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マイナ保険証はなぜ浸透しないか?〜業界の隅っこにいる人間のつぶやき

半年後に現行の保険証廃止が迫る中、マイナ保険証の利用率は6%にとどまっている…というニュースの見出しを見た。

そりゃあそうだ。だって医療機関側の人間として、「保険証はお持ちですか?」と聞かないなんて今までありえないことだったわけだし。

マイナカードとオンライン資格確認でできることが増えるといっても、戦後から何十年もかけて培われた保険証原本至上主義が簡単に覆されるはずもない。

保険の情報というのは、大きく分けて
①保険者のもつ情報
②医療機関が把握している情報
③患者本人の手元にある情報
の3つがある。

レセプト請求の際、重要なのは①と②が一致していること。今までの仕組みでは、①と③が一致していることを前提に、医療機関が③を確認して把握し、②と③(=①)は一致してます!と主張して請求をしてきた。

ところが、オンライン資格確認の仕組みの登場で、①と②の直接的な照合が可能になった。ぶっちゃけて言えば③の確認はしてもしなくてもどっちでもよい。

ただ、例外的にデータの反映ができていない場合に備えて、③の確認も合わせて行われていたのである。

さらに、保険情報というのは個人情報であるからして、利用するには「患者本人の同意がある」ことが必要になる。そのために保険証の確認及びマイナ保険証での提示をもとめ、その情報を利用させていただいているのである。(少なくとも医療機関の人間として無意識にでもそう認識しているはずだ。)

何が言いたいかというと、昔からの保険証原本至上主義にもとづき①と③が一致していることを前提に③を確認する行為と、本当は①と②の一致がシステム上で確認できればそれでおしまいでいいのに、情報の利用には患者本人の同意が必要だから③を確認する行為では性質が全く違うにも関わらず、医療機関側の人間はそれを認識できないでいる。

だってなぜならそんなふうに懇切丁寧に説明してくれるツールが現場まで届いていないから!

もしかしたらよく調べれば厚労省のYouTubeにでも情報はあるのかもしれないが、何せ現場の人間は忙しいのである。

そんなものは上の人間に確認してもらって要約してもらってサクッとルール化して下ろしてほしいのである。じゃないと今までのやり方から自分で抜けられない方々は、従来通りのやり方を変えられないから!!

はたして現場で働く保険証原本至上主義のおばちゃまたちを、どのように変えていけるのか楽しみ()なデジタルネイティブ世代なのであった…。

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