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#ゴルフ 上田のゴルフ物語が始まります。No3

・区役所の下田課長は、食事会にまた、誘われていた。何の警戒もしていない様子であった。地元で有名な 老舗「春風」である。時を違え、「神田組」の社長と秘書が到着した。
すかさず、記者の「真似」は、証拠写真をこの日、手にしたのであった。次の日、雑誌に載る事も知らずに。、、、、
翌日出版された、月刊「新昼」には、こう書かれていた。「区の職員、地元建設業者「神田組」との密会。事前入札価格漏洩か?」見出し題目の横に、2人の写真があった。
区長、副区長は、この建設課職員を部屋へ呼んだ。「どう言う事か、説明して貰えないかな?下田くん?」
下田課長は、下を向いたまま、無言であった。そう、何も言えるはずも無かった。今まで、ワイロとして、50回以上、金額にして約50百万円貰っていた。

・マスコミが、区役所に押し掛けていた。テレビ局も来ている。生放送されている。全国放送だ。
「神田組」の会社も、同じ様な事が、起きていた。区役所より人の数やマスコミが多かった。近所の住民の野次馬も、やじを言いに来ていた。全国放送が、始まっていた。
神田社長は、「もう、終わった」と小声で言った。「でも、ただでは、終わらせない。」と強く思った。社長はマスコミに、一言だけ「近々、記者会見をします。その時、全てを明らかにします。」と言った。

こうして、記者会見は開かれた。「社長!全てを話すと、この前おっしゃいました。お願い致します。」
「工事は、地元の建設業者で、平等に請け負わなくてはならないと考えます。一社に片寄ってならないと考えます。」「でも、卑怯な手を使っても良いと?」「不正入札を行なったのは、当社だけでは有りません。」「そうですか。社長が把握しているのは、何社ですか?」「地元建設業者は、全てです。」「全てですか?」「マスコミの中で、把握している限りでは、1社は、違うと言う事ですが」「えっ、それは何と言う会社ですか?」
「あー、昇建設です。」「それは、違うと思いますけど」
「社会全体が、それは認めている事とおもいますが!」「そんなはずは、、、」
こうして、「神田組」は潰れた。区職員の建設課課長も逮捕され、談合に参加した企業も処罰された。その後、更に、「昇建設」の名前は更に、有名となったのである。

有名となり、名前が売れただけではなかった。公共工事は、もちろん民間からも工事の依頼かま殺到した。従業員を増やし、売上高も名前の如く、昇りに登った。会社資産も増え、自己資本も増やした。

社長趣味である「ゴルフ」。妻と出会った「練習場」今も通い続けている。

さて、妻は何やら、首から下げている。ネックレスでは無い、らしき物である。それには、訳があった。独身時代、宝クジに当たって今も尚、当選金には、手を付けていない。銀行に預けたままである。社長の会社にもしもの事があった時のため、そのままにいて置いたのである。その、ネックレスらしきものは、貸金庫の鍵の入った鍵を開けるための、3億円のボックスキーなのである。彼女らいし発想である。ただ、今は、当選金の出る幕では無いのかも知れないと彼女は、思った。
建設業と言うのは、いつ何時、どんな事があるかは、分からない。今年が良くても来年が良いとは限らない。もしも、将来、もしもの時に使おうと、その時が来なければ良いのにと思う彼女であった。

地元でも知名度が上がった「昇建設」は、その後も、順調に業績を伸ばしていった。従業員も、300人を抱える大企業へと成長した。そんな、順風満帆の時、株式上場の話が舞い込んできた。
証券会社からのアプローチである。担当者課長の「宇佐野葛西」は、頻繁に当社事務所へ通い続けた。
「御社さま位に、規模が大きくなりますと、急な資金手当とか、社会的信用拡大であるとかは、やはり、上場が一番かと存じます。」手をハエの様に、スリスリして言った。
社長より、「うう〜ん、私は、まだ時期尚早と思っているんたがね」
空かさず言った。「いやいや、思い立ったが吉日って言うではありませんか!」
「まあ、少し考えてみることにするから、今日のところは、これで」「はい、またお邪魔いたします。」

社長は、妻に相談した。「上場の話、どう思うよ?証券会社は、非常勧めてくるが。」「今の貴方の気持ちは、如何なんですか?」「そうだな、半信半疑ってとこかな。」
「それでは、やめたほうがよいのでは?何故なら、そんな中途半端な気持ちではダメです。」キッパリと言われてしまった。女性とは、怖し!彼女の心の中には、宝クジの当選金と言う「切札」があったからである。しかし、まだ、誰にも言ってない。もしもの時の為のものであるからである。
今度は、妻から社長へ向けての質問である。
「貴方は、何の必要性があって上場しようと言う気持ちですか?それは、今、本当に必要ですか?」「そう言われて見れば、そうなんだけど、、、」
「建設業は、安定的に受注工事があって初めて運営が可能となる。従業員300人の家庭を支えなくてはならないの。ただ、業績を伸ばせば良いと言うだけでは、社会的責任は果たせない。ここ、数年は上手く行ったけど、一寸先は闇よ。公共工事も、ジリ貧だし。民間からも期待は出来ない。何の保証もないのだから!」
「そんな事、今更言われなくても分かっている。そう、君が言う様に、時期が違うかもな。分かった、暫く見合わせる事にするよ。」
「何かあったら、言って下さいね。きっとお役に立ちますから。」「どういう意味かな?」「あっ、深い意味は無くってよ。私も力になりたいって事」と笑みを浮かべていた。

社長の子供も、長男は15才となっていた。次期後継者である。まだ、中学生であるが、親父の背中を見て育っている。成績も優秀であり、スポーツも万能であった。更に、顔も母親譲りでイケメンであった。進学は工業高校で、工業大学を目指していた。しかし、彼は野球が小さい頃から好きで、チームに所属していた。ピッチャーで、4番。絵に書いた様なスポーツ選手であった。子供は、子供なりに悩んでいた。本当はは、プロになりたかった。ボールスピードは、群を抜いていたからである。中学生で150キロのストレートを投げる。また、変化球もバラエティに飛んでおり、器用であった。普通の中学生は、彼の球は打てなかった。社長は、希望を持っていた。「もしかしたら、プロ!」なんて事を思い描いていた。
長男が野球、次男も兄を見て自分も野球をと2人ともずーっと続けている。長男も、凄いが、次男もなかなかである。兄は、15才.次男は、13才である。

社長の妻である「紀子」は、息子の考えを尊重しようと考えている。建設業は、厳しい。かと言って、プロスポーツ界も例外では無い。男2人、後継者については、問題無いが、今から、彼ら2人の考えを聞き、対応する予定だ。事業の承継については、好きな事をやった後でも遅く無いと考えていた。子供の可能性に賭けるのもアリかな!っと強く思っていた。社長の「誠司」もここのところは、考えが一致していた。県立の工業高校に入り、野球部でその実力を充分に発揮した。ストレートや変化球は、更に磨きが掛かった。地元では、ちょっとした噂になり、プロ採用の人達が変わり変わりに学校に訪れた。100年に一人の逸材の噂された。普通の高校生は、彼の球は撃てなかった。完封劇を演じてた。プロスポーツ界が放っておくはずもなかった。いつもの練習時、ネット裏でその影を数人見かけた。スカウト人達だ。
ある時は、自宅へ、ある時は、野球の監督へアプローチを繰り返し、その選手達の情報やプロ移行の気持ちなどを周りから得ていた。

そんな中、100年に一人と噂される、社長「誠司」の息子「誠一」にも、スカウトの目が、注がれた。毎日のように、彼らがネット裏に来ていた。
特に、ブルペンでの投球練習時が見ものである。前よりもスピードが増してきている。優に150キロは、超えている。スカウト陣からも「うおー」の声が聞こえる。また、変化球もキレが凄い。カーブ、シンカー、スライダー、ツーシーム、シュートなど凡ゆる種類を身につけている。こうなったら、自宅への訪問による球団への勧誘が始まる。あの手この手を使い取りに行く。
社長の「誠司」は、息子の「誠一」に聞いた。母「紀子」も居た。「なあ、誠一!今後、どの道へ進みたいんだ?プロになるか?球団側から、会社へも電話が入っている。」母「紀子」が空かさず言った。「私達の事は心配要らないんだよ、貴方の人生!好きな様にして良いから、、」紀子は笑みを浮かべてそう言った。

「誠一」は、真剣な眼差しで、こう2人に告げた。「びっくりしないで聞いて!俺、プロになりたいんだ。」誠司は「そうか。」紀子も「そうしたらいい」口を揃えて言った。
少し、間を置いて、「そうじや、無いんだ、プロは!プロでも、プロゴルファーになりたいんだ。」
両親は、「えーっ、えーっ、何だって。もう一回言ってみろ。プロゴルファー?!?」
「プロゴルファーって、あのプロゴルファーか!」
流石、意表を突いた、変化球であった。

「理由を聞かせてくれ。それに、お前、ゴルフした事あるのかい?見た事ないんだが。」
そう、両親は、共にシングルプレイヤーだ。今や、父「誠司」クラブチャンピオン、母紀子は、ハンディキャップ「3」である。実は、「誠一」は、密かに両親が趣味であり、余りにも2人が楽しそうで、嬉しそうで、ゴルフに興味を抱き続けていたのである。そう言う事もあって、友達や弟の「誠ニ」を誘い、ゴルフ練習場へ行ったりしていたのである。

「今から、練習場へ行く。いや、行こう。紀子お前も一緒にだ。」父誠司は、何やら嬉しいのか、楽しいのか、びっくりなのか、何が何だか分からず。練習場へ着いた。
「まず、これで打ってみろ。」とドライバーを渡した。素振りを2〜3回し、最初の一発。

・バァシッでは無く、「パーーーーン!」と言う音がしたかと思った瞬間、ボールは既にネットに届いていた。「誠司」は「ボールは、何処行った?」目を凝らしながら言った。母紀子が、空かさず行っ言った。「お父さん、お父さん、あそこよ〜!あそこーー!」「何処!?何処?」「ネット、ネットよ!」
誠司は、驚いて、「もう一回、う、ううってみろ」「お父さん、斜めからじゃ分かんないから、真後ろから見たら?」と紀子が言った。「さあ、準備出来たぞ、いつでも打っていいぞ!」
2発目のショット!空を切り裂き、ネットへ。バシッでは無いのであった。「ぱーん」と何か空気が乾いた様な、2人がゴルフのショット。何処かで聞いた様な無いような。
暫くして、2人は、声を揃えて言った。「あれだー。」そう、プロのトーナメントを見に行き、ティーグラウンドの後方で、良く聞いていたショットの音に似ていた。似ていたがチョット違う様な気もした。何度かショットを見ていた。ボールに軌跡が見えている様な気がした。ジェット機が、白い煙りの様なものを履いていく様に。
そこには、弟の「誠ニ」も来ていた。若干13才の中学1年生であった。「僕にも打たせて」
父誠司が言った。「誠ニ、当たらないからやめとけ!」紛らわしい呼び名である。
「バシッ〜」っと、あっさりネット行きであった。またまた、2人はこれにも、驚いた。母紀子はこう言った「やった事あるの?どうして当たるの?」「あー、兄ちゃんがここに来た時、見ていてやりたくなって、毎回面白くてやってた」
2人は、驚きの連続で何が何やらわこらないでいた。
家へ帰り、着くなり「それじや、誠一!もう一度聞くけど、野球選手じゃ無く、プロのゴルファーになりたいんだな。」「うん」。弟の誠ニも「僕もなるー」と軽々しく言った。

考えてみれば、あのショットは当然なのかも知れないと誠司は、思った。類いまれなる。運動神経、器用さ、150キロを超える球を投げられる身体能力とバネ。変化球をなげる器用さ。父は思った。まだ、誰も知らない。これは、高校生になれば、もっと身体能力も上がる。身体ももっと大きくなる。もしや「世界」に通用するレベルまでになる逸材かもしれない。
「よし、自分が出来るだけのことをしよう。それが、父親の責任なのかも知れない」と心で叫んでいた。

確かめる為、誠司は、妻と誠一と3人でゴルフコースを回る事にした。今までコースは回った事は無かった。

まずは、クラブチャンピオンの父誠司からだ、「パシッ」フェアーウェイのど真ん中キープ。2番手は、母の紀子であった。「パシッ」ハンディキャップ「3」の実力は健在。フェアーウェイキープであった。最後は、長男の誠一の番である。1番、330ヤード、ややフラット。
さあ、いよいよコース最初のティーショット。「軽く振るんだ」と言い聞かせ、軽く振った。そう、8割程度のスイング!「パーン」
誠司が、「何処行った?」誠司は分からなかった。紀子も「あそこじゃなあ〜い、花道とグリーンの間のところ。」「えっー、ここは、何ヤードだっけ?330ヤードあるんだ、あそこまで届くか?まあ、行ってみよう。」誠司の紀子は、2打目を其々打ち、パーオン。やはり、誠一のボールは、グリーン手前10ヤードまで来ていた。誠司は、思わず「300ヤードは、軽く超えている!これは、もしかすると、もしかする。」誠一の第2打!「ザクっ」僅か10センチであった。3打目、「カツ〜ン」グリーンオーバーとなる。4打目、グリーンに乗っただけ。誠司が、言った。「グリーン上は、パターで打って!」10ヤードのパッティング。加減が分からず、15ヤードオーバー。誠司が、「もう一回!」「今度は、短い!もう、一回、後、5.5ヤード!。はい、一回休み、紀子、はいバーディーパット。あっ惜しい、オッケーパー」次は、誠司であった。バーディーパット。見事バーディースタートであった。誠一は、「7」トリプルボギースタートとなった。

「お父さん、今のは、何が悪かったの?」
アプローチは、手だけで打ってはダメだ。結果今の様になる。左足に体重を掛けて、クラブフェイスを変えてはならないんだよ。身体全体でスイングして、下半身は、動かさないコレが鉄則なんだ。」  誠一は、初めて聞く内容に興味深々であった。
2番ホール。173ヤードショートホール。オーナーは、誠司である。「ナイスショット!」2人が声を上げた。次は紀子の番である。番手は、4番
のユーティリティーである。やはりグリーン奥に着いた。さあ、今度は、いよいよ誠一のばんである。9番アイアンを持った。誠司が「幾らお前でも届くかなあ?」
「パーン」ピストルの様な音だった。紀子が「何処行った?」と言った。ボールは、天高く遥か目線より上であった。ピン横、50センチに落ちた。めり込んだ。誠司は、8番であったが、球の高さは、誠一の半分であった。しかも、ピン手前7メートルであった。
今から、誠司と紀子2人とも度肝を抜かれる事となる。
3番、563ヤードパー5。オーナーは、誠一、「さっき、8割くらいで打ったんで、今度は、9割くらいの力で打っていい?」「いいよ」構えから、バックスイングへと入った。更に聞いた事ない音が「パーアン」誠司には、スイングが速くて見えなかった。「何処行った?」後ろから見ていた紀子が言った。「少し右へ出て、真ん中へ戻って来た。多分、あのバンカーの先かなあー」「バカ言え、あのバンカーまで、キャリーで320ヤードはあるんだ。あれを超えたやつなど、今でも見た事ないぞ。ここのクラブに所属してからも、あれを超えるなんて!あれをキャリーで超えたら350ヤード飛んでいる事になる。さあ、打ってから行こう。楽しみだ。」誠一の2打目、210ヤード、5アイアンのショット。高あーく、たかあーく上がり、ピンへ真っ直ぐに。ピンの根本へ。横50センチに止まった。イーグルであった。
「誠一!次のホールは、385ヤードだ!  100%のフルショットをやって見ないか?」「ううん、やってみようかな」
真っ直ぐなフラットのホール。誠一は、構えに入った。「グワシッー!」少し右へ出た。高さは、7番アイアンと同じ位だ。空気を切り裂く様な音がした気がする。「シュッウーッ」真ん中へ戻って来た、まだ落ちない。何処へ落ちたかどうかも分からない。
誠司が言った。「スイングが速すぎてボールが何処へ飛んだか分からなかった。何処だ?早く行って見よう」もう、自分のゴルフなんかは、どうでも良くなった。
グリーン手前のエッジに、ボールは、突き刺さっていた。2人は声を揃えて言った。「ここに、あった!380ヤードだ。」
「誠一、めり込んだボールは、拾い挙げて良いんだよ。グ?ピンに近寄らない様にね。」
「アプローチは、左体重で手だけで打ってはダメだったよね。」誠司が、「わうっ、チップインバーディーだ。たまらんよ」
誠一は、教えた事は、直ぐに実践出来るセンスも良く器用であった。
誠司から「もう、今日は、収穫が大だ、もう帰ろう。」と明るく元気満々で言った。紀子も同感であった。
家に帰った3人は、色々な話をした。「どうするよ、紀子?」「ねえ、誠一は今どう考えている?」誠一は、「野球も好きだし、チームメンバーとも上手くやっているから凄く続けたいんだけど、お父さん、お母さんが昔からやってるし、最初は、何が面白いんだろうって思ってたけど、やって見てその面白さや醍醐味が分かったんだ。他には、個人プレーだし、、、ただ、俺がゴルフをする事は、殆ど知らないと思う。だから、高校に入ったら、本格的にやりたいんだ。いいだろう。」
「俺は、何も依存は無い。今後、そんな気持ちなら、応援するから。本格的には、行く高校も、選んだほうが良くないかい?ゴルフ名門校とか、、、さ」

今日は此処まで、どんどん続きますよ〜!

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