだ。



さて、そんな状況において最も唾棄すべき事は災害に対するデマ情報の流布だ。特にX(旧Twitter)内でQアノン系列と思われるアカウントによる荒唐無稽の陰謀論が展開されている。今回はそんなトンデモ陰謀論を幾つか紹介しよう。

陰謀論① 気象兵器ORレーザー兵器による人工的火災だった?



まずはこの火災が人工的に行われた物だったという香ばしい陰謀論を話していく。例えば、「この山火事は気象兵器による物だ!」と言っているグループがおり、その証拠はとして気候工学研究者のデーン・ウィギントンなる人物の主張を取り上げている。しかし、この男を調べてみるとケムトレイル長時間にわたって残留している飛行機雲は有害な化学物質を含んだ兵器であるという陰謀論を肯定的に話している等明らかにヤバイ人物であることがわかった。



更にはその陰謀論に中国政府が便乗したのか、中国系と思われるSNSアカウントが生成AIを使ったデマをSNSに意図的に垂れ流しているようだ。目的は恐らく世論誘導で、米国政府は「中国はこれまで台湾や新疆ウイグルなどの『核心的利益』に関する情報操作を行ってきたが、今回は米国社会の分断を図る目的で行われており、まったく新しいたくらみだ」と強い懸念を示している。



それの派生形として「レーザー兵器による物だ!」という陰謀論を言う陰謀論者もいる。しかし、マウイ島で火災の直前に大きな爆発があったと主張する動画はTikTokで撮影されたチリでの変電設備の爆発、教会から空に向けてレーザー光線が出ているとした写真はデジタル加工写真、火の玉とまぶしい光の筋が夜空に上っていく画像はオハイオ州の製油所で焼却処分中に観測された寒い日に氷の結晶が反射してできる目の錯覚の一種の太陽柱と呼ばれる現象、火災直前にマウイで大きな光の筋が見えたと主張する画像はSpaceXなる宇宙企業の写真の流用とデマ情報のオンパレードだった。

その様な大それたことをするのは誰が得をするのか気になるが、陰謀論者は「スマートシティ建設の為にマウイ島の富裕層や別荘保有者らが、ラハイナの価値の高い土地を奪うために故意に山火事を起こした!「ゲイツやガガ等の高級邸宅街は無傷な事から 裕福層のリゾート開発の為に地元の人を焼き払った!」とのたまう始末だ。どうして富裕層の家は無傷なのかは後ほど解説していく。

陰謀論② スクールバスで2000人の子供が攫われて人身売買?



次の陰謀論はこれまたオルタナライト系陰謀論者が大好きな児童売買の陰謀論だ。全ての切っ掛けはXでのとある陰謀論者のアカウントの投稿で「火災発生後、マウイ島ラハイナから避難するスクールバスの長蛇の列が見られた。当時、大量死傷者事件を専門とする捜索救助チームがカリフォルニアから到着していた。バスに乗った2000人もの子供たちはどこへ行ったのだろうか?と言う胡散臭いツイートだ。それを見た別の陰謀論者が「子供達が誘拐され、小児性愛者や悪魔崇拝者による人身売買が行われている!」といつも通りの展開をしていた。




更には『マウイの現場の人によれば災害の寄付がブロックされているようです。今は 赤十字社 と FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁) 以外の寄付をブロックしていると言われているのはやましいことをしているから』やら「子供達は避難のため集められどこかに連れて行かれた。・・赤十字、国連、FEMA、政府系NGOが入ってる。彼らは災害があると現れ、児童を連れ去るなどと言った陰謀論を展開している。更にはフリーメイソンが管理する団体などあからさまなデマを流すアカウントを現れる始末だ。

そもそもなぜQアノンを代表するオルタナライト系陰謀論者がペドフィリアを異常なまでに敵視しているかは彼らの宗教観にあるモーセの十戒に書かれた「汝姦淫することなかれ」の解釈としてキリスト教を始めとした一神教では「繁殖以外の性行為を禁止」とされておりその流れで同性愛が長らく差別されてきた歴史がある。しかし、最近だと欧米諸国では同性愛を認めるべきと言う考えが主流になったので、代わりに「性的に未熟な子供に性的な関係を共用するペドフィリアは悪だ!」となったのだ。

ここで面白いのは欧米でのペドフィリアの範囲は日本以上に幅広いのだ。例えばAKBの様なアイドルやプリキュアの様な女児アニメを見て喜ぶ男性は欧米の尖ったフェミニストからすれば児童ポルノにあたると解釈するようで、その影響を受けた日本人フェミニストも過剰なまでにサブカルチャーを叩いているのだ

最後に 結局原因は何だったのか



さて、ここからはこの火災がどうして起きたのかそしてなぜこれ程までの規模になったのかを今現在で最も信憑性のある情報から整理して見ると自然災害と人的ミスが関わっていたことがわかった。まずは損傷した送電線或いは風で舞い上がった木の葉が擦れた事が火元で、それが乾期で尚且つ偏西風も弱かった為雨雲が来ずフラッシュ旱魃状態になっていた土地の影響で山火事が発生しハワイの南を約1000キロを中心気圧約960hPaハリケーンである「ドラ」が通過したのと北部では逆に中心気圧約1030hPaの高気圧が居座った結果極端な気圧差による強風が吹き荒れていた状況で東にあるウェストマウイ山の影響で強風が更に強まり、それが人々が寝静まる深夜に発生したことが山火事が悪化した要因と思われる。

他にも火災の際に警報が鳴らさなかったこと、18世紀からヨーロッパから牧草として持ち込まれたギニアキビを始めとした外来種の植物が非常に燃えやすく火種となったこと、ハワイ王国の首都だった名残で伝統的に建物や電柱等が木造だったこと、過度な観光ブームで建物が所せましと並び火の延焼が食い止めづらい環境にあったこと等がある。



そして現在この火災の遺族が州と電力会社であるHEIことハワイ電力工業を山火事の危険性を認識していたにもかかわらず、送電や植物の管理といった対策を怠ったとのことで犠牲者の遺族が提訴する流れとなった火事を巡って遺族が州を提訴するのは初めてらしく、具体的にはこの火災は強風で電柱が倒れて植物が燃える可能性を認識していたのに電力を遮断しなかったのが原因だとして損害賠償を求めているが、同社は送電線からの火災の拡大を否定しているようだ。



最後になぜ富裕層の家が無傷だったのか、恐らく耐火性建材を使って建築されていて尚且つ近くに隣接している家が無かった為だろう。事実、ABC系列のハワイ諸島のテレビ局『KITV』がラハイナ付近を上空から撮影した中で焼け跡も無く、無傷の状態で残っていた白い外壁に赤い屋根の2階建ての家、通称「ハワイの山火事を生き抜いた赤い家」の持ち主である日系人のパティー・タムラ氏によると「ハワイの昆虫や湿気から守るため、コンクリートで造られているからだと思いますと語っている



しかし、残念ながら未だにあるはずのない陰謀を語る人間がXやニコニコ動画やnoteにいるのが今の現状だ


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