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ちむどんどん借金問題、川口春奈演じる良子ネーネーがすぐに返済しなかった理由はこれだ!

それでは、第1号となる記事を投稿します。

現在、テレビで放送中のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」ですが、毎日楽しみにしているといった声が上がる一方で、登場人物たちの金銭感覚がおかしいことに腹が立つといった声も散見されます。

その多くは長男の比嘉賢秀(通称・ニーニー)の放蕩グセに始まり、家計が厳しいにもかかわらず賢秀を甘やかすのはもちろん、自身の金銭感覚も緩めの母・優子、さらには、苦しい家計を顧みず、東京に卒業旅行に行きたいと言い出した主人公で次女の暢子・・・といった具合に、今回の朝ドラの主人公とその家族は、どうにも金銭感覚が麻痺気味なのです。

そんな中、わりと優等生キャラだった川口春奈演じる長女・良子までが、ついに借金に手を染める様子が放送されました。5月12日に放送された第24回では、良子が暢子の東京行き(この時は就職のため)の費用を捻出するため、職場から300ドルを借り入れる様子が放送されました。300ドルを実家に持ち帰った良子は暢子にこれを手渡す寸前まで行きましたが、そこに、賢秀からの「仕送り」らしき金(実際には借金)が届き、結果、300ドルは使われることはありませんでした。

苦しい家計がさらに苦しくなるのが直前で防がれたわけですが、ここで良子は思いがけない行動に出ます。丸々残った金を直ちに返済に充てるかと思いきや、良子は、

「あのお金はとっておく。いつか、家族のために役立つ日が来ると思うから」

と、すぐには返さないと末っ子の歌子に明かしたのでした。このため、視聴者からは借金なんだからすぐに返せとのツッコミがネット上に殺到。その後もドラマでは良子が借金を返すシーンは放送されておらず、返済されたのか否かは不明な状況が続いています。確かに、せっかくすぐに返せる借金をすぐに帰さないのは常識ではやや考えづらい展開ですが、物語の時代(沖縄返還直前)という状況を考えると、良子の行動は、実はそれなりに合理的と言えるのです。その理由は、借金の償還期限が沖縄返還後に設定されているという点で、良子は円相場を利用して、借金で手に入れた金を利用して上手に借金を返していた可能性があるからです。

良子が金を借り入れる際には借用書が登場し、そこには「300ドル」の記載の他に、「償還方法・毎月6ドル」「第1回納入期日・1972年3月31日」「償還期限・1976年5月31日」の文字がありました。

ここで意識すべきなのが当時の円相場です。1972年5月2日、沖縄県では5月15日の日本への返還に向けてドル=円の交換が行われました。その際の交換レートは1ドル=305円。その後、ドル=円相場は1973年2月から変動相場制に移行し、その後、ドルは円に対し急落。1974年中に1ドル=300円をつけるまで、200円台を維持したのでした。

そこで、以下のような可能性が考えられます。まず、良子は沖縄返還直前にドルで借金をしますが、1972年5月2日の通貨交換の際に1ドル=305円でドルを円に変換。その後、1973年1月の返済までは305円で毎月6ドルずつ買い戻して返済し、1973年2月からは急落したドルを円で買って毎月6ドルずつ返済……という、実に合理的なことを行ったとも考えられるのです。となれば、作中で他の家族同様に金銭感覚が麻痺してしまったように見えた良子の行動は、実はなかなか合理的な借金であり、ドル=円の時価によっては、元はと言えば意図せずして余った金を投資に使い、利益を上げていたとも考えられるのです。


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