福井旅、新幹線が通る前に
福井といえば、恐竜、東尋坊、カニくらいの知識しかなかった。
しかし、今回の旅では、福井の本気を感じた。
金沢旅の続き。
17時に東尋坊に到着。
日没10分前くらいに着いたので、これから帰る人とすれ違い、ほぼ貸切状態だった。
Google mapでは伊豆の城ヶ崎海岸のような景勝地だと思っていたが、伊豆とは違ってここは日本海。
なんという迫力。思わず引き込まれそうになる。
一緒に行った友人とは、こういう場所に行くと、「絶対に押すなよ?」と言うのが恒例なのだが、絶対押すなよ至上、最も絶対に押してはいけない場所だった。
金沢から運転してきたので、もう宿に行こう。
向かったのは「芦原温泉みのや泰平閣」。
値段が安い宿で探したのだが、とっても素敵な宿だった。オモテナシを感じる。
受付の方に丁寧に館内の説明をして頂き、女将さんがわざわざ受付から出てきて浴衣を手渡してくれた。
夕飯を食べに夜の街へ繰り出そうと宿を出るところで、受付の方が
「雨が降るかもしれないので、傘をお持ち下さい」
と、傘を渡してくれた。
外に出て空を見ると、雨が降る様子はない。
「夕飯食べるだけなんだけど、夜遊びすると思われたんかな?」
などと冗談混じりに話していると、10分後には土砂降り。
傘は機能せず、3人とも靴、ズボンともにびしょ濡れに。
若干テンションは下がりつつ、宿の人の先見の明に感服。北陸の天気は不安定みたい。
雨宿りも兼ねて、空いてそうな店に駆け込む。
するとその店が大当たり!
とても満足したところで店を出ると、雨は止んでいた。
宿に着き、温泉に入る。
脱衣所には先客が1名いたが、すぐに出ていった。つまり貸切。
内湯はかなり広く、泳げそうなほど広かった。
露天風呂はオレンジ色の落ち着く灯りで照らされていて、目でも旅の疲れを癒してくれた。
ちなみに、チェックインからチェックアウトまで宿の中で誰にもすれ違わなかった。
それはそれで快適だったが、経営難にならないで欲しいなとも思った。こんなに良い宿なのだから。
明日は早いので、22時に就寝。
宿での滞在時間短かったから、もったいなかったな。
・・・
4:20 アラームが鳴る。
友人たちもゆっくり起きてくる。
急いで支度し、部屋を出る。前日に4:30にチェックアウトしたいと言ったため、受付には宿の方が制服を着て待っていてくれた。
朝4時に起こして申し訳ない。二度寝して下さい。
感謝しつつ、車に乗り込み、まだ真っ暗な道をあくびしながら進む。
1時間ほどで目的地に到着。
ホームセンターパルスに駐車して軽く登山すること15分、多くのカメラマンがいた。
気象条件は揃っていた方だが、期待していた雲海は見れず。でも晴れたし満足。
今日の行程は忙しい。下山してすぐ次の目的地へ。
曹洞宗の大本山、永平寺に到着。
行く途中に気付いたのだが、ルート的に永平寺を2回通るので、順番を間違えたと思ったのだが、結果的に、このルートは正解だった。
8:30から開く永平寺に、8:10に到着。
まだ誰も来てない、朝の静謐の中の参道を歩く。
参道を歩いていると、「ここから先はただの観光地なんかじゃないぞ」と言われていうような、自然と背筋が伸びる心持ちになる。
8:20頃に人が集まってきた。
早く来すぎたと思ったが、まだ誰もいない、静かな境内を楽しむことができたので良かった。
8:30になったので、伽藍の中へ。
建物の中に入り、階段を上がると、このお寺の見所の天井が。
伽藍の中を歩いていると、誰もいないので、「お坊さん修行してなくね?」と言ったら、後ろからお坊さんが通り、冷や汗。
反省しつつ、出口に向かうと道元の言葉が。
あと2ヶ月後に仕事を辞める自分には、この言葉に目が止まった。
仕事はもちろんしなきゃいけないんだろうけど、一回の人生を働き詰めで終えるのは嫌だと考えている。
それが甘えなのか、自分勝手に生きるのもひとつの「生き方」として捉えられるのか。
旅行が大好きだから、旅しながら暮らしたい。自分にとっては好きなことだけをして死ぬのが、「いい生き方」だが…
最後の言葉に、最近の悩みの核心を突かれたなぁと思いながら、次に向かったのは福井の定番観光地、恐竜博物館。
現地に着くまでに白いティラノサウルスがいたり、芝生に化石があったりと、恐竜の世界観へ誘ってくる。
もちろん恐竜がメインで展示されているが、なぜか印象に残っているのは、鯨が元々イヌみたいな4足歩行の動物だったという説明だ。
展示内容においても、博物館の建築自体でも、楽しませる工夫がなされていて、興味深かった。
次は、すぐ近くの清大寺。
Instagramで見かけて、行きたい場所リストに保存しただけで、ついでに行くかーくらいの気持ちだったが
期待してなかった分、衝撃を受けた。
この大きさが伝わるだろうか。
堂内の大仏としては、日本一大きいらしい。ついでに五重塔の高さも日本一。
堂内では、どこからか重低音のお経が響き渡っていた。
それがゼルダの「時の神殿」のBGMそっくりで、テンションが上がった。
(お経をBGMと言っていいのか)
このお寺は1987年に建立されたので、建物が全て新しい。
京都奈良のお寺郡は歴史が古いため、当然ボロボロだが
建立されたばかりの頃は、この清大寺のように、外観だけで圧倒するような見た目だったんだろうなと想像して楽しんだ。
車に戻り、明日の日程の関係で、小浜市まで大移動。
福井といえば、ソースカツ丼。
ということで、宿近くの、Googleで評価されまくってるお店へ。
カツは薄いが、1枚目を食べ終わった時点で腹9分目だった。
3人とも、最後はフードファイターの顔付きであった。
食べ終わり、ここから20分の宿に到着。150km以上移動して疲れたので、爆睡。
・・・
最終日、眠いところを海見に行こうと誘われて、嫌々起きる。
玄関に行くと、宿の主人たちが集まっていた。
朝ご飯を食べに、YouTubeで見て気になってた「朽木屋」へ。
創業200年を超える、サバ屋さん。
迷わず、特大サイズを注文。
一口食べて、驚愕した。
肉食べた?誇張なしで、そう錯覚した。
手が止まらず、7割くらい食べたところで、満腹に。まさかサバを食べきれないとは。
最後まで残してた頭の部分がこっちを見てくるので、あと3割も頑張って口に入れた。
そして、今日のメインイベント、フェリー乗り場へ向かう。
蘇洞門クルーズという、60分で奇岩や滝を見る遊覧船に乗る。
天気に恵まれ、エメラルドグリーンの若狭湾を堪能。
クルーズで60分は比較的長いが、海があまりにも綺麗で、時間を気にする間もなかった。
写真では分かりづらいが、雲が海面に反射していて、まるで船が鏡の上を走っているかのようで、ずっと景色に目を奪われた。
・・・
大いに満喫したところで、金沢駅にレンタカーを返すため、まだ昼だが帰路へ着く。
東尋坊と蘇洞門という、日本海側特有の景色も有し
サバやソースかつ丼などのグルメも豊富で
永平寺、恐竜博物館、芦原温泉などの魅力的な観光地もあり
福井県最高だった。
持論だが、どれだけ絶景と言われる場所や、絶品と称されるグルメでも、
「人混み」がそれらの素晴らしさを邪魔してしまうと思う。
自分はアンチオーバーツーリズムで
「今まで行ってよかった場所は?」と聞かれたら、人がいない場所であったり、客がいないため店員さんと雑談に興じることができたお店を答える。
2024年3月16日、福井県に新幹線が開通する。
今回の旅で、新幹線効果で観光地化した金沢と、まだ開通してない福井の2箇所を見て回った。
観光地化する前に、ぜひ福井へ。
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