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元タクシー運転手の東京散歩①渋谷区


渋谷といえばどこが思い浮かぶだろうか。




ハチ公、スクランブル交差点、センター街、道玄坂、109などが有名だろうか。

でもこれらは、全部徒歩で行っても10分以内行けてしまうくらい密集している。

渋谷区はもっと魅力的である。それを主観まみれで紹介。


・渋谷区郷土博物館

まずはここに行くのがおすすめ。散歩において、歴史を知っているのと知らないのとで、大違い。

平安時代に源家に仕えて手柄を立てた、河崎基家という武将が、この地を賜り、「渋谷城」を築いた。

渋谷城!

渋谷に城があったとは衝撃。確かに、渋「谷」というだけ、高低差があり、近くに川が流れている。城の立地として悪くない。

今の地図からでも分かる

少し脱線するが、渋谷を理解するのに、渋谷川を知ることが必要不可欠である。

この川の主な源流は明治神宮御苑と新宿御苑にある。現在、源流から渋谷ストリームまでは暗渠化されている。

渋谷ストリームから撮った渋谷川
これを辿ると東京湾


渋谷ストリームから地上に現れ、浜松町の方に流れ、東京湾に注ぐ。
(天現寺橋から古川という名に変わる)

橋の名前は現在も残っており、以下は全て交差点の名前である。

稲荷橋(スタート)→並木橋→渋谷橋→恵比寿橋→天現寺橋→四の橋→古川橋→三の橋→二の橋→一の橋→中の端→赤羽橋→芝園橋→将監橋→金杉橋→浜崎橋→東京湾(ゴール)

川のスタートの建物が渋谷ストリーム(小川)なのも納得


自然の名前の入った地名は、地理と関連することが多い。

例えば、新宿御苑にある源流は、千駄ヶ谷という谷を形成した。
また、渋谷駅北西にはかつて宇田川が流れており、富ヶ谷などの谷を形成し、渋谷川に合流していた。
現在の宇田川町にオルガン坂、スペイン坂など坂が多いのも当然だ。


話を戻して、その後1524年に北条と上杉の激戦に巻き込まれ(高輪原の戦い)、城は焼失。渋谷氏は滅んだ。

城跡に1612年に金王八幡宮として創建され、それが現在も残っている。

渋谷城(金王八幡宮)から散歩を始めるのも乙だと思う。


ちなみに、「渋谷」の由来は諸説あり、
①渋谷氏がいたから
②渋谷川は鉄分が多く、渋色(赤茶)だったから
などが有力らしい。

初見殺しの駅構内マップ
でもこれが渋谷の特徴


渋谷区内の他のエリアでいうと、江戸時代は、ご存知のように参勤交代で、全国の藩が江戸に屋敷を構えていた。

現在の大きい施設は、大抵大名の屋敷であった。


①伊予西条藩松平家屋敷→青山学院
②淀藩稲葉家屋敷   →国連大学
③岸和田藩岡部家屋敷 →代々木競技場
④彦根藩井伊家屋敷  →明治神宮


他にも展示は豊富。

「旧江戸朱引内図」 1818年

上の地図の黒い線は、江戸と郊外の境界線を示している。渋谷はちょうど境界にあたる。
そこで、2008年に開通した東京メトロ副都心線の路線図と比較してみる。

写真の黒い線とほぼ一致する。
あくまで渋谷は「副」都心なのは変わっていないことが分かる。

明治時代になり、大政奉還を経て渋谷区が誕生。(昭和7年)

今の道玄坂上
道幅ほぼ昔のまま?

この資料館では、渋谷の発展の凄まじい速さに気付かされる。
渋谷=若者の街というイメージだが、そのイメージが形成されたのはつい最近なのだ。

渋谷の発展には、東急と西武の「渋谷戦争」と言われる争いがあった。

1885年に渋谷駅が開業したが、利用者はほぼいなかったらしい。
1927年に現東急東横線の渋谷駅が開業し、7年後に東急百貨店がオープンしたことで、発展し始めた。



渋谷を開発してきた東急は、渋谷を若者だけでなく「大人の街」へと再開発している。


・代官山フォレストゲート

2023年10月19日にオープンした、複合商業施設。ファサードで分かる、

建築は隈研吾である。

上の階にはオフィスやマンションがあり、1階にはカフェなどがある。自分は怖気づいて入れなかった。

歩いてるだけで東急すげえってなる。


・代官山蔦屋書店

水戸藩徳川家の屋敷跡に建てられたこの建物は、2011年に完成。
個人的に小中学生の頃に通ってたから、思い入れのある地。

当時はCDを自由に試聴できて、窓際の椅子に座り、ヘッドフォンを着けてゆっくりする時間が好きだった。今は無くなってる。

電灯が良い
普通の建物がこんなん

旧山手通りは15分で歩けちゃうから、建物を眺めていたらあっという間だ。


・明治神宮

江戸時代初めは、肥後藩加藤家の別邸で、1640年に彦根藩井伊家の下屋敷になった場所。

1874年に明治政府が井伊家から買い、天皇崩御後、渋沢栄一ら神宮創設の覚書が発表。

明治時代=西洋化時代という理由で、
ワインも奉納されている点は珍しい。


原宿駅を境に、東は竹下通り、西は自然が広がっているという対比が面白い。

500円払うと、御苑に入れる。
そこでは最初に紹介した、渋谷川の源泉の1つがある。
これが東京湾に注いでいる。中々すごいのに、その解説書きが書いてないので、みんな写真だけ撮って30秒くらいで帰っていく。

清正の井
加藤清正本人が掘り当てたらしい


・表参道ヒルズ

1923年に関東大震災が起き、復興として、1927年に同潤会がアパートを建てた。当時は電気、ガス、水道など最先端な設備を備えていた。

その跡地に2006年にオープンしたのが、表参道ヒルズ。

建築家は安藤忠雄。
代表作として、熊本駅や、こども本の森中之島などが上げられる。

この辺は建築物を見てるだけで面白い。しかもタダ。

↓好きな建築史家の記事。

ケヤキがモデルらしい

道の両側のケヤキの太さに注目してみると、太い木と細い木がある。
これは、1945年に山の手空襲で青山が被害を受けた際、植え直したため、太さに差がある。


・ル・シネマ

宮益坂下にあるミニシアター。
シネコンにはない、個性的な作品が多くて好き。

散歩した日に観た「ゴーストワールド」は、ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、突然スタッフロールが流れて焦った。でも考えさせられる系の映画も面白い。


・名曲喫茶ライオン

道玄坂の途中の怪しげな路地に入るとある喫茶店。駅から5分だから、渋谷駅集合だけど早く着いちゃった時とかおすすめ。

看板の通り、1926年に当時24歳の山寺弥之助が創業。外装、内装も彼が行った。
高さ何mもある巨大スピーカーから、高音質のクラシックが流れてる。
友人と話せる雰囲気じゃないから、1人で来る店って感じ。


・渋谷スカイ

2019年に完成した渋谷スクランブルスクエア。45階に行くと絶景が広がる。

散歩した場所を、〆に上から眺めて復習するのも楽しい。



(随時追加予定)



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