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衝撃的な旅記録

私の忘れられない旅の話しをしていこう。
もう10年以上前のことだろうか…
私はいつもお世話になっている師匠に何か良いプレゼントはないかと、ネットを検索しているとめちゃくちゃ気になるものを見つけた。
なんと一泊豪華夕食付きで、行き帰りの列車代も含み、7千円!
これはお買い得じゃ〜んと思い、早速予約をいれたのだ。
本当はもっとラグジュアリーな場所をプレゼントしたかったのだが、当時ボンビーだった私には難しかったのだ…。

そして師匠に、予約したことを伝えたら、喜んでくれた。

そして旅行の当日になり、2人で指定された列車に乗るところから話は始まる。

思ったよりも綺麗な列車であり、窓が大きく、景色がよく見える。そして椅子の座り心地もよく予想外だった。値段も値段だからもっと普通の列車だと思っていたからだ。
例えるならロマンスカーの展望席から展望を楽しめるようなレベルだった。 

これは正解だったのでは!?

私は期待が高まっていった。

そして到着したので、私たちは旅館に向かうのであった。

旅館に着いて、まずロビーでチェックインをする。夕食の時間や館内の説明をうけた後に、鍵を受け取る。そしてエレベーターで上にいくのだが、とても小さくて古めかしいエレベーターであった。そしてそのエレベーターに乗り部屋に向かうのだが、ここからが初めて経験する衝撃的だった体験をみなさんにお伝えしていこうと思う。

エレベーターを降りるとなんとも薄暗くどことなく不気味な雰囲気を漂わせている…。
謎の小石が廊下の両端に敷き詰められていた。そして噴水?のような物が置いてあり、そこから水がタラタラと流れていた。
私はこの光景を目にして、ここ大丈夫だよね??
自分に言い聞かせた。

お化け屋敷をイメージしてるとか??

いやいや…いまの私はお化け屋敷を求めてないからやめてくれよ…

かなり古い建物だからちょっと不気味に感じるだけだよね(笑)

すると師匠が、「なんかクサイわね」という。

言われてみれば確かになんかカビ臭いな…。 
多分換気が不十分なのかな。はぁ…。

そして不気味な廊下を歩きながら部屋に到着したので、鍵を開けた。
ドアを開けると、キュイ~ンという音が響いた。大きな音にビックリ!!
ドアのサビのせい??
部屋の中に入ると、広さはそれなりにあった。景色も海が見えて綺麗ではあったが、和ではなく洋の雰囲気。そしてやはり年季が入っていた。
なぜか、洗面台がベッドの足元側の壁に設置されていて、斬新だと思った。
ベッドはそれなりの大きさがあったので私はベッドにダイブした。
すると、ギシ〜〜〜ィっという音が鳴り響いた。
あらあら、ベッドもご長命ですこと(笑)

さてとりあえず手でも洗おうかと洗面台の蛇口をひねった。
うん?水が出てこないぞ?
蛇口をまた何回もひねってみた。
反応なし。

なるほど…。これは壊れてるってことだよね。………マジかぁ。 

あ〜あ。いいのよ、いいのよ、もしこれが一人旅とかであれば、こういうこともあるよね?ドンマイ私!!ってね(笑)

だけどこれがプレゼントとなれば話は別でしょ〜(汗)
こっそりと師匠の顔を見てみた。
ちょっと困った顔をしている。

だよね…だよね…そうなるよね〜(泣)

私は急いでフロントに連絡して洗面台の水がでないことを知らせた。
すぐに修理屋が来るとのこと。

しばらくするとトントンと音がした。

あ!来た!と思いドアを開けるとキュイ〜ンとした音と共に修理屋さんらしき人が立っていた。
おまたせしました〜洗面台の水がでないとのことですよね?失礼しま〜す。と言いながら洗面台に向かい、カシャカシャと修理をし始めた。
その間テレビでもみてようかとおもったら、直りました〜と修理屋さん。

え?早くない?

とりあえず、蛇口をひねるとチョロチョロと水が出てきた。
うん?なんか微妙な水の出具合なんだけど…。
私は修理屋さんに、「もう少しちゃんと水でるようにできませんか?」と聞いた。
すると、ここは場所的にあまりでないんだよね〜。とのこと。
お湯どころか水もでないなんてなんてこった。
そして水を止めようとしたら、え??水が溜まってる?私は修理屋さんになにか詰まってますよ?流れてませんもん!と訴えた。

すると修理屋さんはいきなり爆笑し始めた。
私がポカンとしていると修理屋さん「これいつものことだから気にしなくていいよ。あはは!」と言う。

いやいや、あなたが気にしなくても私は気にするっつーの!  

では失礼しました〜と修理屋さんはでていく。

この調子だとお風呂の水もでなさそうだ。
試しにシャワーを出してみたが、やはりかなり水圧が弱い。しかも水しかでない…。
もうシャワーは諦めた。

はぁ…どうしよう。せっかくの旅行が台無しになってしまう。

いや、まだ諦めるのは早い!!

ここの目玉ともいえる豪華な夕食が残っていたではないですか!

食事がメインで他はオマケなのかも(笑)

よ〜し!挽回するぞ!

そして夕食の時間になったので、師匠と共に指定された場所に向かった。
すると定食屋のおばちゃんみたいな人たちが何人かいてその一人がこっちに来て、いらっしゃ〜い!はいはい!座って座って〜と席に座らせられる。
なんと表現すればよいのだろうか。
給食を感じさせるなんとも懐かしい光景だ。
前に色んな食べ物が並んでいて、自分で取りに行く形式だ。
もう決まったものをもらうだけなので、バイキングとは違う。時間がたっているからなのか、お刺身に艶がないというか干からびてる感が否めない。
お味噌汁とご飯だけはおばちゃんたちが出来たてを配っているのだが、ご飯はペチャペチャしていて水分が多すぎ?
お味噌汁は具がほとんど入っておらず、味噌の味も薄くて、味噌汁というよりは味噌風味スープという方が合っているだろう。そしてお椀には一粒のごはん粒がくっついていたのをみて切ない気持ちになった。

すると師匠が「あら、あそこのカップルお気の毒ね。彼氏さんきっといいとこ見せようとして鯛を追加したのよ。なのにあの哀れな鯛の姿をみてしんみりしちゃってるわ。」
私はカップルに目を向けた。
カップルは微動だにせず、暗い表情を浮かべながら鯛をみつめていた。
そこにはどんよりとした空気が漂っていた。

有名洋菓子店の味見役の仕事もしていた舌が肥えている師匠に、なんとも申し訳ないことをしてしまったと私は反省した。

知り合いに聞いたら素泊まりならともかく、食事付きの列車代込みでその値段は安すぎだと言われたのだ。

そんなことも知らなかった自分が情けない…。

最後、師匠に叱られると覚悟をきめていたのだが、予想外にも師匠から返ってきた答えは「きっとここは列車が売り物だったのね。一番列車が楽しめたわ。ありがとう」と言ってくれた。 
普段は厳しい方なのでその優しさが心に響いた。
 

そういうことだったのか。   

列車好きの人のプランだったのかも。

列車+旅館にも泊まれて実はお買い得だったのかもだ。

色んな気付きがある旅をさせていただいたのであった。





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