自然流産をした日


※かなり人を選ぶような内容になってしまっています(自分が経験した流産についての具体的な内容や、生々しい出血などの表現が多々あります)
もし読むのが難しそうだなと感じられた時は、戻っていただけたらと思います、よろしくお願いします

そして、前回の内容について反応をいただき本当にありがとうございました
どこかに吐き出したかったという思いで書いたものだったので、読んでくださった方がいらっしゃったこと、本当に本当に嬉しかったです




※※※ここから記録です※※※




5/4朝、やっぱり出血は止まらず。トイレに行くとティッシュにまたべったりと血がついた。実は息子と旦那が新型コロナに罹っていて、前日まで元気そうだった旦那が発熱、朝方に嘔吐していた。わたしはとりあえず保健所に連絡を入れた。病院がゴールデンウイークのためどこも空いていないこと、旦那が比較的軽症であることなどいろいろな説明をしてもらった。息子は幸い熱が出たのは1日だけで、この日は軽い咳はしていたもののとても元気だった。本当ならわたしは安静にしているべきだったけれど、状況が状況なだけにそれが出来なかった。このまま妊娠を継続させるのは無理だと悟っていたから、控えるように言われていた階段の昇降も何度もした。(旦那のいる寝室が2階にあったため)それでも意識せず自然とお腹を触っていた自分に悲しくなった。

お昼前、生理の時のような、血が漏れているような感覚がしてトイレに行った。夜用のナプキンをつけたままだったけど、明らかに出血が増えていた。便器も真っ赤になっていた。ワクチン接種をした時に買っておいた解熱鎮痛剤を飲んで少し症状が軽くなった旦那が起きてきたので、息子のことを頼み玄関先で病院に電話をかけた。

止血剤を飲んでも血が止まらないこと、どんどん量が増えていること、息子と旦那がコロナに罹っていることなどを話した。返ってきた答えは、自然流産になるだろう、だった。前回診てもらった時の心拍や育ち具合などから判断しても、病院に来てもらっても何も出来ないと思う、もしお腹が痛くなって大きい血の塊が出たら連絡が欲しい、確かそんな説明だったと思う。なんとか返事をして電話を切った後、我慢していた涙がたくさん出てきた。声を上げて泣いてしまった。旦那が様子を見にきてくれた。わたしはなんとか説明してもらったことを伝えた。息子もわたしが泣いてることに気づいてティッシュを持ってきてくれた。

午後になって、息子とご飯を食べた。旦那は寝室で寝ていた。腰が痛み出した。これは…となったけれど、痛いのはお腹じゃないから違うのかな?と思った。でも息子を産んだ時も腰が痛かったことを思い出し、もう少しで出てくるのかな、と覚悟をした。腰が痛むので横になりながら息子に絵本を読んだりすごろくをしたりした。その間にも何度かトイレに行った。血の塊ってどれくらいなんだろう、出てきた時に気づけるかな、トイレに流すのは嫌なんだよな、と思いながらティッシュやらをその度に見ていた。そして生理の時に出るくらいの血の塊が出た。便器の中だったので、取らないと!と慌てて新品の割り箸を取りに行ってそれを掬おうとした。でもバラバラになって出来なかった。取れなかった、違うのかな?でもこれだったら?と頭をぐるぐるさせた後、結局水で流した。血の塊が出たら電話をしないと、と病院に電話をかけた。血の塊を拾おうとしたらバラバラになってしまったことを話の流れで言ってしまった時、もしかしたら引かれるかもと思ったけど、そうなんですね、そのくらいの大きさでバラバラになったということは違うと思います、と優しい声で言ってくれた。

電話をかけ終えても腰の痛みは止まなかった。痛みに波があるのは確かに陣痛みたいだな、といろいろな方の体験談を思い出していた。

そして、17時過ぎ。トイレに行ってティッシュで拭いたとき、何かが出るような感覚だったかどうしてなのか自分でも分からないけれど、塊のようなものを受け止めた感触があった。急いで見てみると、ティッシュの上には明らかに色が違う、白っぽいというか灰色っぽいというか、とにかく血の塊じゃないものが乗っていた。それを見てすぐに胎盤だ、赤ちゃんだ、と思った。もしかしたら違うかもしれないけど、そうだと思った。本当に出てきてしまった、こんな形で会いたくなかった、覚悟をしていたつもりでも全然出来ていなかったことを痛感した。また声を上げて泣いてしまった。でもこのままじゃ駄目だ、とキッチンに行き小さいタッパーを取った。トイレに戻り、出てきた胎盤と赤ちゃん(確認する手段がないので本当にそうなのか今でも分かりませんが、このまま胎盤と赤ちゃんということで書かせていただきます)をそのタッパーに入れようとしたけれど、血が漏れるかもしれないと思い今度はキッチンペーパーを取りに行った。割り箸で取るのはなんだか嫌で、素手でキッチンペーパーの上に置こうと思った。でもその前に手を洗わないと、と洗面所に向かいハンドソープで洗った。お花のいい匂いがするやつだから、少しでも心地よくなってくれたらいいのになと思った。こびりついてしまったティッシュを剥がそうとしたけど、崩れてしまいそうで、これ以上痛い思いをさせたくないなとそのままキッチンペーパーでくるんでタッパーに入れた。声を上げて泣いたままだったから、旦那が心配して見に来てくれた。具合が悪いのに本当に申し訳ないと思ったけど、来てくれて嬉しかった。赤ちゃんが出てきちゃったと思う、タッパーに入れた、とわたしが言うと、旦那が触っていい?と聞いてきた。2人でタッパーを持った。とても軽くて小さくて、悲しくて悲しくて仕方なかった。旦那に起こしてごめんね、ちゃんと産んであげたかった、出てきちゃった、ごめんね、みたいなことを言っていたと思う。旦那はいいんだよ、お母さんのせいじゃないよ、誰のせいでもないんだよ、と言ってくれた。その言葉が優しくて悲しかった。

タッパーを旦那に持ってもらって、わたしは洗面所でまた手を洗った。ずっと泣いたままで、ちゃんと産みたかったとか、ちゃんと会いたかったとか、ごめんねとか、来てくれてありがとうねとか言って、旦那は黙ってそれを聞いていた。そして一度大きく鼻を啜った。旦那も泣いてるのかなと思った。わたしがタッパーを受け取ろうとすると、旦那は片手でタッパーを、反対の手でわたしのお腹を触っていっぱい頑張ったんだね、と言ってくれた。わたしなんかよりこの子の方がいっぱいいっぱい頑張ったよ、と返したら、そんなことないよ、と言った。切迫流産で安静にしてないといけなかったら今日みたいに動けなかったから、だから今日だったのかな、親孝行な子だね、でもこんな形の親孝行よりちゃんと会える方がよかった。息子が様子を見にきて、旦那とわたしを見てリビングに戻るとティッシュを手にやってきた。旦那とわたしに渡してきたので、やっぱり旦那も泣いていたんだなと思った。旦那が泣いているところを見るのは初めてだった。

それから病院に電話をかけた。午前中に電話をさせていただいたものです、と名前を言ったらすぐに分かってもらえた。そこで腰が痛くなったことと、赤ちゃんが出たと思われることを伝えた。泣かないように我慢したつもりだったけど駄目だった。電話の向こうで助産師さんだと思われる方がそうだよね、辛いよね、と言ってくれて、それでまた泣けてきた。そのあと、本当なら赤ちゃんを連れてきて欲しいところだけど、状況が状況だから2週間3週間自宅で保存してもらって持ってきてもらうか、トイレに流してもらうかになると思うと告げられた。保存をするならビニール袋で何重かに包んで涼しいところに、嫌じゃなければ冷蔵庫とかに入れてもらうことになると思うと教えてくれた。先生に聞いてくるので折り返し電話します、と言われ通話を切った。旦那にもそのことを言った。トイレに流すのは嫌だな、と思わず漏らすと、旦那も俺も嫌だな、と言った。

電話がかかってきた。話を聞くと、感染源になる可能性が高いので病院に持ってきてもらうことは出来ない、申し訳ないけれどトイレに流すか、燃えるゴミとして出してもらうしかない、とのことだった。わたしはそれを聞いて、トイレに流すのも燃えるゴミで出すのも嫌な時はどうしたらいいですか、と尋ねてしまいそうになった。けど、病院の方に聞いても困らせるだけかなと思って分かりました、ありがとうございます、とだけ返事をした。電話の内容をまた旦那に伝えた。旦那もわたしも、トイレに流すのも燃えるゴミで出すのも嫌だと、同じ意見になった。旦那はゴミとして出すのはあんまりにも酷だよ、と言ってまた泣いていた。わたしは最初から最後まで泣きっぱなしだった。

赤ちゃんは電話で教えてもらっていたように二重にしたビニール袋に入れたあと、ジップロックに入れて冷蔵庫に置いていた。温かいところにいたはずなのに、急に出されて、冷たいところにいさせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだった。その後タオルで包んだという方の話を読ませていただいたことを思い出し、わたしも真似させてもらおうと来客用のタオルを見に行った。せめて綺麗なもので包んであげたかったから。ピンク色とか可愛い感じのタオルがよかったけど残念ながら無くて、結局自分が好きな水色のものを選んだ。それと友人に出産の内祝いでもらった動物の柄が入ったハンドタオルを見つけて、旦那と次に赤ちゃんが出来たら使えばいいね、と言っていたのを思い出してそれも出した。赤ちゃんが出来たことに変わりないから。

その後、トイレに行くとまた何かが出た感触があった。赤ちゃんは出たはずなんだけどな思ったけど、どうしても気になってまた割り箸で、トイレの中にあった塊のようなものを手前に寄せた。大きな血の塊に灰色のような部分がくっついていた。これはただの血の塊じゃないと思って、急いで丸めたティッシュペーパーの上に置いた。こっちはどうなんだろう、でも戻して流すのも嫌だな、と思い同じタッパーに入れることにした。一度トイレの水に入れてしまったものなので、今度は冷蔵庫に入れない方がいいんじゃないかと涼しい場所を探した。トイレはなんかなあ、階段も間違えて踏まれるのも嫌だなあ、とうろうろして結局玄関の靴棚の上を選んだ。新築祝いでいただいた花籠の隣にした。少しでも綺麗なものを見せたかった。包んでいたタオルに保冷剤を挟んでまた包んで、上から動物柄のタオルを掛けた。一度置いたけど、愛おしくて悲しくて、持ち上げてタオルごと抱きしめた。たくさん撫でてごめんねとありがとうと大好きを繰り返した。

赤ちゃんをどうしようという話になったけど、調べてみても難しいことばかりだった。旦那が、コロナになってなかったらちゃんと病院に連れていけたのに、ごめんね、と言ってきた。誰も悪くないよ、と返した。それでもいい案は浮かばなくて、ネットでひたすら検索した。そして旦那に庭に埋めるのはどうかと聞いた。これには賛否両論があることも調べて分かっていたけど、感染症の観点から誰かに託すのは難しいなら、捨てるのも流すのも嫌ならこれしかないと思った。うちには家を建てた時に植えてもらった木があって、その下なら踏まれることもないし雨からも少しだけかもしれないけど守ってくれるんじゃないかと思った。旦那にこのことを言うと、いいと思うと言ってくれた。息子は赤ちゃんの名前を考えてくれた。あだ名みたいな感じだったからというのもあるけど、偶然にも男の子でも女の子でも良さそうな名前だった。本当は旦那と一緒に考えようと思っていたけど、息子が考えてくれた名前以外にいいものは無いなと思った。旦那もいいね、可愛いね、と賛同してくれた。嬉しかったけど、悲しかった。アルバムに数枚しかないエコー写真。本当はもっと増えるはずだったのにな、と思いながら表紙に赤ちゃんの名前を書いた。

寝るために寝室に行く前にも玄関に会いに行った。初めて離れて過ごす夜なんだなと思った。無事に生まれていたら一緒に寝ていたんだろうと思ったらまた涙が出てきた。何度か撫でるだけでは足りなくて、またタオルごと抱きしめた。旦那は遅れて来るとのことだったけど、赤ちゃんが玄関にいることはタイミングを逃して言えなかった。出来れば気づいてほしいなと思いながら先に息子と寝室へ向かった。旦那が来て、玄関に置いたんだね、と言った。それを聞いて、気づいてくれてよかったと思った。旦那は寝る前いつも玄関に鍵がちゃんとかかってるか確認してくれているのは分かっていたけど、気づいてくれるかはまた別だよなと思っていたから。

息子が、息子がつけてくれた赤ちゃんの名前を呼んだあと、大好きだよ、と誰に言われるでもなく言ってくれた時、また泣いてしまった。こんなに優しいお兄ちゃんなんだよ、と思ったら耐えられなかった。

※※※


以上が現在までの記録になります。



妊娠していることが分かった時、出血をした時、切迫流産と言われた時、自然流産をした時…上げていったらきりがないくらい、いろいろな方の体験したお話に助けていただきました。

同じような思いをする人がいなくなればいいのにと、切に願っています。

今これを書いているとき、前回と違ってお腹に赤ちゃんはいません。事実なのに嘘みたいで、実感があるようでないようで、悲しくて仕方ないです。でもお腹に新しい命があったことだけは本当なので、忘れないでいたいなと思います

本当はこんな形で失いたくなかった、でも妊娠も出産も、奇跡の連続なんだって教えてくれてありがとう
生まれ変わりはあんまり信じていない方だから、次にもしまた命を授かることが出来たとしてもそれはあなたじゃないと思う、冷たいお母さんでごめんね
あなたはあなたでしかないと思うから、だからずっと覚えているね
お兄ちゃんがつけてくれたお名前で呼ぶからね、ありがとう、大好きだよ
いっぱい頑張ってくれたから、あとはゆっくり休んでね


生々しい内容で申し訳ないです、こんな拙い長々とした文章をもしここまで読んでくださった方がいらっしゃったなら、本当に本当にありがとうございました





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