空に住む

「マンションの管理人」や「猫」などは何の比喩として用意したのか。解釈が多く生まれる良作だと思います。

確実にこの作品のキーマンは猫だといえます。

主人公は本作で涙するのは人間の死ではなく猫の死つまり動物の死でした。この角度のテーマを入れている辺りがこの作品に深みを与えている要因だと思います。

なぜ人間の死より動物の死の方が重くなるのか。
人類学的な話になってきますが、私のこの問に対しては「動物は人間世界のシステムの外側にいる一番近い存在だから」と答えます。

ここの部分の解釈だけで様々な議論の余地があります。
誰かと議論してみたいものです。そんな面倒くさい事してくれる人は思い浮かびませんが。

このテーマを持った作品としてポーランドの「パサジェルカ」という映画が挙げられます。
私の大好きな作品です。

ナチによるユダヤ人の大量虐殺が行われたアウシュビッツが舞台の映画です。
罪のない人々が毎日ガス室に放り込まれていくという圧倒的非日常が描かれている中で1シーンだけ涙が描かれます。
それは人間の死に対してではなく犬の死に対してでした。
他にも面白要素が沢山詰まった映画ですのでおすすめします。

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