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数珠はなぜ持つの?珠(たま)それぞれの意味【仏事】

先日の法事の際、とあるお檀家様から数珠のことを聞かれた。

「なぜ房二つの方が右になるの?」

な、なぜだろう…。
即座に答えられず、住職にヘルプを要請。
そういえば京都で習ったよな。
せっかくお檀家様が興味を持って聞いてくれたのに。
自分の不勉強さを反省している。
今回は復習を兼ねて数珠のことについてnoteにまとめようと思う。


日蓮宗の数珠の持ち方

まず数珠といっても、人それぞれイメージが異なるだろう。
宗派によって形も持ち方もかなり違う。

日蓮宗の勤行数珠

スーパーやドラッグストアの冠婚葬祭コーナーに置いてある数珠は
略式数珠といって、そもそも房が二つしか付いていない。
もっと一つの玉がデカくて腕輪のようなものだ。
それしか知らない方は『房が二つが右』とか、なんのことやらと思うだろう。

日蓮宗の数珠は二連(二重)タイプで、房が二つと三つで分かれているのだ。

持ち方その①

基本的に↑のように左手に持つ。

持ち方その②

法要の勧請・唱題・回向・四誓の時は↑このように持つ。
輪っかを一度交互させ(綾にする)、両手中指の第一関節らへんにデカい玉がくるように合掌する。

なぜ房が二つの方が右なのか?

数珠には上位と下位がある。
日蓮宗の数珠では、房が二つ付いている方が上位となり、
右手が上位、左手が下位に持つからだ。

舞台でいうところの
向かって右が上手(カミテ)、向かって左が下手(シモテ)と同じ原理か。

珠(たま)にはそれぞれ意味がある(図解)


それぞれの珠に意味合いがあり、数も決まっている。

親玉(2個)・・・一番デカい玉。
房二つ出ている方が「釈迦如来」で房三つ出ているのが「多方如来」を表している。

四天珠(または四菩薩)(4個)・・・図では色がついている玉。日蓮宗ではおそらく『法華経』の上行・無辺行・浄行・安立行の四人の菩薩のこと。

主玉(108個)・・・一番たくさんついている小さな玉。百八の煩悩を表している。

浄名珠(または浄明珠)(1個)・・・図はわかりにくいが、右の親玉の隣。1個だけ独立した玉。菩薩を象徴する?玉らしい。

数取玉(10個)・・・お題目を唱える際、数を数える時に用いられたそうだ。

弟子玉(または記子珠)(30個)・・・お釈迦様のさまざまな弟子たちを表している。記子珠(きししゅ)とも言う。

ツユ(または露玉、記子止)(4個)・・・弟子たちを支える玉。他の丸い玉と違って露のような形をしているからツユと呼ばれる。


つまり、房二つの方が上位になるのは
釈迦如来・四天珠・浄名と位が高い方たちがいるからだ。

数珠を用いる意味

数珠は念珠とも言い、念誦の回数を珠を使って数える道具だったようだ。
また、これを用いる時は
・一切の罪障の滅除
・煩悩が消える
・甚深の功徳
・心を落ち着ける

などなど、たくさんの意味合いが含まれる。
日蓮聖人は「数珠(じゅず)」のことを「ずず」と呼んでいたらしい。
(宗定日蓮宗法要式参照)

手元に広がる三千世界

仏教には一念三千という言葉がある。

一つ念じるだけで三千世界(仏教でいう全宇宙)が広がるという意味だ(ざっくりと)

数珠をすることは、手元にすでにお釈迦様がいる世界が広がっていることを意識するためなのかもしれない。



ここまでのことを、聞かれた時に答えられたら良かったんだけどな。あ〜(後悔)
ちなみに

ひっぱり出してきた京都学林時代のノート

うん。やっぱりちゃんと習ってるね。
これを機に復習復習。

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