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ホラーゲーム『Nun Massacre』ストーリー解説 考察 ~ある親子の哀しい物語~ 【パペットコンボ】

パペットコンボ作品では殺しの館に次いで有名な今作。
登場人物はおろか会話も一切ないですが学校に落ちているメモを集めると、親子の悲しい物語が浮かび上がってきます


はじまり

キリスト教学校と主人公の娘

主人公の娘は主人公によってこの学校に入学させられていました。
この学校はメモから分かる通り修道女が教師を務めるキリスト系の学校で、おそらく全寮制だと思われます
娘が遺したメモには母親に入学させられたものの周囲となじめず、先生からひどい扱いを受け続けていたことが生々しく書かれていました

殺人修道女

そんなメモを発見していく中で包丁を持った修道女が学校中を徘徊しているのを見つけ、彼女に見つかると全力で襲われてしまいます
娘のメモにはマザーアポロニアにひどい仕打ちを受けていたと書かれていたので、この殺人鬼はマザーアポロニアだと思ってしまいがちですが実はそうではないのです

さらなる発見

ビデオテープ

この学校にはビデオテープが全部で4つ落ちており、テープには娘が学校内で唯一の喋り相手だったとメモに書いていたピエロ人形のボンゴが映っています
ピエロ人形の映像とともに字幕が添えられているのですが、主人公の娘はアポロニアからの壮絶な仕打ちに耐えかねて自殺をしたことが示唆されています
主人公が学校から手紙を受け取った時、既に娘は死んでいたのです

以下ビデオの字幕の翻訳です

  1. かつてボンゴというピエロがいた。彼は一人ぼっちだった

  2. 世界で唯一の友達が死んだ

  3. ボンゴは耐えきれなくなり、ロープを取って・・・

  4. 親友のように(ロープで首を吊ったボンゴの姿が映し出される)

もちろんここでのボンゴの友達は主人公の娘のことです

最後のメモ

庭にあるマリア像に頭を取り付けると、土が掘られておりその傍らにメモが置かれています
このメモだけは主人公が書いたものでそこには娘を厳しいキリスト教学校に入学させた理由が書かれています
要約すると主人公は娘の素行の悪さを直すために、あえて厳しい修道女のもとでしつけをさせて神の存在を信じさせようとしたのでした
恐らく主人公は熱心なキリスト教徒で、娘にもキリスト教を信仰してほしかったのだと思われます

エンディング

バッドエンド

バッドエンドだけで3種類あります

  1. このメモを読んだ後、土の中に入り棺桶の蓋を自ら閉める

  2. 配管を通って落とし穴に落ちる

  3. 配管の奥の方に進むとどんどん狭くなっていき、耳鳴りとともに小さい人形のようなものがこちらに向かってくる

グッドエンド

グッドエンドは4本のテープを見ると壁にある十字架が床に落ち、十字架を持っていくと見ることができます

吊るされている人形は娘の持っていた人形ボンゴです

すると急に階段が現れ、白い光で満たされている空間へ導かれます

ストーリー解説

学校の違和感

結局主人公は何に巻き込まれていたのでしょうか
主人公は学校から娘が病気だという知らせを受けて学校に向かいますが、実際には娘は自殺しており、そもそも学校の中には一人の殺人修道女以外誰もいませんでした
さらに主人公が学校に向かう途中で通行止めの柵が登場します

このことから学校はすでに廃校となっていたのではないかと推測されます
廃校になった学校から手紙が届くことは無いので、主人公がこの学校で経験したことはすべて主人公の妄想である可能性が高いのです

主人公の自宅部屋

このすべて妄想説を裏付ける証拠は最初の主人公の自宅にもあります
自宅の一室にボンゴ人形があり、ベッドには虫がたかっているのです

ベッドの小ささから恐らく娘の死体がベッドの中に置いてあったのではないのでしょうか
主人公は娘が死んでいることは最初から知っていたことになります

バッドエンドにて自分が娘を学校へ送った理由を書いたメモを読んだ後自ら棺の中に入ることから分かりますが、主人公は娘を学校に入れたことに深い罪悪感を抱えています
なのでこのゲームで起こることは、娘が自分が無理やり入れた学校での厳しさに耐えかねて自殺してしまったことにショックと罪悪感を感じた主人公の妄想、精神世界での出来事だったのです
あの殺人修道女は現実のものではなく、主人公の罪の意識が作り出した妄想の産物だったということになります

グッドエンドの意味

これらはすべて主人公の罪の意識が作り出した精神世界であるとすると、グッドエンドで修道女が急に弱々しい小さい姿になり檻に閉じ込められていることも説明がつきます
4本のビデオを観て十字架の御加護を受けたことによって主人公は娘を死に追いやってしまったという罪の意識から贖罪を果たすことができたのです
最後修道女を燃やすのは罪の意識が主人公から消えていく様子を表しています
ボンゴから君は許されたんだと言われるのもこれで説明がつきます

最後階段が現れ白い光へと導かれるのは贖罪を果たし、学校という主人公の罪の意識で満たされた場所から抜け出せたということです

主人公の生死

主人公はゲームの最初から既に娘の死へのショックから亡くなっていたのではないかという考察もあり、個人的にはその可能性も高いと思っているので紹介します
主人公はすでに亡くなっていたとすると、キリスト教での教理では罪を犯した死者は煉獄で苦しみを受けるとされているので、あの学校は主人公にとっての煉獄で、グッドエンドで贖罪を果たすことによって煉獄から抜け出して天国へ旅立つことができたということになります
最後階段の先が白い光で満たされているのも天国を表していると考えると説明がつくのでこちらの考察の方が有力かもしれません


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