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うつと私の結婚生活

0年目 ~突然の訪れ~

うつとの出会い。それは突然に訪れたようでいて、じつは影から少しずつ少しずつ忍びよられていたのかもしれない。

ある日、目を覚ますと体が動かなくなっていた。と言っても、1ミリも動かないわけじゃない。手足はぐーぱー出来るし、寝返りもうてる。ただ、首を回して時計を確かめ、7時だ、起きなきゃと考えて……体を、起こせなかったのだ。

仕事に行かなきゃ、行こう、行きたい、色んなふうに考えてみたけれど、結果的には無駄だった。

だってそれは、気のもちようなんかではなくて、れっきとした病気だったから。あとから知ったことだけれど、脳からの命令が体に上手く伝わらない状態になっていたらしい。

診断を受けて、休職して、それから後のことは実はほとんど覚えてない。

ただただ貪り尽くすように眠り続けていたことと、たまに起きたときはやかんでお湯を沸かしてインスタントのはるさめスープを食べていたこと。それ以外ほぼ何もせずに過ごしていて、それなのに溜まっていくホコリには苛立っていた記憶があるけれど、だからといって特になにかすることもなく、ただひたすら布団の中で時をやりすごしていた。

布団の中で過ごすことが幸せすぎて、このまま時が止まってしまえばいいのにと、むしろ自分の呼吸が止まってしまえばいいのにと、何度思ったことだろうか。

少し起き上がれるようになると、部屋から見えるスカイツリーの、美しい夕焼けに照らされた景色を眺めながら、暖かい紅茶を飲んで冬をすごした。

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